建築をやっていると予算でも頭を悩ませることは多いです。

車や電気製品のように出来上がった商品ではないので、金額が決まっているワケではない・・・というのが大きいところです。

 

  が

 

材料の価格と職人さんの人工、機械の使用料(消耗部品の代金込)に

製品の送料・運賃 etc... こういった諸々の事情の掛け合わせで金額が決まっていきます。

 

そうでないこともあるようなので(!)一概には言えませんが。

                         「神の見えざる手」とはかくのごとし。

 

建築工事では、とにかく材料の種類が多くて金額が大きくなりがちです。必要なもの・欲しいもの・造りたいもの・付けたい機能といったモノが主な内訳です。

 

という分析を挟みまして、単純に価格を下げるにはどうするのが良いかとなると

 ・材料の数を減らす

 ・工事項目(工種)を減らす

 ・こだわることの優先順位を付けて、部分的にグレードを下げる

 ・自分で工事する(DIY)

 ・材料を自分で安く仕入れて使ってもらう

というのが、取りうる手法ではないでしょうか。

 

そしてここで落とし穴、デメリットのことも押さえておきましょう。

 

材料や工種を減らすことは、上手くいけば「引き算の美学」であり洗練されたモノが出来上がります。

それでも機能性や耐久性のために提案されているモノを減らしていくのですから、失敗すれば建物の性能が下がる ということもあり得ます。決断は必要ですが、減らすことによってどんな不具合が予想されるかも意見を聞いて、納得した上で引き算をするのが賢い選択です。

 

優先順を付けてグレードを下げる時には、最低ラインを切ってしまうことに注意が必要です。

例えとして、部屋の壁紙を取り止める場合には材料費は下がるのですが、それによって下地の作り方で手間がかかる場合があります。現代は材料代よりも人工(手間代)の方が高価な時代。「材料が減るから安くなる」と減額したは良いけれど、現場では手間が増えたと難儀することもあるという話も。耐久性のための木材塗装などを取り止めることも聞きますが、長い目で見れば材料自体の痛みが早まるので注意が必要なところです。

 

DIYをしたり材料を支給したりするのは、金額を下げるための一つの解だと思います。

ただし、出来上がりが自分の腕に拠ること・材料に不具合があった場合に工事者を責めてはいけないこと が注意点です。「自分でやったなら」という視点で金額をみると、工事価格が意外と安く見えてきてしまうので不思議なものです。

 

 

 さて、こんな長文を読んで頂けた方へ 最後はちょっとしたアドバイスです。

 

設計の目線からなので広く受け容れられるかはわかりませんが

 ・予算を決める

 ・仕様を決める

 ・材料・仕様等を決定(以降変えない)

 ・工期に柔軟性を持つ

という条件で、工事会社に金額交渉するのはアリだと思っています。

 

工事に入る前から使う(発注する)材料が決まっている という状況は、

工事をする側からすれば魅力的だから(経験談)です。

 

頼む側も請ける側も、お互いにWINWINな関係になる、発注者も受注者も工事がスムーズに進むよう知恵を出し合うような関係が作れたなら、掛けた金額以上のものを手に入れられると思うのでした。

 

                                              設計企画部  N