VOLVO

V60 B4 Ultimate (TYPE ZB)


 以前車のこと①で言及していた新調後の車について述懐してみたい。

 入手の経緯は『車のこと①』当ブログの主旨(奢侈品の紹介)にそぐわない生活必需品の話なので掲載すべきか悩んだが、自己満ブログなので例外的に取り扱うものとする!(意思薄弱) 私事だが、最…リンクameblo.jp


を参照頂きたい。

 2022.12.3に我が家にお迎えした。

V60というモデルを2代乗り継いだ人間の視点でのメリデメを紹介できたらと思う。

 まずエクステリアから。


 ​エクステリア

フロント

 旧型V60(以下、FDという。)と比較してグリルは巨大化し、全体的に現代的な相貌となった。小型のセミならラジエターに直撃するぐらいの隙間が空いている。なんか雰囲気がどことなくガンダムGP02っぽい。

右サイド

 FDと比較して直線的なフォルムとなり、リアにかけて天井が低くなっている。だが、デザインの妙がなせる業なのか、全く低さを感じさせず、ラゲッジスペースが狭い感覚は皆無。FDのように沢山の荷物を運んでくれそうだ。


左サイド



 ホイールデザインが今時流行りのシルバーとブラックのコンビになり、ブレーキダストによる汚れが目立たずブラック部の塗装面がツルツルしているため、洗車時も非常にラクだった。社外ホイールを買う必要が無いぐらいイカしてると思う(贔屓目)。

 あと、空気圧監視システムも備えているのはFDでパンクに見舞われた身としてはとても嬉しい機能だ。


リア

 FDのデザインを踏襲しつつも、フロント同様垢抜けた感じで洗練された感がある。少しAUDIっぽくなった?

 車外、車内全てのランプ類がLED化しており、購入後のLED化に追加出費しなくて良くなったのは嬉しい限り。

 ちなみにトランク開閉も電動化しており、乗車してる人にトランクを強く閉める音で不快な気持ちにさせない有用な装備だ。これから沢山の車種に普及していく機能の筆頭だと思う。(一時期半導体不足の影響で当該機能が削減されると言われた時期もあったが、結局は実施されなかった)


 走りに関しては、マイルドハイブリッドエンジンとのことで、エンジンを蓄電池がアシストするため、プリウスのように電気だけで走行はしないが、それでも走行中は非常に静か(ディーゼルエンジンと比較して)で、路面のギャップもFDよりマイルドにショックを吸収してくれるので同乗者からは概ね好評のようだった。

 ボディも相変わらずガッチリしていて、コーナーリングの挙動も終始落ち着いた処理をしてくれる。

 馬力は197PS(エンジン単体)とマイナーチェンジ前のB5エンジンからは50PS程ダウン。運転する上でパワー不足を感じる場面はないが、サブコンの導入は今後付き合っていくなかで追々検討していきたい(RaceChipとTDI Tuningの2社がB4用のサブコンをリリースしており、B5エンジンにコンプレックスを抱いている身としてはやはりサブコンは抗い難い魅力がある...)。


 トランスミッションは新開発の7速自社製DCT(Dual Clutch Transmission)が組み込まれている(FDは8速アイシン製トルコンAT)。DCTは各社様々なモデルに採用しているが、機器の特性上、故障が多いとも言われている代物であるため、少し躊躇したが、万一の時はメーカー保証で面倒見てもらえるしまぁいっかと自己解決。

 実際乗ってみるとシームレスな変速でタコメーターを見なかったらいつ変速したか分からないことがあるぐらいだ。

 ただ、FDにはあったパドルシフトがオミットされたのは痛い。パドルシフトはDレンジでも即座にマニュアル操作に切り替わるのでエンジンブレーキを使う下り坂などの場面ではなにかと重宝していた。

 次代では是非とも復活してほしいと切に願う。


 ボルボは一貫して乗員の安全第一のスタンスで並居る世界の強豪に負けじとのし上がってきた北欧の雄で、安全性一辺倒と思われがちだが、過去にはステーションワゴンベースの車体でレースに出場し、「空飛ぶレンガ」との異名を持つ程の活躍をした。現在もAMG(Mercedes-Benz)やM(BMW)のようなパフォーマンスブランドである「Polestar」を傘下に持ち、「走り」に関してもしっかりノウハウを蓄積し市販車に反映させているメーカーでもある。

