8月の末にキマダラカメムシの幼虫と出会っていた杉さんでしたが、9月半ば、今度は成虫を見つけました。
部室のドアノブにくっついていたので、大きさもよく分かっていい写真です。カメムシにしては大型ですなあ。
キマダラカメムシ(Erthesina fullo)は外来種です。もともとは東南アジアなどもっと暖かいところに住んでいるのが、最近は日本で増えて分布を広げているらしい。
この個体も、前回の幼虫が育って成虫になったものが、杉さんを慕い、改めて会いに来たとは考えにくいので、キマダラカメムシはそうとう個体数を増やしていると考えてよいでしょう。
↑キマダラカメムシの幼虫
南の国の昆虫が自然の世界で何度も見つかるようだと、日本はむかしにくらべて暖かくなったという事実を突きつけられた気分になります。生物の分布は環境の指標になるからです。しかし、地球温暖化と結び付けて考えてよいかは疑問が残ります。
キマダラカメムシが日本で見つかった記録は古く、江戸時代にさかのぼるものの、最近までその分布は限られていて広がるようではなかったようです。これは、熱帯の昆虫であるキマダラカメムシが、冬季のある温帯では思うように子孫を残せず、細々と命をつなぐしかなかったからだと思います。
それが、むかしよりも平均気温が上がっているとはいえ、厳しい冬のある暖温帯で急に分布を広げてきた。
これは、キマダラカメムシの方で寒さに適応してきたことを示しているのではないかと思うのです。私は温暖化よりもこちらのほうが不安です。
温帯の冬を乗り越えられる熱帯の昆虫がいるとなると、熱帯の病気が温帯に広がる懸念があります。例えばネッタイシマカが温帯の冬を越えられるようになってしまい、日本でマラリアにおびえて暮らさなければないようになったら怖くないですか。