「医学に接する」二日目 | Polyhedron

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速水が思った事を書いていきます。twitterを始めたのでこちらはほぼ廃墟かも。

うちの大学には「医学に接する」というゼミがあります。
これは、医学部や大学附属病院にお邪魔して、医学の実験、臨床に触れるというもの。
僕は、8月1、2日に医学部へ、3、4日に附属病院へと行くコースを取りました。
そんなわけで、今日はこのタイトルなのです。

さて、内容。
一日目:放射線領域の生体への研究を行っている研究科へ。午前中は放射線についての講義。放射線が当たるとなぜ細胞が死ぬか、という事を教わりました。昼休憩の後、癌細胞のsubcultureをおこないました。
普通の細胞は、自分たちのいるスペースがいっぱいになるとそれ以上増えなくなるそうです。でも、癌細胞だけは増殖し続けます。そのため、シャーレの中で癌細胞を培養してずっと放っておくと、いずれ栄養不足やスペース不足で全滅してしまいます。だから、癌細胞を長く実験室で生きながらえさせるためには、ある程度まで培養した後、別のシャーレにちょっとずつ移し変えなければなりません。これをsubcultureと呼ぶそうです。
去年の冬学期や今年の夏学期にも実験の科目はありましたが、そのような「教わる」実験とは違い、研究と結びついている点で、随分とリアルな体験でした。
でも、終わってゼミの受講仲間と帰りつつ話していたときにハタと気がついたのですが、この日やった実験って、放射線にも、まして医学にもあまり関係がなく、むしろ生物実験に近いですね…。

二日目:前日と同じところへ。午前中はまた少し放射線の講義。放射線もごく少量ならば、細胞の増殖につながる(かもしれない)という事を教わりました。細胞の増殖を抑える(より正確には、細胞の受容体のリン酸基を取り除く)PTPと呼ばれる酵素が、放射線により失活するから、だそうです。その後は、それを踏まえて、癌細胞を、放射線を照射する群と照射しない群にわけて、PTPの活性度に差があるか、対照実験をおこないました。(結局失敗して、上手く測定できずじまいでしたが、そこは不慣れなのでしょうがないでしょう)
相変わらず医学とは直接結びついてはいないようですが、放射線と生体についての理解は深まったように思います。

まあ、そんな堅い話以外にも、この二日間で学んだ事は結構ありました。
①実験中、特に精密さや清潔さが要求される作業中には、絶対に喋らないこと。集中力が失われて失敗する恐れがある。
②教授だろうと学生だろうと、失敗は必ずある。失敗をおそれないこと。また他人が失敗しそうになったら、それが誰であれ指摘するのをためらわないこと。
③ずっとまじめな話をしてると疲れるので、たまには雑談も話すこと。
④分からない事があったら質問すること。よほど相手に時間の無い場合以外、質問は歓迎される。
…上記の事は、ある意味常識ではあるんですが、これらの重要性を再認識したので、あえて書き残しておきます。それに加えて。
⑤教授の中には、頭の堅い人もいる。そういう人のアドバイスは、特に教授の専門で無いところならば、聞き流すべきことも多いので、気をつけること。

そんな所ですね。実りの多い二日間でした。明日と明後日は、より充実したものとなりますように。