 現行モデルは「乗員は絶対守るマン」っぷりに拍車がかかっており、つい出来心でオラついた運転なぞしようものならシステムからの警告(非難)が視覚と聴覚にバシバシ訴えかけてくる。

 そんな車に2台も乗り続けてしまうと、レガート運転(スムーズな運転)が否が応でも身に付く。

 2020年までに新しいVOLVOに搭乗中の事故による死亡者・重症者をゼロにするという目標(Vision 2020)達成の為にはユーザーの反対意見も馬耳東風、180km/hスピードリミッター全車装備や、運転者の運転スタイルすらも矯正してしまうことを厭わない。

 そんな頑固一徹な姿勢が日和見主義&迎合主義な主とは真逆で好ましく感じる。


 嘗て職業運転士だった主はデジタコによる完全調教済みであるため、然程苦労なく順応できたが、全く性に合わない人もいるだろう。そういう人にはボルボの車は全くお薦めできない。安全より走り重視ならABARTH695やMINI JOHN COOPER WORKSなどのホットハッチを選んで存分にカーライフを満喫して頂きたい。ステーションワゴンに拘るならAUDI S4 AVANTとか?


 インテリア

 FD時代の大量物理ボタン攻撃とは打って変わってシンプル過ぎるセンタークラスターやセンターコンソールのデザイン。今となっては流石に見慣れたが、初見時はこの溢れ出る高級感に「一介のサラリーマンである自分には一生縁のない車だな...」と思ったものだが、まさか後に手を出してしまうとは人生とはわからんものである。



 現行モデルはGoogleが装備されており、購入後4年間は無料でサービスを利用できる。操作感はスマホと遜色なく、9インチのセンターディスプレイは精細な画像や情報を常時提供してくれる。

 ただ、Google Mapは時に地元民すら碌に利用しない狭隘路を通過するルート構築を提案してくる場合があるので油断は禁物だ。場合によってはApple CarPlay(有線接続)のマップアプリと適宜使い分けるのが良いかもしれない。


 メーターパネルはデザインが1種類のみ。FDは3種類あったのに簡略化されたのは残念極まりない。せめて時計とテンプメーターは表示して欲しかった...今後のアップデートで実装されることを願うばかりだ。

 そのほか、FDには備わっていた燃費の推移(1km毎、10km毎)を棒グラフで表示してくれなくなったのは個人的にかなり大ダメージ。高速走行や経済運転ができた時の結果が一瞥して把握できるのはエコドライブ促進の一助となると思うのだが。主だけの感覚か?



 追記:2023.6のソフトウェアアップデートにより、Apple CarPlayでのナビ画面がメーターにも表示されるようになった。Googleよりも描写が立体的で良い感じだ(ただし、HUDには案内は表示されない)。

 そのほかクルーズコントロールの選択が行えるようになった。従来はパイロットアシスト(車線維持支援機能)とACC(アダプティブクルーズコントロールが)がワンセットの1種類だったが、新たにACCのみの選択ができる。一体どこからの要望に応えたのか謎だが、それよりも従来モデルにあったリアルタイム燃費計を復活させて欲しい(しつこい)。



 シートは電動でシートヒーター、マッサージ機能、ベンチレーション(吸気)機能が運転席と助手席に装備。真冬はステアリングヒーターとシートヒーターを併用すると朝のエアコンが効き始めるまでの間に暖かくなるので何かと重宝する機能だ。ベンチレーションは夏場の熱気を纏ったシートの温度を下げる効果があるらしいが、試すのは当分先になりそうだ。

 FD時代もそうだったが、相変わらずシート自体の造りは出来が良く、長距離運転後の疲労感はかなり抑えられていると感じる。なにやら整形外科医の監修で作られているとか。



シフトノブ

Orrefors製ハンドメイドクリスタルガラス

 シンプルなインテリアの中で水中花みたいに一際存在感を主張している。見慣れればどうってことないが、初見時はそのインパクトに大層驚いた。

 シフト操作は正立位置から上下ともに2段階可動する作りで、P→Dには下(強)。D→Nは上(弱)、D→Rは上(強)、D→M(マニュアルモード)は下(弱)といった具合だ。マニュアルモード時はシフトアップは右に倒し、シフトダウンは左に倒すのだが、イマイチしっくりこない。やはり前後操作の方がやり易いと感じる。


