私は幼い頃から「声の小さい人」でした。
大きな声を出さないんじゃなくて、出せない。
出し方がよくわからないんです。
いわゆる「通らない声」というものかもしれない。
頑張って大きな声を出しても、自分の周り半径1mぐらいのところで急にプツッと消えちゃうイメージです。
居酒屋の追加注文で「すいませーん」と店員さんを呼び止めるなんて至難の業。
そんな私が、フードコートの中の混雑する飲食店で働こうなんて無謀だったかもしれません
お客さんとのやり取りの他に、広いキッチンの隅まで聞こえるようにスタッフ同士でも大きな声での連絡と連携が不可欠です。
忙しくてピリピリしてる時に、いつもの通らない声でゴニョゴニョと話しかけると、みんなの作業の手を止めてしまうことになるので申し訳なさすぎでした。
それでもなんとか奮闘すること約2ヶ月。
あれ?
そういえば最近、お客さんからも他のスタッフからも聞き返されることがほとんどなくなったのでは?
…とは思っていました。
が、用事で立ち寄ったコンビニで確信しました。
コピー機を使おうとしたら、前の人の忘れ物が。
それも年金手帳
大変だ、これは早く店員さんに届けなければ…
と焦って、とっさに出た
「すいませーん!!」の声…
自分で驚くぐらい、馬鹿デカかったです
声よ届けと焦るあまり、仕事でキッチンのスタッフさんに向かって叫ぶ時と同じ声を出してしまいました。
居酒屋どころかコンビニでも「すいません」と呼びかけて一発で気づいてもらえる確率は50%ぐらいの私なのに、この時の馬鹿デカい声には店員さん、瞬時に振り向いてくれました。
そういえば数日前、次女の幼稚園にボランティアで絵本の読み聞かせに行った時も、
「あらら私、声デカすぎるかしら?」と途中で我に返り、ちょうどいいボリュームにそっと調節したのでした。
考えてみたら、今までの私なら声が小さすぎることはあってもその逆なんてなかった
必死でパートの仕事をしてるうちに、相手に届く声が出せるようになったのは思わぬ副産物でした。
これは仕事以外でもすごく役立つ
些細なことですが、中年になっても新しく修得できるものってあるもんだなぁと思います。
とはいえ、長年自分は「声小さい人」なんだと思って生きてきたので、声の出し方がわかった今も、店員さんを呼び止める時にありったけの大きな声を出そうとする癖は直っていません。
今回のコンビニみたく、場違いの大声を出すことにならないように今後は注意が必要そうです