正確な解剖図 | 林整形外科のブログ

 紀元前2世紀頃の考えでは、人間の病気は、血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4つの液体のバランスが崩れることで起こるとされていました。

 しかしヴェサリウスと医師は、従来の医学に疑問を抱き、ついに1539年、それまで禁止されていた人体解剖を断行しました。そしてその成果を、690ページの大著として出版しました。その図は驚くほど正確で、現代でも通用するほどです。

 これより2世紀以上が経過した1771年、日本でも、杉田玄白が中川淳庵と前野良沢を誘って、刑死体の解剖を見学しました。オランダ語で書かれた解剖書を手に入れ、その正しさを実証したかったのです。本の図は、解剖所見とよく一致していて、彼らはそれまでの五臓六腑という人体の概念とは、大きく異なることを知り驚きました。そして解剖書の翻訳が急務であると痛感し、3年半をかけて「解体新書」を完成させたのです。

 ヨーロッパでも日本でも、医学の発展に重要な役割を果たした解剖書の出版過程が似ていることは興味深いところです。学問の進歩においては、真実への探究心と、それまでの考えを変える勇気が必要だったわけです。