産業衛生の始まり | 林整形外科のブログ

 イタリア人医師のベルナルド・ラマッツィーニ Bernardo Ramazzini(1633-1741)は、内科の本を多く書いていましたが、1700年に「働く人々の病気」と言う本を出版しました。

 それまで、鉱山労働者の疾患などについて著した医師はいましたが、ラマッツィーニの研究は、数多くの職業を取り上げたことと、彼自身が労働の現場で見聞きした事実を詳細に調査したことが画期的でした。産業革命の直前の時代に、職業病の影響を指摘したこの本は、絶妙のタイミングで世間に受け入れられました。

 具体的な例として、「書記」という仕事における、座り作業での下肢の血行不全、手の使い過ぎによる肩こりなどについて書かれています。また、記帳の間違いがないよう気遣う心労についても述べていて、休日には適度な運動を行うことを勧めています。今では当たり前のことですが、これが320年も前の記述であることに驚かされます。

 彼には、「産業衛生学の父」と言う、不朽の名声が与えられました。北九州市にある産業医科大学は、ラマッツィーニの精神を建学に求めていて、敷地内には彼の銅像が設置されています。