【時代と共に、さらば青春の光とは】
時代は、変わった。
なのに、それに適応出来ない自分がいる。
新しいものを受け入れること。
新しい場所、新しいやり方、いつだってそれに飛び込むのは、勇気がいる。
新しいあいつを、受け入れてしまったら、
古いあいつは、どうなる?
あいつとの想い出が多すぎて、あまりにも
想い出が多すぎて、それを断ち切るには、
些か私には荷が重すぎるのだ。
人の記憶は、一秒毎に薄れてゆく。
忘れたいこと、忘れたくないこと。
忘れたいのに忘れられないこと。
忘れたくないのに忘れてしまうこと。
子供の頃の感受性が繊細で鋭いあの時代に、
見た映画の物語に出てきた悪魔や魔王は、
恐ろしく、やけに大きく感じたものだ。
バーミュータートライアングルにいる人魚も
非常に恐ろしく描かれていて、胸がざわざわした。
人魚は、美しい竪琴を鳴らし、人々を惑わせるのだ。
魔法の世界、海の冒険、宇宙の冒険、地底の冒険、様々な物語は、私に大きな影響を与えてくれた。
しかし、時は無情に流れてゆく。
時代は、変わり選手交代の時が来ても、
私は、あいつのことを忘れられないでいた。
そう、私は新しいドラえもんを観ていないのだ。
正確に言うとやはり最初は、怖いものみたさもあり、多少は見ていた。
でもそこには、平成の新時代の街と、
新しい価値観が生まれていた。
なんと
静香ちゃんが、アロマソルトの入浴剤を使ってお風呂に入っていたのだ。
「のび太さん疲れているんじゃない?
はいっアロマソルトの入浴剤あげる」
そんな静香ちゃんは見たくなかった。
ドラえもんしかり。
私は、そっとテレビを消した。
あれから、新しいドラえもんの映画も
続々と公開された。
しかし、私の中には、大山のぶ代ドラえもんが、もう、どうにもならないくらい
共に生きていた。
さらば青春の光とはなかなかいかない。