『養生訓』 夏は生もの・冷たいものに注意(巻六13) | 春月の『ちょこっと健康術』

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体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

夏は、発生の気いよいよさかんにして、汗もれ、人の肌膚大いに開く故外邪入やすし。涼風に久しくあたるべからず。沐浴の後、風に当るべからず。且夏は伏陰とて、陰気かくれて腹中にある故、食物の消化する事おそし。多く飲食すべからず。温なる物を食ひて、脾胃をあたたむべし。冷水を飲べからず。すべて生冷の物をいむ。冷麪多く食ふべからず。虚人は尤泄瀉のうれひおそるべし。冷水に浴すべからず。暑甚き時も、冷水を以面目を洗へば、眼を損ず。冷水にて、手足洗ふべからず。睡中に、扇にて、人にあふがしむべからず。風にあたり臥べからず。夜、外に臥べからず。夜、外に久しく坐して、露気にあたるべからず。極暑の時も、極て涼しくすべからず。日に久しくさらせる熱物の上に、坐すべからず。


夏は、気が盛んに発生して、汗が出て、人の皮膚が大いに開くために、外邪が侵入しやすい。涼風に長く当たってはいけない。入浴した後で、風に当たってはいけない。さらに夏は伏陰といって、陰気が体内深く隠れているから、食物の消化が遅い。だから、多く飲み食いしてはいけない。温かいものを食べて、脾胃をあたためるのがよい。冷水を飲んではいけない。冷たいものや生ものはすべてよくない。冷えた麺も多く食べてはいけない。虚弱な人は、下痢をもっとも憂い恐れなければならない。冷水に浴してはいけない。暑さが激しいときでも、冷水で顔を洗うと、眼を損傷する。冷水で手足を洗ってもいけない。睡眠中に、人に扇であおがせてはいけない。風に当たって寝てはいけない。夜、外で寝てはいけない。また、夜、外気の中に長く坐って、夜露に当たってはいけない。酷暑のときでも、涼しくしすぎてはいけない。日に長くさらされた熱いものの上に、坐ってはいけない。


〇〇してはいけないづくしですが、昨日・今日とシリーズでお伝えしている「梅雨~夏の養生法」で書いたことと、同じようなことをおっしゃってますでしょ?暑いからと言って、身体を冷やしてはいけないのです。その理由は、


ひとつは、発汗→腠理が開く→外邪が入りやすくなるから。

もうひとつは、伏陰→消化の鈍化→脾胃が弱りやすくなるから。


生ものや冷たいものを摂り過ぎて、胃が冷えると、胃の動きが悪くなるため、胃もたれしやすくなります。西洋医学で、胃アトニーというやつですね。冷えが悪化すると、胃の痛みや手足の冷えなどが起こります。


反対に、脂っこいものや辛いものを摂って、胃に熱がたまると、胃の動きは活発になりますから、食欲は亢進します。悪化すると、熱を伴う痛みや嘔吐、口臭、便秘などが起こります。


東洋医学では、前者を胃寒証、後者を胃熱証といいますが、これに湿邪がからんでくると、症状の改善がしにくくなるのでやっかいです。胃から脾へと病いが広がり、消化機能全体に影響が出てしまいます。


ジメッ、ムシッとする日本の夏。脾胃を守らないと、即夏バテといことになりますから、気をつけましょうね。

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