業界、現場ともにかなりの停滞というか、混乱であるように聞いていたのですが、やはりでした。最初は私も意味がわからず、ふ~んって思っていたのですが、姉歯事件以降、確認申請の手続きに時間がかかっているようです。

改正建築基準法で混乱続く

2007.10.7 19:25 耐震強度偽装事件を受けて厳しくなった改正建築基準法が施工されて4カ月。構造計算の二重チェックである適合性判定」を義務付けられるなど厳しい改正内容に対する建築業界などの理解が進まず混乱が続いている。この影響で国土交通省が発表した8月の全国住宅着工戸数は前年同月比43%減と大きく減少した。国交省は先月から各地に相談窓口を設置するなど対応に追われているが、正しい制度改正の末の混乱だけに、申請側、審査側双方の理解が進むまで対策の妙案はなかなか見つからない状況だ。

東京都内で設計事務所を運営する男性(41)は「法改正で煩雑な仕事の量が膨大になった。そのため仕事を進めるスピードがかなり遅くなっている」とため息をつく。

法改正で提出書類として加えられた構造計算概要書の作成。構造計算の方針などを記す書類だが、男性によると「柱やはりの1本1本について強度などを書き記さなければならない」という。書き直しなどさせられないよう丁寧に書かざるをえず、何十ページにも上った結果、「書類作成だけでも2週間は余分にかかってしまう」という。

申請を受ける側にも混乱がある。建築確認事務を担当する東京都内のある区の担当者は

「提出書類が膨大なので、処理をどう進めていいかもたついた」と話す。

こうした混乱で、確認申請の審査期間が長期化、着工が遅れている上、建築主が審査基準の詳細を見極めるため着工を先送りする事態になっている。業界からの圧力を受けて自由民主党などからは早期の対策を求める声も相次ぐ。これを受け、国交省は、周知徹底を進める方針で、今月中旬から改正建築基準法に関するアドバイザー制度を設け、全国各地の関係団体向けの研修会に派遣するなどの新たな方法を考えている。

そもそも、何日以内に処分をしなければいけないという決まりがあり、その期間内に終わるものだと思っていたのですが、姉歯事件後のこの「適合性判定」に時間をとられているようです。困ったものです。付焼刃のルール付けによる混乱と言えなくもないような気がします。

そもそも、従来の建築基準法の運用で、性善説で動いていたものが、狂った犯罪者がいたがために、善良なる事業者や設計者が被害を受けるという状況が生まれているのだと思います。まさに姉歯事件の2次被害といえなくもありません。事業者は、大きな投資をして事業を行いますが、1日単位の金利との戦いでもあるわけでして、じわじわと経済活動に影響を及ぼすのではないかと心配です。

しかし、法改正のマイナスの影響は当面残るという見方は根強い。日本総研は9月の着工戸数も7、8月の前年比伸び率と同じと仮定すると、7~9月期の実質住宅投資は前期比年率26.1%になると試算。その結果、7~9月期の実質GDP成長率(前期比年率)を0.8%下押しすると推測している。

この状況が長期化しないことを望むばかりです。