さて、再び御殿場駅前のD5272を見てみましょう。キャブを見るとこの機関車の生い立ちを窺い知ることが出来ます。



小さなプレートは昭和19年、川崎重工で製造時の、楕円形のプレートは昭和30年に国鉄浜松工場で更新工事を受けた際のプレートです。



装備品も代用材や簡易工作箇所が改善されました。
ボイラーも鉄道省工場製のものは甲缶、民間工場製のものは乙缶・丙缶とボイラー爆発事故を受けて早急に改修がする必要がありました。
御殿場線で活躍したD52は昭和30年頃に更新工事を受けて、従来1,100ps程度しか出せなかった出力も本来の出力(1,660ps)程度まで引き上げられました。
1959年にボイラー缶を換装しました。左デフレクター裏にボイラー缶載せ替えを記すプレートがあります。




キャブも見ることができます。高速蒸気機関車に見られる特徴としては自動給炭装置(ストーカー)があります。焚口下のダクトを炭水車からドリル状の給炭装置があります。



炭水車側を見るとナンバープレートや前照灯がありません。国府津機関区時代には荒廃した同機の知られざる歴史をいまに物語っているのかもしれません。

当時は水質が悪かったため、よく精水器がランボード上にありますが、富士山麓を走る御殿場線だからなのかありません。





○D52蒸気機関車
全長 21,105㎜
全高 3,982㎜
機関車重量     74.42㌧
機関車運行整備重量 85.13㌧
炭水車重量     19.74㌧
炭水車運行整備重量 51.76㌧
機関車炭水車重量  94.16㌧
機関車炭水車総重量 136.89㌧
燃料(石炭)積載量   10㌧
水積載量      22㎥
ボイラ圧力     16kg/c㎥
定格出力     1,660ps
最高出力     1,949ps
製造所      鉄道省(当時)浜松工機部・鷹取工機部
         日本車輌製造・川崎車輌
         日立製作所・汽車製造
         三菱重工業
製造輌数     285輌
製造年      1943~1946年
全廃       1973年

 

公園内には鉄道唱歌(御殿場)の記念碑や御殿場線のモニュメントがあります。



また、御殿場線の富士山口を出ると真正面に、蒸気機関車を象(かたど)った通りのアーチが見えます。



御殿場といえば富士山や箱根の玄関口の一つであり、自衛隊の基地の街として知られていますが、近年はアウトレットや御殿場地ビールなどの観光産業で知られています。
しかし冬は雪が降り積り、厳しい環境に鉄道を敷設し長年護ってきた御殿場の鉄道の歴史をこの公園と御殿場駅は伝えているのです。

最後に蒸気機関車の代名詞ともなった先輩:デゴイチ(D51)とくらべてみましょう。


2005年6月に京都の梅小路蒸気機関車館で撮影したD51200とD52468です。





やはりボイラーは華奢ですね。長年、中央西線を走り梅小路蒸気機関車館に収蔵され、この度山口線での営業運転が決定しました。





上は静岡城北公園にあったD51146と下はD5272のサイドビュー。ボイラー缶は堂々としていて魅力的です。