【阪神淡路大震災のレクイエム】その4

あしや温故知新  特別篇


 私たちも被災者だった・・・・。ですが、俺たちがやらんで誰がやるんや?

 

あれから・・・24年・・・

 

震災の記録は多数残っている。

私にはこの話が忘れられない。


  消防団詰め所近くに4階建てで鉄筋コンクリート造のマンションがあった。

  地震で、1階部分から3階部分は完全に押し潰されていた。4階も半分以上が破壊されている。ここにマンションがあったとは思えないほど酷い現場だった。


 現場には自衛隊の部隊も到着していた。警察も機動隊員が到着していた。

   そして、東京消防庁のレスキュー隊が工作車を持ち込んでいた。そして、私たちの消防本署隊と消防団の部隊が作業を開始していました。


 しかし、混乱した。この現場の指揮を誰が取るかなのです。

 救助資機材は東京消防庁の部隊が「心臓の音を聞き分ける道具やサーモグラフィーで生命反応を確認できる装置」を設置した。その手際の良さは目を見張る速さだ。


 がれきの撤去を機動隊が自衛隊に依頼したが、上の判断を待つと言う。

   東京消防庁が「静かにしてください。今からスコープを入れるから・・・」

「がれきの撤去を優先して、救助ができるルートを確保するべきだ・・」機動隊長は主張した。


   それぞれの無線のチャンネルが違うため、現場では指示や命令で混乱した。

 階級も組織も違う。これが混成チームの欠点である。


   私たちは人海戦術でやってきたが、隊長を中心として指揮系統はしっかりしていた。

現場の混乱・・・・。回りの人たちにも影響した。

「父を助けて・・・早く」

「娘一家がまだ中にいるんや、早くしてくれ・・・」


  無音状態で心音を聞く装置で東京消防チームは黙々と任務を遂行していた。

その時・・・「このサーモグラフィに生命反応が・・・・」東京消防庁チームが生存者を発見した。


   機動隊長は「私たちはこの方面は素人だから、こっちの指揮下に入ります。指示を・・」

 自衛隊の隊長は「今、うるさい無線を切りましたから、人命救助だけを優先してくれればいい」

  そして、生命反応のある方の鉄の扉を溶断機でカットした。


  この溶断機を使えるのは私たち消防団員だった。私もガス溶接などの免許を持っていたのを忘れていた。


「こんな時に役に立つとは思っていなかったが、溶断機までよく用意できたもんだ」


「助けるぞ!絶対に!」私たちの目的だけは揺るぎないものでした。


つづく