昨年に買った時計で、まだ紹介していない腕時計がありました。オリエントの現行機、オリエントスター・セミスケルトンクラシック(RK-HH0001S)です。
時計を趣味にしだすと耳に入ってくる「オリエント時計工業」の名前。かつて存在した日本の時計メーカーです。
そう、オリエント時計工業は、今世紀に入ってまもなくセイコーエプソンに統合されてなくなってしまいました。けれども、オリエントブランドは機械式腕時計に特化した形で今でも残っています。
セイコーの傘下ではあるものの、この時計からはセイコーのものとは違った印象を受けます。吸収・統合と言う形ではありますが、オリエントの技術はセイコーの一部として受け継がれたのだろうなと感じました。
そんなオリエントのフラグシップは「オリエント・スター」でありまして、かねてから一本欲しいぞ、と、思っていたところに、現行品が安く中古で売られているのを見ちゃったのです。
↑文字盤が時折見せるゾッとするような美しさ
今のオリエントの時計は高いものでも定価が20万円台で、多くは10万円以下で売られています。比較的安価な部類に入りますけれども、まじまじと時計を眺めてみると、これが中々すごい。
この時計の場合、クラシックの名に違わず、世界の腕時計の文化的な要素が、これでもか、これでもかって盛り込まれております。
例えばギョーシェ模様の彫り込まれた乳白色の文字盤に、厚みのある黒字のローマンインデックス。そこにブルースチールを合わせています。文字盤を見るだけで腕時計のデザインの歴史の復習になります。
裏ブタはスケルトンになっていて、中の機械を見て楽しむことができます。これはオリエント伝統の46系ムーブメントで、パワーリザーブが40時間のものです。本当に上品にまとめられていますよねえ。おっと、竜頭はオニオンスタイルです。ターバンというのかな(よく知らない)。
ベルトはこげ茶の本ワニ革で、三つ折れ式のバックルがついています。この辺りもクラシックの王道です。
セミスケルトンの名の通り、ハートビートがあります。これはフレデリックコンスタントの発案したものですね。
もう、見れば見るほど機械式腕時計の古典的なデザインを盛り込んでいます。
そして、その仕事は恐ろしく精密なのです。いかにも西洋の時計文化を吸収した日本の製品というべきか。
オリエントはこの時計より上位機種を出していて、それだとムーンフェイズがついたり、文字盤までスケルトンになります。
腕時計の伝統的な部分の良いところを集めて作ってあって、完成度は高いです。
手ごろな値段で基本に忠実、出来は素晴らしい。オリエントはまさに教科書的な存在だなあと思いました。