夜の山を登る京都・愛宕神社の千日詣り ― 後編 ― | 関西発 バスツアー HASツーリスト

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毎度おこしやす。今日も京都を楽しんでおくれやす。

遅くなりましたが、前回の“夜の山を登る京都・愛宕神社の千日詣り ― 前編 ―”の続きです。

前編では、五合目で予定時間をオーバーしていました。
「翌朝は平日で出勤のため、早く家へ帰って2時間ほどは仮眠をとりたい!」
との思いで、登るペースをアップします。

そして、七合目と八合目の間にある「水尾わかれ」の休憩所に着きました。
この時点で0:50。五合目通過が0:30だったので、なんとか20分ほどで残りの半分をこなしました。

▼水尾わかれの休憩所。山頂の愛宕神社へはここから右へ進路をとる。

千日参り:水尾分岐点休憩所

この水尾わかれから真っすぐ進むと水尾の集落方向へ下りていく道になります。
水尾は柚子の里としても知られ、日帰りで鶏鍋の昼食とお風呂を楽しめますが、それはまた今度ということで…

しばらく進むと、土の山道が木や石の段の登り坂に変わります。

▼八合目あたりの段の坂道「ガンバリ坂」の案内板

千日参り:44丁がんばり坂

この坂道を“ガンバリ坂”というそうです。
さぁ、あともう一ガンバリ!ですね。

さらに登っていくと、目の前に黒い門が現れます。

▼黒い門だから「黒門」。ここまで来たら山頂は目前。

千日参り:黒門

黒門と呼ばれる門ですが、これが見えると山頂はもう少し。
つい気を緩めてしまいそうになりますが、無事にたどり着くまでは油断せずに引き締めていきましょう。

お疲れ様~!ってことで、山頂遊園地に到着しました

▼山頂遊園地。飲み物を売る売店(臨時)のほか、社務所や休憩所、トイレがある。

千日参り:山頂遊園地

遊園地といっても、アトラクションがあるわけではありません。
その昔、清滝の登り口から黒門あたりまでは、ケーブルカーが参道の北側を通っており、この遊園地には乗り物もあったそうですが、 第二次世界大戦で不急の金属物資を供出するため、これらのものは全て武器の材料にするために無くなったと聞いています。
そのため、今は広場があるだけですが、山登りで疲れた身体にはホッと一息つける場所があるだけでも嬉しいものです。

しかし、なんということでしょう。
お詣りの拝殿はここからまだ上なのです!
(私は勿論知っていますが、わざとらしいですネ。)

▼山頂遊園地から拝殿への石段

千日参り:山頂石段1

▼石段を上がったら見える門。しかしまだ先がある…

千日参り:山頂の門

▼その門をくぐって、まだ続く石段を上った先がようやく拝殿

千日参り:山頂石段2

ここまで来て、本当の「お疲れ様」なのです。
時刻は1:15。なんとか許容範囲の時刻に着けました。
早速お詣りをして、お札を授かって帰りましょう。

毎年のことではありますが、拝殿の辺りは人であふれています。
横で御神酒がふるまわれていましたので、そのせいかもしれませんね。

▼拝殿前には多くの人の姿が。

千日参り:拝殿1

お賽銭を入れて、日頃の感謝を唱えました。
その間、夜中にもかかわらず、奥では神職さんと祈祷を受けられる参詣者の方々の姿があります。

▼お詣りをしている間、拝殿の中では祈祷が行われている。

千日参り:拝殿2

さて、お詣りを終えたので、あとはお札を授かるだけです。

拝殿の後ろ(上ってきた石段側)に授与所があり、お札やお守りが授けられています。
やはり千日詣りの目的は、お詣りもありますが、なんといってもこの日にお札をいただいて帰ること。
変な表現ですが、「賑わい」を見せています。

