今回は、愛知県で築50年ほどの古家に住まれていた障がいをお持ちの方の居住支援事例を、個人情報がわからないように配慮しつつご紹介します。
■老朽化した家での暮らし
この家には障がいのあるご兄弟(以下、当事者と呼ぶ)が暮らしていました。家はかなり老朽化しており、雨漏りや床の抜けなどがあり、非常に痛んでいました。
さらに、汲み取りトイレの利用も困難な状態。老朽化が進行し、生活の質が低い住環境でした。
■経済的困窮
当事者の生活は障害年金が中心で、修理もできず、固定資産税も支払えない状態でした。また、この古家に住むことで生活保護の対象外となり、経済的困窮が続いていました。
■相談の経緯
当事者は長年、訪問医療や訪問看護、介護、福祉サービスを受けていましたが、住まいの問題が課題となっていました。看護師の方からの相談を受け、支援を開始しました。(さすが訪問看護師さんです)
■調査と相続手続き(名義変更)
調査の結果、土地建物の名義は他界した父親のままで、売却には名義変更(相続登記)が必要でした。
しかし、相続関係者は子5名に及び、3名は疎遠でかなり高齢な方もおり、難易度の高い遺産分割協議が予想されました。
■支援内容
以下のような支援を行いました
- 固定資産税の立替払い(2年分)
- 相続関係者の調査
- 遺産分割案の作成
- 新しい住まい(賃貸住宅)の確保
- 家具家電の手配と引越しの支援
- 新しい住まいの確保
賃貸住宅で新しい住まいを探し、礼金や敷金、家具家電代、引越し料金などを弊社で立替払いしました。
但し、自力で契約しようにも、無職の年金暮らしでは不動産会社が審査を受け付けないため、弊社が会社名義で借上げ、連帯保証人なしでお貸ししました。
この物件は、ウォシュレット付き。で きれいにリフォームされた賃貸住宅で新生活を始めていただきました。足が不自由な方でしたので1階のお部屋を選び、支援者が訪ねられるよう駐車場付きとしました。
■名義変更と売却
古家の名義変更(相続登記)に関しては、相続関係者を探すところから始めました。特定できた方と面談と交渉を重ね、遺産分割協議に応じていただきました。古家の売却代金を遺産として分けることになりますが、他の3名は、当事者の障がいを支えられないことから、当事者の取り分を多くするための交渉も行いました。
■古家売却と支援の完了
東京カンテイのシステムで土地建物の査定を行い、取り壊し費用を考慮した価格で古家を現状のまま買取りました。代金を一括で支払い、立替えた固定資産税や引越し費用、相続の調査や登記費用などを精算して支援を終えました。
■最後に
言いわけになりますが、私自身、社長としての業務もあり、相談を受けてから支援が完了するまでに約1年も要してしまったのは反省点でしたが、次の住まいを先に確保できたことは成果だったと思います。
このようなケースでは特に相続による遺産分割協議には時間がかかります。早めの対応が重要ですが、障がいを持つ人たちが行動に移すことができることは稀です。
相続手続きに関する知識ももっていないことがほとんどです。
私たちは、障がい者や高齢者の方の住宅支援を基本に、一人ひとりのニーズに寄り添った支援を行い、これからも住まいの課題解消もあわせて暮らしをケアしていけるようお手伝いしていきます。
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(参考)このケースでの支援のまとめ
1.初期状況
- 障がいのあるご兄弟(以下、当事者)が古家に居住
- 家屋の状態:老朽化が進み、雨漏りや床の損傷あり
- 設備:汲み取りトイレ。利用困難な状態。
- 経済状況:障害年金中心の生活、固定資産税未払い
- 生活保護:古家所有のため対象外
2.支援の発端
- 訪問看護師からの相談を受け、住まいの問題解決に着手
3.課題
- 土地建物の名義が他界した父親のまま
- 相続登記が必要だが、父親のきょうだい4名との遺産分割協議が必要
4.初期支援内容
- 固定資産税の立替払い(2年分)
- 相続関係者の調査特定
- 遺産分割案の作成
- 新しい賃貸住宅の確保
- 家具家電の手配と引越し支援
5.新しい住まいの確保
- 賃貸住宅を選択(生活保護時の住宅扶助対象を視野に)
- 1階の部屋
- ウォシュレット付きリフォーム済み
- 駐車場付き(支援者の訪問に配慮)
- 契約金、家具家電代、引越し料金を立替払い
- 連帯保証人が無いため弊社で借り上げ
6.古家の処理
- 相続関係者との交渉(相続→争族にならないよう配慮)
- 遺産分割協議(当事者の取り分を多くする交渉)
- 土地建物の査定
- 測量、登記(一部地目変更あり)
- 弊社による古家の買取り
7.エンディング
- 立替費用の精算
- 残金を当事者へ支払い
8.支援期間
- 相談から終了まで約1年
9.今後の課題
- 障がいを持つ人々の行動力と知識の問題
- 継続的な住まいの課題解消支援の必要性
この事例では、障がいのある方の住まいに関する複雑な問題を解決するための包括的なアプローチを示します。経済的支援、法的手続き、新しい住居の確保など、多岐にわたる支援が必要であることがおわかりいただけるかと思います。
弊社にはこのようなご相談が増加しています。福祉的で、新しい不動産利活用アプローチに興味のある方、ぜひ仲間に加わりませんか?
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