和歌山の砂浜で、ウミガメの涙に涙した夜。あの奇跡の感動物語をもう一度。 | 日本一freedomな美容師の語りBAR

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日本一自由な幼少時代を過ごし、少々funkyなサロンを営む事5年。
今日までのアドベンチャーライフを綴ると共に、YouTube上に存在するユーチューBAR「語りBAR freedom」ではオーナー自ら語っております。

そこは和歌山県。

 

アカウミガメの産卵地として有名な場所「千里の浜」。

 

熊野古道の砂浜で、心地良い潮風に吹かれながら。

 

漁船のライトに照らされ巻き起こる涙と感動の物語が、今始まる。

思いつき

仲間のメンバーの一人が言ったんだ。

 

「ウミガメの産卵が見たい」

 

「えっ?ウミガメ?」

 

「何それ?」

 

ぐらいの感じで、初めに聞いた時はいまいちよくわからずも。

 

なんだか面白そうだからいいねと決定。

 

色々調べてみると、日本でも数少ないアカウミガメの産卵地が和歌山の千里の浜って場所にあるとわかって。

 

すぐに計画を練って、日程を決め、宿をとる。

 

宿にした場所は、坂を下ればすぐ砂浜という最高のロケーション。

ウミガメの使命

そもそもウミガメというのは、毎年5〜8月にかけて日本各地の太平洋側の砂浜や屋久島などに現れ、砂浜にたどり着いてから自分の産卵場所を探すんだ。

 

上陸するタイミングは必ず夜。

 

陸の上じゃ無力なウミガメが、他の動物に襲われたり、体力が尽きるリスクを冒してまで産卵のために上陸する。

 

何時間もかけて砂浜を移動して、産卵をしても大丈夫そうな安全な場所を、両手足のヒレを使いながらゆっくりゆっくり移動する。

 

やっとの思いで自分が気に入った場所を見つけた時、今度はその疲れた体の状態で休まずに、また短い手足で50〜60cmの穴を掘る。

 

その間に、少しでも危険な雰囲気や何者かの気配を察知すると、産卵場所を見つけてる途中でも、穴を掘ってる途中でも海に帰っちゃうんだ。

 

波打ち際だと潮の満ち引きで卵が流されてしまう場合もあるし、穴が浅いとトンビやらの鳥や動物に掘り起こされてしまう。

 

だからできる限りそういった可能性の低そうな場所を頑張って探すんだよね。

オールナイト

たまたま俺らが行ったその日は、京都大学のウミガメ研究チームの人たちが千里の浜に泊まりで来てたんだ。

 

本当に運が良くて、いろいろな細かいウミガメの生態を教えてもらい、上陸したら教えてもらえるような状況。

 

その時に知ったのが、ウミガメは産卵場所を探すまでは周囲に凄く敏感なんだって。

 

でも、それだけ深い穴を掘って産卵を始めてしまえば、そこからは近づいても、ライトを照らしても逃げずに産卵を続ける。

 

親切に話してくれて、たくさんの説明を聞き終わり、腹ごしらえをして、夜は長くなるから仮眠する奴はすぐに爆睡。

 

夜中になってもなかなか連絡もなく。

 

自然の生き物相手だととにかく待ち続けるしかない。

 

UNOをしたりトランプをやったり。

 

みんなドキドキでなんだかんだ起きてた。

 

日付も変わり、深夜1時になろうかという時だったね。

ご対面

京都大学の人たちは、みんなで交代で海岸を監視。

 

ウミガメが場所を決めて、産卵を始めるまでジッと待機。

 

何頭か上陸しては海に戻るを繰り返してたみたいで。

 

ようやく上がってきたウミガメが産卵を開始したって連絡が入って。

 

ポーカーのストレートフラッシュが完成しそうな時の連絡で、「マジか!!」なんつってウミガメが来たことにびっくりしつつも、ストレートフラッシュへの悔しさ共々トランプを投げ出して砂浜へダッシュ。。

 

明かりが灯る場所へと走り、ゆっくり目線を下げてみると。

 

そこにいたのは大きな大きなアカウミガメだった。

産卵

穴を掘り終わり、今まさにこれから産卵を開始するところ。

 

びっくりするぐらいに穴も深く、お尻から細長い管のような物を出して産卵開始。

 

ゆっくり1個づつ、そして時に2個連続やらでポンポン産み落とす。

 

ウミガメは一回の産卵で役100〜120個の卵を産む。

 

産卵中に産み落とした卵を拾って触ることもできるんだけど、大きさはピンポン球とちょうど同じぐらい。

 

でさ、本当に凄いなって思ったんだけど、卵って言われて俺はてっきり鶏の卵のような感じで硬いのを想像してて。

 

でも実際に触ってみるとピンポン球がプニプニと柔らかいんだよね。

 

なんでなのかを聞いたら、穴を掘って50〜60cmあるところから産み落とすわけじゃない?

