長女は、所謂「健常」なのですが、中学校は地域の公立学校に進んだので、高等学校に進学するためには「受験」をする必要があります。

 

 実は、自分が育った街では、明らかに「私立」>「公立」だったため、大学で国公立に進もうと思うと、高校は私立に行くほうが確実、という妙な状況でした。公立高校に進むと、大学進学時、圧倒的に私立大学に進む人が多くなるのです。

 当時、自分が通った高校は、月額の授業料が1万円台前半で、群を抜いて安かったので、公立の中学高校に通いつつ「塾・予備校」に通うよりも、中学から私立上位校に進んで国公立大学の上位校を狙うほうが安上がりでした(勿論、ある程度の学力を身に着ける必要はありましたが)。実際、それで予備校の類のお世話にはなっていません。

 

 現在の仕事をする前、20代の頃に数年間、小さな塾で講師をしていたことがあります。

 そこで、中学受験、高校受験、大学受験に向けた授業や進路指導(と言えるほどのものでもないですが)をしていたこともあります。

 が、自分自身、実際に「高校受験」をしたことがない(ちなみに「小学校受験」もしたことない)のです。

 この塾があったのが、現在住んでいる都道府県とは別なので、「私立高校」の受験であれば、多少共通項も多いの(時代とともに変わった部分も多いため、それほど役に立たないような気もするけれど……)ですが、公立高校の受験となると、これこそ都道府県によって相当に違います。

 

 自分が中学生だったり、塾講師をしていた時代には、どこの都道府県にも「学区」や「学群」(以下「学区等」)と呼ばれる制度があり、指定されている「学区等」以外の高校を受験することはできないか、かなりハードルが高いか、でした。中には、試験の成績によって「振り分け」られて進学する高校が決まる、なんていう制度もあったりした記憶があります。

 現在では、ほぼ「学区等」という概念はないですが、公立(国立は除く)の場合、原則として居住する都道府県内の高校しか受験できないのは同じです。

 それでも、自分が塾講師をしていた時代に「学区等」での、所謂「トップ校」だった学校(またはその「後身」校)は、現在でも「上位校」であることがほとんどです。が、長女の受験に当たり、現在住んでいる都道府県内の高校の名前ではピンときません。都道府県内で1・2を競うような、それこそ「東大・京大に毎年何十人も合格者を出すような」高校は、流石に名前を聞いたことはあるけれど……なレベルです。

 更に、少子高齢化をはじめとする時代の変化とともに、高校の統廃合なども少なくないため、ますます訳が分からない。

 

 長女が中学に入り、近所の小さな塾に通うようになって、やっと近隣の高校の「勢力図」がわかりはじめた、という感じでした。

 なので、ほぼ3年をかけて、どうにか「あの高校は、昔の感覚だと××高校みたいなポジションだな」という理解をしている状況です。

 

 たまたま、自宅から歩けないこともない場所に、適切な表現かは微妙ですが、「中の上」と云われる公立高校があります。そこそこの難易度ですが、部活動で有名な部がいくつかあったり、普通科以外にも、特徴のある芸術系の学科があったりしますし、制服が「人気」あるようで、志願者数は例年多いようです。

 最初は、その近所の高校くらいに行けたらいいかな……と、思っていたのですが、長女はかなりおとなしい性格で、目立つ行動も嫌がるタイプなこともあり、小学校の時には気が付かなかったのですが、塾に入って「テスト」を受け始めると、意外と点数が取れる。当初、「普通」クラスに入ったのですが、あっという間に「特別」クラス(2クラスしかないですけど)に「昇格」。塾の先生からは、その近所の高校では「もったいないですよ」と言われてしまいます。

 

 しかし、そこから「迷路」に入り込みます。

 

 成績が悪くなった訳ではありません。

 むしろ良くなっていきました。小さな塾が故に、同じ中学校の生徒しかいないので、その中学校の進度に合わせて授業を行い、定期テスト前には、テスト対策もしっかりとやってくれます。

