寝付けない原因の一つに、寝る前になってから交感神経を働かせる、という説があります。
 間違いではありません。確かに、夜中までゲームに夢中になったりすると、睡眠の質に悪影響を及ぼします。
 対策として、入眠の儀式を行なうことで、副交感神経に働きかけ、身体を睡眠のリズムへと持って行く方法があります。
 具体的には、次のようなものが挙げられます。

●音楽を聴く
●アロマテラピー
●ストレッチ
●ハーブティーを飲む

 基本的な考え方は、要はリラックスする方法ということです。
 ですので、歯磨きでもいいですし、入浴でもいいですし、ニコ生を観るというのも有り得ます。
 音楽なら何でもいいという訳ではなく、α波を引き出す音楽が推奨されます。インストルメンタル、クラシック、小川のせせらぎの音、小鳥のさえずりの声、といったものでしょう。ハードロックやパンクなどは、通常推奨されません。
 ストレッチも過剰に行なうと、却って覚醒へと逆効果になってしまいます。ハーブティーも、好みの味や香りか否かによって、影響は異なるでしょう。

 さて、それでは、入眠の儀式を慣例化したからといって、眠れるようになるかと言うと、そうとは限らない所がポイントです。
 入眠の儀式が効果あるのは、入眠障害と診断する程ではない短期的不眠や、軽度の睡眠障害の場合です。
 サイレース2mgにマイスリー10mgを飲んで更にデパスを加えても、入眠が困難な人の場合、普通に考えて、MAXまで薬を飲んでも眠れないものが、儀式で眠れるようになるはずがありません。
 重度の睡眠障害を抱えている人が入眠の儀式を行なうようになると、
「儀式を行なったのだから眠らなければ」
という緊張感が高まり、むしろ入眠を阻害する可能性があります。

 リラックスする工夫はした方がいいですが、儀式化するか、慣習化するかは、各人の入眠困難度に応じて判断した方がいいでしょう。
 寝る前に「○○はした方がいい」とか「○○はしない方がいい」とか、型にはめるのは宜しくありません。

 私の場合、眠る準備を全て整えてから、スマートフォンで将棋の対局をすることがあります。一般的には、交感神経を活性化させるゲームとして、推奨されません。
 しかし、慣習化すると、将棋の内容によって、
「これだけ悪手を連発するなら、脳が眠りに入り掛けているのだろう」
と判断することができ、結果として最も入眠しやすいタイミングで眠ることができます。