 

その高さから硬い卵を産み落とすと割れちゃうし、ショックを吸収するために柔らかいんだって。

 

もっと言うと、なぜ砂浜に産卵するのかってのも、砂浜の穴の中に産み落とされた卵たちは孵化するまでの湿度と温度がちょうどいいらしいんだよね。

 

それを聞いた時に、本当に凄いなと思った。

 

自然界の生き抜く知恵とかそういうのって遺伝子レベルで組み込まれてて。

 

きっと子供の時から大きくなって、メスが産卵の時期になると命を繋ぐための、まさに「本能」が目を覚ますって言うか呼び起こされるんだろうね。

大体30〜40分ぐらいかな?

 

ずっとウミガメは卵を産み続けてて。

 

その間は卵も触れるし、甲羅とかならウミガメに触っても平気。

 

その時にね。

 

パッとウミガメの顔を見た時に、目元から光に反射してキラッと一瞬光ったんだ。

 

何かと思って見てみると「涙」なんだよね。

 

産卵をしながらウミガメが涙を流して泣いてる。

 

まぁ、後で調べてみると実際には泣いてたんじゃなくて、体内に取り込んだ余分な塩分を涙腺から体外に放出する事で体の塩分濃度を調節してるらしいってことがわかったんだ。

 

それでも命懸けの覚悟を持って上陸して、やっとの思いで穴を掘って、ようやくできた産卵って事には変わりなくて。

 

そんな姿がストレートフラッシュ以上に俺の胸に刺さった。

 

あれは本当に感動したね。

 

人でも動物でも、命懸けで覚悟持ってやってる姿ってのはやっぱ胸打たれる。

 

あのウミガメの「涙」じゃなくて「塩分」はあれから何年も経つけど未だに思い出すね。。笑

最後に

あの時、きっとみんなが同じ瞬間にいて同じような思いを抱いたと思う。

 

言葉を失い、ただただ目の前のウミガメの覚悟を見せつけられて。

 

感極まって泣いてる人もいたし、最後まで言葉が出ない奴もいて。

 

産卵が終わり、ウミガメは自分で掘った穴を今度は自分で埋めるんだ。

 

中にはあれだけ頑張って産んだ卵も、残念だけどうまく埋められずに卵がむき出しのまま海に帰るウミガメもいる。

 

そうなると卵は鳥の餌になり、海に流され、温度や湿度も不足して孵化することは一生ない。

 

仮に孵化したとしても、その穴から100匹の子亀たちが飛び出て、みんな海に帰る。

 

その間にも空や陸から狙ってる敵は大勢いる。

 

食べられてしまうのがほとんどで、産卵ができるほどの大きいウミガメまで成長するのは1〜2匹いればいいみたいだよ。

 

そんな過酷な環境なのが自然。

 

改めてその厳しさと、命の尊さみたいなものを教えてもらった。

 

そんな時間を、これからも忘れずに心にしまっておきながら、大切な思い出をいつでも思い出せるように。

 

俺たちはウミガメの産卵で起こった内容を一冊の本にしてまとめたんだ。

ウミガメ、本

かなり恥ずかしいけど、中学生の時の俺の原稿も載ってた。。笑

原稿

ウミガメ

でさ、完全に忘れてたけど、俺以外と活躍してて。。笑

 

表紙のデザインとか写真提供とかしちゃってんのね。

 

本当にかなり久々に見て思わず吹いたわ。。笑

原稿

ここに詰まった想いは、まるで宝箱のように開けるとブワッとあの時の想いがこみ上げる。

 

今でも大事に取っておいてよかったと思えるし、本当に作ってよかったよね。

 

ではでは、あの時の原稿と同じように締めたいと思います。。笑

 

ウミガメさんありがとう。

 

life is freedom...