 おかげさまで、定期テストの成績も、ぐんぐん良くなりました。学年でベスト10、クラスでも1位2位を取ることも。

 しかし、普段がおとなしく、引っ込み思案な性格のためか、いざ「通知表」を貰うと、「3」と「4」ばかり。一科目くらい「5」があったりはしましたが、テストの成績から考えると、ちょっと低過ぎるのではないか?と感じます。逆に「5を取る生徒って、本当にいるの?」とさえ思いました。

 あまりにもそんな状態が続くので、学校に「確認」に行ったこともあります。実際、成績の「誤記載」で「記者発表」になっている学校も少なくなかったので、念のためでした。

 ですが、学校からはしどろもどろに、よくわからない説明をされただけ。明確な数的根拠も示されず、不信感しか残りませんでした。

 いっそ「転校」させようか、とも思ったのですが、「長男」のことがあるので、なかなかそう簡単にも行きません。

 

 実は、現在住んでいる都道府県では、中学校からの「内申点」が非常に重視される傾向が強いのです。

 そのため、模試の成績から考えられる受験校の候補に当てはめると、内申点が全然足らない、ということに。

 模試の成績からは、旧・学区等のトップ校でも、悠々合格できるのに、内申点を加えると中位校でもやっと、という感じです。

 

 このまま受験本番を迎えてしまうと、内申点とテスト向けの実力との「乖離」が大き過ぎて、合格圏を見誤る可能性が高い、と、塾講師の経験的な「勘」が働きました。

 むしろ、ある程度、本番のテストのウエイトが大きい私立のほうが、可能性を計算しやすい、という気さえします。

 この地域では、公立高校がダメだった場合の「滑り止め」的に私立高校も受験するのが通例のようで、しかし、そうなると学費が嵩みます。

 

 ご存知の方も多いでしょうが、現在、高校の授業料は、ほぼ「無償」化されている、とよく聞きます。しかし、これには所得制限があり、夫婦とも「正社員」で、しかも子持ちになるのが遅かった我が家のような場合、両親の年齢も高くなる分、所得も多めになって合算されます。すると、どうやっても所得制限をクリアできません。勿論、どちらかが仕事を辞めれば、余裕でクリアします。が、現実的ではありません。


 中途半端に稼ぐと、助成的なものが受けられなくなり、実質収支が悪化してしまうという、ちょっと困ったことになっています。

 

 正直なところ、「万一」に備えて、形式上「離婚」してしまうか、という案も浮上していますが、仕事柄こういう制度には多少の知識があるため、通り一遍の「ペーパー離婚」では駄目なことも少なくないことを知っています。

 そのため、昨年後半から、色々と「細工」をしています。その結果、現在、自分は他の家族とは「別世帯」になっています。

 実は、中学校は「義務教育」のため、「学籍」の関係で、学校が生徒の世帯情報を得ることができるのですが、そんなにしょっちゅう「やり取り」しているとは知らず、ある時、長女が学校の先生から「お父さんとお母さん、何かあったの?」と訊かれたそうです。公立中学校と区の住民登録部署の間で、どこまで情報が共有されているのかは不詳ですが、恐らく「世帯主」が自分から妻に変更になったことで「離婚でもしたのか」と思われたのかも。

 そう思っているなら、それはそれで、と思い、以後、学校に提出する書類の「保護者」氏名は、全て妻の名前にしています。元はと言えば、全て学校が「原因」となって始まったことですし。どこかから妙なことを勘繰られても嫌なので、高校への出願手続の保護者氏名も、全て妻にしました。私立高校の受験料などはクレジットカードで払うのですが、その名義から何か出ても嫌なので、妻名義の「家族カード」を使うという念の入れようまでしてしまいました(笑)。

 もう、我が家に自分はいません(爆)。

 

 高校でも、同一都道府県内は「足」が付くかも、と思ったのですが、幸い隣の都道府県に妹が住んでおり、一時的にそこに住民票を「逃がす」ことは可能です。電車で一時間少々で行けますので(つまり通勤可能圏内)、居住・生活実態を作り出すことも難しくはありません。

 

 何で、こんなことまでしなきゃいけないのか?という気にもなりますが、ここまで来たからには、あと一息。

 1か月ほど後には、全てが決まっていることでしょう。