先日、算数が理解しにくい子には、教材やインターネットサイト、ゲーム等を駆使して「本人に合った方法で」理解しやすい道を探すという記事を書きました。算数に関しては、教材が豊富にありますし「答えが明確にあり、それを導き出す」というわかりやすい学問であるため、発達障害の子供の思考回路に適したツールを使う事で「算数ができない」状態から脱出することができるケースが多かったのです。


今日書こうと思うのは、教材やツールだけに頼ったとしても理解にたどりつきにくい「小学生の国語」の問題についてです。


小学校の国語は、内容も少なく簡単に見えます。


ですので、国語における問題点というと宿題が頻繁に出るひらがな、かたかな、漢字や四字熟語、作文や絵日記、音読などに取り組むときの困難に目が行きやすい思います。ですが、漢字やひらがなという「言語」よりも、国語の教科書の題材となっているお話の理解の方に、より焦点をあてて発達障害の子供の成長を促す必要があることは、ご存じでしょうか。


国語の教科書に登場する短い話を音読し、その内容に対して学校の先生はプリントで


「~の様子があらわれている言葉や様子を書いてみましょう」


「~の場面を読んで、~についてわかることをまとめましょう」


「~の場面について、誰が何をしたかをまとめてみましょう」


「どうして~したのか、そのわけを考えてみましょう」


「主人公が~と言ったわけを考えて書いてみましょう」



こういう質問がされたとします。発達障害の子供は、文章を読んで、国語の質問に答えることが苦手です。質問の内容が、どういう形式で答えを求めているか、どういう範囲のことを聞いているか、何を問おうとしているか、が曖昧でわかりにくいという「質問自体の意味や目的をはっきりと理解できず、解答するときに常に不安がある」状態だからです。



上記の質問に答えるには、学校の先生が授業で教えてくれた内容だけでは、発達障害の子供は「質問に対してどう答えたらよいか」ということを身に着けて帰宅しません。定型一般の子供は、先生が教える方法で、自分で「こういうパターンで答えればよい」という流れを汲みとる力があります。発達障害の子供は、そのパターンを明確に説明してあげないと「こういう種類の質問には、こういう答え方をする」という理解がいつまでも、いつまでもできないです。



上記5つの質問の仕方に対して、発達障害の子がどういう答え方をする傾向があるか見ていきます。

例えば、


・ 教科書の中の文章を、そのまま抜き出して羅列する。一つの文章として書けない。


(○を期待される解答例、×を発達障害の子の解答例とします)


○ 急に雨が降ってきたので、お友達同士で一つの傘をさして帰りました。

× 雨が降った。一つの傘をさした。お友達と帰った。




・ 主語の繰り返しがあったり、主語や目的語がぬけたり、一つの文にできず、ぶつぎりになりやすい。


○ みちこちゃんはアメリカからたくさんのお土産を持って帰りました。彼女はお友達に喜んでほしかったのです。


× みちこちゃんはアメリカから帰った。みちこちゃんはお土産を買った。みちこちゃんはたくさん持っていた。お友達は喜んだ。



・ 「事実」だけを書くので、「自分の考え」や「主人公の思いを想像して」書くことができない。


○ たろうくんは毎日明るくふるまっていましたが、お母さんが病気だったので、心の中ではとても心配で心細かったと思います。お母さんが病院から帰ってきたときに泣いたのは、安心したからだと思いました。 (下線の部分は教科書には書いていない言葉、自分の言葉です)


× たろうくんは毎日明るくふるまっています。お母さんが病院から帰ってきたとき泣きました。お母さんが元気になってよかったです。(教科書の言葉をそのまま抜き出して書いただけの状態)




こんな感じです。これでなんとかやっていけるのは、小学校2年生の前半ぐらいまでです。後半から小学校3年生になると、作文やテスト、学校の授業全般が「自分はどう思うか」「主人公の気持ちを想像してみよう」という、できない部分の要求ばかりをされるようになります



このタイミングに比例して、学習の積み上げができていないと子供心に「自分は勉強ができない」という劣等感が出てくるので、それを避ける必要があります。そのために、毎日少しずつ子供に足りない部分を、子が自分では見つけられず対応もしていけない部分を、家庭で個人で積み重ねていかないといけなくなります


対策としては、小学校に入学したら、まず国語だけは音読の宿題をしている時や、書き取りの宿題をしている時に後ろからちょこっとでもいいので、教科書のお話の中に書いていない背景や見えない隠れたシーンを、映画のように話して聞かせる習慣を繰り返しするといいです。


その繰り返しをすることによって、「お話には映画やテレビのように一つのストーリーがある」「書いてある言葉だけで答えると、解答が不十分になる」ということが1年後ぐらいから少しずつわかってきます。


