ルノワールの関節リウマチ | 林整形外科のブログ

 ルノアール Renoir(1841-1919)は、華麗な色彩が特徴的な画家であり、日本ではとても人気があります。彼は50歳前後の時期に、関節リウマチを発症しました。指の不自由さと痛みを自覚するようになり、60歳頃から症状が悪化していきました。

 パリの寒さを避けるために、南フランスに移住して薬物治療を受けましたが、病気の進行は止まりませんでした。当時は、関節リウマチに有効な治療薬はなかったのです。

 1911年に、ルノワールは脳梗塞を起こしました。しかしそれでも彼は、筆を右手に縛り付けて絵を描き続けました。晩年の作品は描線が粗雑になったと言われますが、力強さは最後まで失われることはありませんでした。78歳で亡くなりましたので、約30年間に渡り関節リウマチに悩まされたことになります。

 ルノワールの息子は、「晩年、父はどんな小さな点でも正確に描きました。描く時の父の筆は、まるで射撃の名手が放った弾丸のように、真っ直ぐ的に向かいました」と言っています。

 医療が今日よりもはるかに無力だった時代に、重い病気に立ち向かって最後まで絵を描き続けたのは、ルノワールの執念だったのでしょう。