HUD(Head Up Display)



拡大図

 Ultimateに備わる機能でONにすれば常時速度や制限速度情報、ルート案内などが表示される。ガラスに投影するため画像はボヤけているが、実際はもうちょっと見やすい。目線を下げずに情報を得れるため、HUDの安全運転への貢献度は割と大きいと思う。



後部座席のシートヒーター及びエアコン操作部

 鍵のマークをタップしてから風量や温度の調整を行う。


後部座席

 ホイールベースが2,870mmとFDと比較して95mm伸びた。これにより足元空間が大幅に広くなり、178cmの主でも窮屈感は全く感じない。

 シートのレザーが摩擦力が低く非常に滑り易い。シートベルトを着用しないとカーブの度にズルズル尻が横に動くレベルだ。シートベルトは全席着用しよう(啓蒙)


Bピラーにもエアコンの吹き出し口

 後部座席は計4箇所のエアコン吹き出し口が備わっている。これが同社売れっ子のXC40を選ばなかった唯一といっていい理由である。(XC40はエアコン吹き出し口が後部中央2箇所のみ)


 また、アプリを使用することで、遠隔操作で暖気運転やエアコン始動、開錠・施錠などが行えるほか、車の現在地把握、有事の際のサービスへの連絡も行える。


 オプションの純正ドライブレコーダーも同時購入した。16万超えのなかなか高額なものだった。専用のアプリを使用してスマホでドラレコとWi-Fi接続すれば前後カメラによる記録動画を保存できたりできるうえ、駐車監視機能も付いている。イモビライザーとのタッグで盗難やイタズラ防止に貢献してもらっている。


 キーはオーナーにとって直に触れる機会が多い。それなりの車を購入したらやはりキーにもそれなりの品質を期待してしまう。しかし、昨今のレザーフリーの動きにVOLVOも賛同してか、プラスチック製の非常にチープなキーとなっている。(メインキーは黒、サブキーはオレンジ)

 幸い表面、裏面脱着が容易で純正オプション(高額)やサードパーティ製のキーフォブシェルも結構あるので好みで変える事を勧める。


 余談だが、「ボルボって今は中国に買収されて中国製なんだろ?」そう嘗ての上司(国産車至上主義者)から揶揄われた事があるが、VINコード(Vehicle Identification Number)を確認すると、我が家のV60はベルギーのゲント(ヘント)工場で生産された生粋のヨーロッパ生まれであった。生産国に懸念がある人は事前にセールスに聞いてみると良い。

 今後エントリーモデル(BEVモデルなど)は中国生産に徐々にシフトしていくらしい。


 総評

 この車を一言で言い表すならば、「GoogleがVOLVOとタイアップして車を販売した」という感じだろう。

 車単体を評価するならば、マイナーチェンジ前のB5がパワフルで且つ機能も充実していた(大きなものではパークアシスト機能や、ドライブモード切り替え、メーターデザインの選択など)ので、どうしても「非力で機能削除された廉価版」の印象が付き纏うのが正直な感想だ。今からV60を購入したいと考えている人は指名買いでもない限り、

  • 登録未使用車のB5
  • 100万ぐらい予算上乗せして上位モデルのT6 Recharge(プラグインハイブリッド)
を買った方がより幸せになれること請け合いだ。

 自分の車を酷評してしまったが、廉価版と言っても今時の一般的な2000ccの乗用車の中では力がある方だと思うし、エクステリア、インテリアともに気に入っているのでボチボチ永く付き合っていけたら良いと思っている。ドイツ御三家に食傷気味な人はここらで一つVOLVOという選択肢も視野に入れてみては如何だろうか?


 追記:2023.9にはソフトウェアアップデートにより停車時限定だがYouTubeが視聴できるようになった。安全第一なのは重々承知しているが、走行中も視聴できたら子供は喜ぶんだがな〜ボルボさんやっぱダメかな?