前述した横浜市会における条例提案の件ですが、その質疑応答をお願いしている際に、私が最も気になったのが、執行機関との関係でした。本来、地方公共団体における事務において、条例制定のために作業を行うのは、執行機関。そしてそれが提案されてきて、議決までの責任を負うのが議会だと考えていたからです。

 

 もちろん、議会の側にも提案権があることは百も承知です。

 

 ところが、数度私が疑問を呈して質問をしている時に、仲間の議員から「長谷川さん、な~に言っちゃってんの。議会は本来立法機関じゃないですか~。議会の本来の仕事ですよ~。」と。

 

 「ん?地方議会は議事機関?じゃかなった?」と思ったのですが、横浜の議員発議の条例があまりも美しい姿だったもので、圧倒されて、その後が続かなかったのです。

 

 さて、とは言え、このあり余る時間は神様が下さったもの。しっかり勉強しよう。と。

 

 出典は、要説 地方自治法第九次改訂版 松本英昭著 ぎょうせい

からです。

 

三 地方公共団体の議会の権限

1 地方公共団体の議会の権限の概要

 

地方公共団体の議会は議事機関であり(憲法九三I参照)、地方公共団体の意思を決定する議決機関である。我が国の地方自治制度においては、首長制(首長主義、大統領制、二元代表制)がとられており、地方公共団体の議会は、独立の立場においてその権限を行使するとともに、執行機関と相互に牽制し、均衡と調和の関係を保持して、地方公共団体の政治・行政を適切かつ円滑に遂行することが期待されている。

 地方公共団体の議会の権限は、大別して、地方公共団体の団体意思の決定をする議決権とその他の権限に分けることができる。議決権は、議会の本来的な権限であるといえる。その他の権限には、法律又はこれに基づく選挙権、地方公共団体の事務等について監視・牽制、調査、承認・同意等をする権限、議会の機関としての意思や見解等を表明する権限、議会の内部的事項について自律的に決定及び処理する権限などがある。

 地方公共団体は、上述のように、首長制(首長主義、大統領制、二元代表制)であり、長と議会との問は、相互に牽制し合い、均衡と調和の関係(チェック・アンド・バランス)の下にあるものであるが、制度的に特徴的なこととして、第一に、再議又は再選挙の制度があり(一部についていわゆる「原案執行」の制度もある。自治浩一七六・一七七)、第二に、議会の長に対する不信任議決及び長の議会解散権が認められており(自治法一七八)、第三に、長の専決処分が認められている(自治法一七九・一八〇)ことを挙げることができる。

 

 さて、ここでみてわかるように、議会には条例制定権は前面に出てきません。国の三権分立とは明らかに違い、上記にも数度出てくる、首長制(首長主義、大統領制、二元代表制)であって、専らとは申しませんが、制度上は、首長にその主たる提案権限があるものと私は解しています。

 

 それは、まさに、日本国憲法第四十一条で「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」から、その憲法に基づいての条例制定権があるのであって、それはあくまでも、国の法律の範囲内であることはいうまでもありません。

 

日本国憲法

第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

第九十四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

 

 という感じなんですよね。

 

 従って、地方公共団体の執行機関が、その自治事務執行上のルールを決めた方が効率的な行政運営ができると判断した時に条例制定を考え、作業を行い、議会の議決に委ねるというのが通常の姿かなと思うのです。

 

 それらが、再三書いています地方分権がどんどん進展し、地方の裁量による自治事務が増えてきている中で、その地方、地域に即したルールが必要な場合には、条例や首長の決裁で制定する規則などが出てくるのだと思いますね。

 

 従って、条例を制定すると考える時には、その発端が執行機関であろうと議事機関であろうと、その双方がその地方公共団体の地域の実情、事情に即したものとならなければなりません。

 

 さらに、団体意思決定と機関意思決定の違いを理解していない議員が数多くいますが、せめてその違いくらいは頭の中に留めておいていただきたいものです。

 

 それによって、自治事務を執行している中で不具合、不都合は執行機関。住民意思の確認や意見聴取などが、議決の際に必要になるが故に議会における事前の調査等が有効かつ有意義になってくるものは議決機関で。と。双方が100%機能していることが大前提になるのだと思うのです。

 

 それが今回視察をさせていただいた感想としては、まさに双方が100%機能しているからこそ、このような議会による条例提案、制定ができるのだと深く感銘したところです。