▼お札を授かる参詣者で賑わう授与所

千日参り:授与所

▼「火迺要慎(ひのようじん)」の神札
初穂料は、大サイズ1体500円、小サイズ1体400円

千日参り:お札

この火迺要慎のお札は、京都では有名な料理店をはじめ、多くの家々に祀られています。
私も授かって拝殿を後にしました。
なお、お札は神社の方がくるくると筒状に丸め、半紙で包んで手渡されるのですが、そのままリュックに入れると濡れたり湿気たり、潰れたりするので、筒状の容器を用意してお詣りした方がよいでしょう。

私はこの後、石段を下りていき、とりあえず2時20分に山頂を出発することにして、それまでの30分ほど広場のベンチで一休みしました。
腰を下ろしたベンチからは、京都の街の夜景がきれいに見えて、なんだか癒される心持ちになります。

▼山頂から見える京都市街の夜景

千日参り:山頂からの市街夜景

ところで、時期は真夏なので街の中なら暑くてエアコンを点けないと眠れないような気温でしょうが、ここは涼しい!
神社の温度計を見ると23℃でした。風もあるので薄着で長い間滞在していると風邪をひきそうです。
一般的に100m高度が上がると気温は0.6℃下がりますので、標高差を850mとして、京都の町中は28度以上ある計算ですね。

ただ、涼しいのは心地よいのですが、一つだけ“…”なことが。風向きによってトイレから香しい、いや、鼻にツンとくる匂いが漂ってきます。
山の上で水道もありませんので水洗式ではなく、まぁ、仕方ないことなのですがね。

さぁ、いよいよ下山です。
汗水たらして登ってきた道を下っていくのは、ちょっと勿体ないような気がするのですが、それでも家へ帰って、汗を流して一寝入りしたい欲望のほうが強いのです。

ところで、一般的に、登りは“しんどい”けれど下りは“楽”、と思われている方が多いような気がするのですが、実は下りのほうが“疲れる”のです。
登りのとき以上に足元に注意する必要があり、間違って石車に乗ってしまったりすると転倒して大ケガしたり、場所が悪ければ滑落する危険があります。
また、「膝が笑う」というように、地面を踏むたびに膝へ体重の衝撃が加わりますので、歩き方にも注意をしないと下山途中から膝がガクガクします。

そんな注意を払いながら、急ぎ足で途中休憩もとらずに下っていきます。
しかし何度も登っていて慣れているといっても、やっぱり疲れるんですよ、これが。

▼急ぎ足で下っていく山道

千日参り:参道下り

時刻は夜明け前の3時30分。約1時間10分かかって登り口まで下りてきました。

▼やっと登り口に到着

千日参り:登山口鳥居へ下山

やっぱり少し膝がガクッとしています。
ここから、バス停までが上り坂があって、そこから試峠を上がって下って駐輪場まで30分。そこから自転車に跨って家まで小一時間…
家に帰れるのは5時過ぎくらいでしょうか。まだ布団に包まって“夢”の楽園にたどりつくまでは先が長いです。

結局、帰宅したのは朝5時15分。風呂に入って眠りについたのが6時前。目覚ましに起こされたのが7時30分でした。
そして準備をして出勤へ。

普通だったら頭がボーっとしてミスばかりしてしまいそうな気もしますが、一日中眠気も感じず過ごせました。これもご利益の一つだったのでしょうか…
しかし、一番のご利益は
「無事にケガもせず、家に帰り着けたこと」
―これに尽きます。

さて、来年2015年の7月31日は金曜日。翌日の土曜日がお休みという方も多いことでしょう。
来年は是非、千日詣りにお出かけされてはいかがでしょうか。

もちろん、日中ならば日にちに関係なく登ってお詣りできます。
(冬季の積雪時期は、山頂付近の登坂に軽アイゼン装着を推奨します。)

【交通】

京都駅・四条河原町・京阪三条駅・阪急嵐山駅・嵐電嵐山駅から
京都バス 「清滝」行 乗車
終点「清滝」下車(大人230円)

徒歩2~3時間

【公式ウェブサイト】

愛宕神社: http://kyoto-atago.jp/

京都バス: http://www.kyotobus.jp/