フィリピンでお見合い斡旋・紹介サービスは違法です。 | 米国公認会計士のフィリピン税金や法律のあれこれ
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こんにちは、米国公認会計士の橋本です。

 

フィリピンのMECQが続いている状況の中でも、コロナウイルスの感染者は依然として増加の一途をたどっています。

 

世界的な状況下で、マニラやマカティの繁華街は外国人だけでなくフィリピン人観光客も激減しています。 観光産業や交通産業、人材紹介に従事している人々は収入がなくてまさにその日暮らしの生活を続けています。多くの日本人がフィリピンで働いていますが、いったんフィリピンでの仕事やビジネスをあきらめて日本に帰国する人さえ出てきています。 なかなか収束の兆しを見せないフィリピンではありますが、以前からお客様からご質問をいただいている内容で、日本などに研修生などを送る人材紹介や日本人とフィリピン人とのお見合いサービスなどのビジネスはあまりフィリピンでは見かけないのでこれから始めるのにはどうでしょうかというご質問に対してお応えできる範囲でお答えしたいと思います。

 

 人材を海外に紹介するには人材派遣を専門に取り扱う会社を設立するか利用する必要があります。また海外にフィリピン人を送り出すにはPOEAという海外送り出し機関に登録する必要があります。 その登録には会社の資本金が500万ペソ以上であったり、役員となる人の中に人材紹介の経験者が含まれていることなどが必要であり、日本からの新規参入はハードルが高いといえます。 またもしフィリピン人が海外でトラブルに巻き込まれたりすると送り出した派遣会社が損害を賠償する可能性もあり、フィリピンにおいて人材を扱う会社というのはリスクが伴うような気がしますのでお薦めはしません。

 

 また人材会社とは少し異なりますが、フィリピン人女性と結婚したい日本人男性というのは昔から一定数いまして、そういった方々向けにフィリピン人とのお見合いサービスを提供している事業者というのも少なからずあります。

 

 しかし人材を海外に紹介するだけでも非常に厳格なフィリピン政府ですので、外国人にフィリピン人女性とのお見合いを斡旋するというのは法律で禁止されています(共和国法 10906号, REPUBLIC ACT No. 10906) 

 

 禁止されている内容というのは以下のように記載されています。

 

第3条

(a) Engage in any business or scheme for money, profit, material, economic or other consideration which has for its purpose the matching or offering of a Filipino to a foreign national for marriage or common law partnership on a mail-order basis or through personal introduction, email, or websites on the internet;

 金銭や利得、物、経済的或いは他の対価を目的としてメールや個人的な紹介等を通じてフィリピン人と外国人との結婚やコモンローに基づくパートナーシップのお見合いやマッチング、申込などのビジネスなどを営む行為。

 

(b) Exhibit, advertise, publish, print, or distribute, or cause the exhibition, advertisement, publication, printing, or distribution of brochures, flyers, or propaganda materials which are calculated to promote the prohibited acts in the preceding paragraph, or to post, advertise, or upload such materials through websites on the internet;

 前項で禁止されている行為を宣伝する目的をもってパンフレット、チラシ、または宣伝資料の展示、広告、出版、印刷、または配布、あるいは展示、広告、出版、印刷、または配布を行う行為。またその内容をインターネット上のサイトを通じて投稿、宣伝、またはアップロードする行為。

 

(c) Solicit, enlist, or in any manner, attract or induce any Filipino to become a member in any club or association whose objective is to match Filipino nationals to foreign nationals for the purpose of marriage or common law partnership for a fee; and

 フィリピン人を勧誘、または何らかの方法で誘引して有償での結婚またはコモンロー上のパートナーシップ関係を築く目的で、フィリピン人と外国人とをマッチングすることを目的とする会の会員になる行為そして

 

(d) To use the postal service or any website on the internet to promote the prohibited acts under this section.

 この項目で禁止されている行為を宣伝するために郵便サービスまたはインターネット上のサイトを使用すること。

 

 と記載されています。

 

 結婚やパートナーシップを目的とした紹介行為をすべて禁止しています。日本ではご存知の通りお見合いやマッチングサイトの運営等の紹介サービスは合法ですので、フィリピンでも合法だと勘違いされる方々もいらっしゃいますが、これらは明確な違法行為とみなされます。

 

 ここまで人材派遣やお見合いなどの人材を海外に送り出すことに対して厳格に規定するにはきちんと理由があります。フィリピンではOFWと言って海外に就労人材を送り出すことが国策化していますが、その一方で海外で犯罪に巻き込まれたり、人身売買や奴隷的扱いを受けるなどの被害に遭われる方がたも多くいらっしゃいます。 すなわちこれらの被害を未然に防ぐ目的で一律に厳しい規定が設けられています。 たとえ人身売買目的や性暴力、奴隷的扱いをするなどの目的でなくても禁止されている根拠がここにあります。

 

 日本のメディアなどでは海外から受け入れた研修生が逃げられないようにパスポートを取り上げて低賃金で長時間労働させるような悪質な事業者が取り上げられることがありますが、これが常態化すると日本に対して厳しい制限を課す可能性も十分あるということです。 

 

 外国人技能実習生権利ネットワークなどの調査によれば、外国人実習生のうちには上記のようにパスポートを取り上げられ、日常生活を管理され、時給300円程度で過酷な長時間労働を強いられている者も少なくないのだと言います。
 オーストラリアの人権擁護団体ウォークフリー・ファウンデーションは、「日本には現代の奴隷が8万人存在する」との調査報告を2013年に発表しています。またアメリカ国務省の報告書には、「日本は人身取引根絶のための最低基準を満たさない国」と、13年連続で名指し批判されていますが、そうしたことを知る日本人は、あまりにも少ないというのが実情です。 

 

 「日本は人身取引大国だどいう事実が浸透しつつあります」

 

 特にこのようなコロナ下で困窮している状況で人の経済的弱みに付け込んで犯罪や人身売買などの違法行為をしよう或いはさせようと斡旋して暗躍する輩も必ず出てくるでしょう。

 

 それらの被害から、または犯罪の加害者となる危険性から人をどのように守っていくのかがウイズコロナにおける喫緊の課題と言えるかもしれません。

 

  それでは今日はこの辺で失礼いたします。