近年、国や業界団体が地方自治体が工事を発注する際の予定価格や最低制限価格の公表時期を原則事後公表にするよう要請しています。予定価格とは、文字通り落札価格を意味し、最低制限価格は、公共団体が工事を頼む際の最低価格です。
この予定価格などを公表する時期が事前公表の場合、業者は予定価格と最低制限価格の間の価格を入札することになります。
多くの場合、これらの価格は民間の利益が出るよう算定されているため、工事を受注しようと思えば、最低制限価格と全く同じ価格を入札することになり、最後は同額同士の争いとなり、くじ引きで落札業者が決定することが多くなります。
ではなぜ地方自治体は事前公表を採用しているのか。
事前公表のメリット
官製談合のリスクを無くせる
再入札を少なくできる
特に多くの自治体が躊躇しているのは官製談合の問題です。民間が利益を最大化しようと工事価格を事前に知ろうと官に持ちかけ、高価な現物やお金等の見返りを渡すという問題。事前に価格を開示しておけば犯罪は起きない!という考えです。しかし、これは公務員の倫理感や人格の問題であり、事後公表の方のメリットが市にとってはるかに大きいはずです
事前公表のデメリット
業者間談合の助長
予定価格が目安となって競争が制限され、落札率(価格)が高止まりとなる
最後はくじ引きによる落札業者が決定するため、単純な価格競争に陥いる
民間の見積もり努力
予定価格から推定できる最低制限価格を指標とした低入札を誘引し競争性を阻害
技術競争が起きない
積算能力が不十分な事業者の参加が容易、民間側の見積もり価格が担保しづらいなどの質の問題
事後公表のメリット
全国的には増加傾向にあり、事後公表実施市町村は、961団体
談合が容易に行われない
業者の適正な見積りが期待できる(予定価格に影響を受けるおそれが少ない)
落札価格が低下傾向になる。
国が地方公共団体に対し、事前公表をやめるよう要請している背景にあるのは全国で頻発している談合の問題と、価格競争に陥り、民間の見積もりが甘くなったり、工事の質の低下の問題です。現に国が事後公表を要請している根拠としているのは公共工事の品質確保の促進に関する法律です。(法に基づいた自治体に対するガイドライン「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」で必ず実施すべき項目として予定価格は原則事後公表とする。とある)
最低制限価格を下回った場合の対応は
低入札価格調査制度の導入(その価格で工事ができるのか調査する)
再入札
ポイント
業界団体や自民党も事後公表を求めている
土木、建築、水道など各工事のうち、試行してみてはどうか
予定価格に対する落札額の割合が100%近くの高落札率の案件が減少(東京都)という実績もある。
企業努力が生かされる制度でなく、また試行したこともないのに、なぜ落札率が高止まっていないといえるのか
東大阪市は令和2年度から予定価格が2 億円以上の建設工事の入札で、予定価格を事後公表に変更。
北河内地域、(事前公表5市・事後公表2市)、大阪府下の自治体は全国的な傾向に反し、依然として事前公表が多い
9月議会街づくり委員会議案審査に続き、次回12月議会一般質問で本腰を入れて取り上げ、適正な競争の確保と適正価格での契約という本来の趣旨に則った入札制度となるよう実現まで取り組んでいきます。
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