話して聞かせるのは、こんな感じです。さっきのたろうくんの話を例にします。


「へえ、この主人公のたろうちゃんはえらいねえ。お母さんが病気で入院したら、食事する時も寝る時も、学校の準備するときもお母さんはずっと病院にいて家にはいないから、何でも自分で考えてやらないといけないし、すごく不安だろうね。なのに毎日、ニコニコ笑って明るくしてたんだね。不安だけど、笑って皆に心配かけないようにしたのかな。すごく頑張ってたから、お母さんが病院から帰ってきたときに『やっと帰ってきた!』ってほっとして、安心して、わ~って泣いちゃったのかもね」



と言う風に、教科書には全く書いていない部分の「解釈」をしてみせます。


ほとんどの発達障害の子は、

「へえ~そういうことなんだ」とか

「そんな意味があったなんて全然わからんかった」

「そう言われたら、そういう気持ちするな」

「自分だったら、やっぱりそう思うな」と言います。

教科書に書いてある言葉通り、教科書にある言葉だけを見ているからわからない、考えられないだけです。その教科書に書いてある言葉達から意味を膨らませたり、ストーリーをぶつぎりではない一連のつながりのある豊かなストーリー映像にするということは全く考えついていません。



このやり取りは、大人の発達障害の人でこうした学習方法をしてこなかった人とも同じような展開になります

小説や映画、テレビドラマを見ている時に「これはこういう意味があると思うよ」と解釈してみせると「ええ!そういうことなの??」とびっくりされます。私の夫や、親族の発達障害のパートナーさん達で小説や映画を見る事が全く趣味ではない人というのは、この問題点を大人になっても抱えています。ストーリーを読み取る必要性を知らず、そういう解釈をする、という事自体を知らずに成長したので、映画も「そのシーンが持つ意味」や「そのシーンが後になってどう大切な布石になるか」とか、例えば友達以上恋人未満の主人公同士が向かい合って話しているシーンでも、二人の言葉以外の意味などは全くくみ取れない(言葉以外の意味があると思ってもいない)ので感情の盛り上がりや動き、その後の展開への布石がわからず「つまらない」ということになっています。


一族で、大勢で一つの映画をDVDで見る時、こうした解説ができる人間が(時々解釈に間違いがある者同士ですが)、この場面はあとで大事な意味を持つから、覚えておくといいよ、とか、この人はそっけない言い方をしているけど、でもいつもは丁寧な物言いをする人でしょう。だからこの相手にだけ特別な気持ちがあるんだよ。たぶん恋愛感情かな、てれくさいんだと思う、とかつけたしながら見ます。


そうすると、一族のパートナーさん達はそういう解釈の存在を知らないまま育っているので、「おお~そうなんだ!」とか「そういう意味がこの場面にあるなんて全く気が付かないなぁ」とか、かなりの興味を持ってくいついて鑑賞します。


発達障害の人の本嫌い、映画に興味がない、音楽に興味がない、という人の多くは、たぶんですがこの「わかる目に見える、聞こえる部分だけを見たり聞いたりしているので、それが持つ意味がわからず、また深い解釈ができないから本や映画、音楽の目的や一番面白い隠された感情的な部分がわからず面白くない」んだと思います。


話を国語にもどします。

私達一族はこの教科書ガイドを当たり前のように使っていたので記事に出すのを忘れていました。

国語だけは、「教科書ガイド」を購入して必ず教科書と併用して使っています。この教科書ガイドは、教科書には書いていない上記のような解釈の部分が詳しく説明されています。小学校中学年までは親が読んで、解釈の理解をして、子供が宿題をしたり音読をするときに後ろから解釈の説明をするような感じですが、高学年、中学、高校になると自分で教科書ガイドを読んで「教科書に書いてある言葉以外の裏の意味や隠されている解釈部分」「教科書で、この内容で学ぶことは何か」をじっくり自分で検討します。


教科書ガイドはそれぞれの地域、学校が指定する出版社ごとに出されているので、子供が通っている学校の指定教科書に準じた教科書ガイドを購入してください。


このガイドがないと、一族の子達は中学生になっても国語の学習がなかなかすすまないです。テストで「この類の質問に対してはこの解答の仕方をするのだ」とわかってくるのは、学習の積み重ねと経験の積み重ねなんですが、教科書だけではてがかりがないので経験値が伸びないのです。教科書ガイドを使うと、「この類の質問はこういう解答を求めている」ということが明確に示されているので、パターンとして身に着ける、経験を積み重ねることができます


この方法であれば、予測したり気持ちを考えたりすることが苦手な発達障害の子でも、経験値を上げていくことでパターン習得できますから、経験という知識から予測を引き出すことができるようになります。頭の中に質疑応答の引き出しがたくさんできる感じです。大学受験時の選択方式の回答などは、この手法で勉強をすすめて高得点が取れています。


最後に教科書ガイドの参考例を下に出しておきます。

こういう教科書の説明書みたいな本です。





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