銀聯カードの罠(前編) | 蘇州日記

蘇州日記

2015年4月から蘇州に単身赴任しています。蘇州での生活をブログに書いてる人が大勢いて、赴任前にとても参考になったので、真似することにしました。

僕の蘇州での給与振込口座は世界最大の銀行である中国工商銀行です。

下の写真が中国工商銀行の蘇州園区支店です。




工場では日本でもあることだと思いますが、全社員の給与振込口座が同じ銀行に統一されています。我が社には8,000人くらいの社員がいて、離職率の高さからそのうちの約1,000人が新人という状況。振込口座の設定の手間を考えると、ひとつの銀行に統一せざるを得ません。

銀行から見ると大量の口座が獲得できるお得意様ということになるので、そのお礼に工場の敷地内にATMを設置してくれています。

但し、下の写真は工場内のATMではなく、蘇州園区支店のものです。うちの会社では敷地内の写真撮影が禁止されてるので、やむなく代替写真を使うことにしました。ちなみに、うちの会社の敷地内ATMはもうちょっと汚れてます(^^;




中国の銀行のキャッシュカードに必ずついているのが「銀聯」(ぎんれん)というマーク。




最近では日本の商店が、中国からの観光客を目当てに「銀聯カードが使えます」とか「銀聯カード割引があります」とか盛んに宣伝してるので、日本でもすっかりおなじみになったと思います。

銀聯というのは中国内の様々な銀行からの出資を受けて設立された会社名です。「聯」という字は日本語の「連」に当たるので、「銀行連合」という意味合いなのでしょう。

この会社ができたのは2002年という比較的新しい話です。

それまで中国では各銀行のシステムの違いから、銀行間の決済がうまくできないという問題を抱えていました。

それを解決する為に誕生したのが銀聯で、銀聯が統一的なオンライン決済システムを作り、各銀行はそのシステム上で決済を行うというわけです。

「銀聯カード」というのは銀聯の提供する決済システム上で使えるキャッシュカードのことで、要するに中国の銀行が発行したキャッシュカードは全て「銀聯カード」ということになります。



とは言え、日本人の感覚では銀行同士がスムーズに決済を行えるのは当たり前のことなので、それはどうでも良い話です。

銀聯が日本人赴任者にとっても重要な意味を持つのは、銀聯がデフォルトでデビットカード機能を提供していることです。

この機能のおかげで、日本に行く時に銀聯カードを持っていけばデビットカードとして買い物をすることができます。しかも、日本のデパートや家電量販店が、中国人観光客の集客を増やす為に銀聯カードで買い物をすると5%割引という制度を設けています。

更に、日本の銀行のATMに銀聯カードを入れると、中国元の口座から日本円を下ろすことができます。特にセブン銀行がこのことを積極的に宣伝しているので、下記のような広告を見かけた人も多いと思います。




中国人が海外旅行をする際には中国元の持ち出し制限があるのですが、それにもかかわらず彼らが日本への爆買ツアーを敢行することができるのはこの仕組みのおかげです。



中国では5月1日(金)が労働節(メーデー)により休日、更に僕の勤務先は別の土日のうちのひとつを振り替える形で5月4日(月)も休みだったので4連休でした。

僕はこの連休を利用して日本に一時帰国したのですが、その際に銀聯カードを使って2つのことをやろうとしました。

ひとつは、銀聯カードで日本のATMで10万円ほど下ろして日本の銀行に入れることでした。今回の転勤に際してMacBook Airを買ったり、鬼怒川温泉に家族旅行に行ったりと、クレジットカードを使って散財したので、カードの引き落としが残高を超える見込みだった為です。

もうひとつは、銀聯カードを使ってヨドバシカメラで空気清浄機を買うことでした。海外に住む日本人が一時帰国する際も外国人旅行者と同じ扱いになり、デパートや家電量販店で消費税免税で買い物をすることができます。更に銀嶺カード割引を使うと、8%+5%=13%もお得なのです。そのことを知っていたので赴任前には敢えて購入せず、一回目の一時国の際に買うという作戦を立てたわけです。



ということで、羽田空港に着いた僕はさっそくセブン銀行のATMに中国工商銀行のキャッシュカードを入れてみました。








・・・・ところが、ATMはこのカードを受けいれてくれず、無情にも「このカードはお取り扱いできません」とのメッセージと共にカードを吐き出したのです。

翌日ヨドバシカメラに行った際も、やはり定員さんに「このカードは使えません」と言われました。



どうしてなのか??

この謎は後編へと続きます。



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