ひねくれ者、そんなわたしなのです | こっちにいらっしゃい

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春と秋に挟まれた季節の夏になると、青い空と強い日差しを二列に互生した、子供の手のひらサイズと大人の手のひらサイズの、そんなケヤキの葉身が日かげの空間を醸し出してくれる。ときおり一斉に始まるセミの合唱が耳を突く‥‥。

田舎の友人達に

 

「結婚して、2年です」と報告もかねて、

 

夫と子犬の写真付きで年賀状を出したました。

 

その一人の友人から電話が。

 

「子犬じゃなくて、子供でしょ。でも可愛いね」

 

友人は知らないのです。

 

というより実家でも知りません。

 

2回流産したことも、

 

子供が欲しくて

 

何度も産婦人科に行ったことも…。

 

友人は結婚してすぐ

 

2人の母親になったので、

 

友人からすれば子供ができるのは

 

当たり前なのです。

 

でもその当たり前が、当たり前じゃないのです。

 

結婚できるのも、母親になるのも、

 

ミラクルなのです。奇跡なのです。

 

分かっているのです。

 

友人には悪気はないのです。

 

友人にとっては当たり前ですから…。

 

「チェッ」と思わず…。悔しいのです。

 

良い気はしませんでした。

 

その友人の顔も見たくない。

 

声も聞きたくない。

 

会いたくない。

 

ひねくれ者、そんなわたしなのです。

 

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