いつもと同じように菜奈美が車に乗り込んできた、

菜奈美は膝が隠れるくらいの丈のスカートが好みの様で、

デートの時はいつもそれくらいの丈のスカートで来る、

車のシートに座るとそのスカート裾を整え、

膝に乗せた薄手の上着やショルダーバッグを置き直すと

シートベルトに手を伸ばす、

今日はお昼過ぎの待ち合わせで、

孝志は、

「こんにちは」

と挨拶をすると、

「こんにちは」

そう返事があった、

孝志も外していたシートベルトをして、

車のエンジンをかけて、

ゆっくりと車を出す、

「今日も地元でうろうろしようかなと思っています」

と孝志が今日の予定を伝えると、

菜奈美は軽く頷いた、

デートが始まっても菜奈美は黙って隣に座っている、

孝志が世間話を振るまで、

十八とは思えない落ち着きでシートに座っている、

またそれが菜奈美の大人っぽい容姿に合ってるからたまらない、

でも、男によってはとっつきにくい女だなと思わせるだろうな、

と孝志は思い、

でも、そう言う落ち着いた女が好きと言う自分と同じ男も居る、

世の中うまくできてる、

孝志は、試しにこのままずっと自分が喋らなかったら、どうなるのかな?それでも菜奈美は黙っているのかな?

そんな事を考えたりする、

でも結局孝志がほっとけなくなって話しかける、

「少し暖かくなってきましたね」

すると菜奈美はただ頷くだけ、

基本、口数が少ない、最初のデートの時はもう少し喋っていた様に思うが、

「出会った頃は、もっと寒かったよね?」

再び頷くだけ、

「防寒のコートって暖房の効いた部屋に入って脱ぐと、余分な荷物になるでしょう?」

すると菜奈美は少し微笑んで頷いた、

菜奈美ってこんな女の子、

「でも暖かくなってくると、薄手の上着で大丈夫になるから、荷物が減った感じになる」

孝志の話に納得した様で、菜奈美は頷いた、

菜奈美に話しかける時は難しい事を考えずに、ある程度のストーリー性のある話をしないと、

間が持たない、

「もう衣替えはした?」

孝志は一人喋りの話題を変えて、質問をした、

「まだしていないです、突然、寒くなったりするから」

孝志はやっと喋ったと思い、

「出かける時、暖かいからって油断して出かけると、ちょっと日が傾くとめちゃめちゃ、寒くなってきたりするよね」

と言う感じに、菜奈美が興味を示す話題が見つかるまで話しかける、

そこで孝志は単なる質問をした、

「菜奈美さんは短いスカートは、嫌い?」

するとどうですか、菜奈美は少し微笑んで、しかも少し考える間合いがあって、

「そうですね、短いスカートは好きではないですね」

孝志はだろうね、菜奈美を見てたら分かると思い、

「持っているスカートで膝が出る丈のスカートある?」

すると菜奈美は少し考えて、

「膝が出るくらいなら、持っています」

孝志はなるほどと思い、

「じゃ、もっと短い膝上、五センチ、十センチくらいのスカートは持っていないって事?」

すると菜奈美は照れる様な表情で困った風に答えた、

「そんな丈の短いスカートは持ってないです」

それで孝志は。

「短いスカートが可愛いって履く女の子も居るよね」

すると菜奈美は直ぐに答えた、

「あまり足を出したくないです」

それを聞いて孝志は微笑みながら答えた、

「男がじろじろ見るでしょう?」

すると菜奈美は考えながら答えた、

「そう言う心配をします」

孝志は自分が悪そうに恐縮しながら言った、

「僕も男なので反省しないといけないけど、足とか胸とか顔とか見ちゃうんですよ、男の悪い癖」

すると菜奈美が問いかけてきた、

「癖ですか?」

菜奈美のその問いかけは剣の様な鋭さで噛みついてきた、

でも孝志は、甘噛みくらいに受け取り、

「言い訳に聞こえた?」

と甘噛みした理由を尋ねた、

すると、菜奈美は何も答えない、

菜奈美ってこう言う事をする女の子、男を不安にさせる癖がある、

「僕は男を代表して非を認めたつもり」

孝志はこの話をこれで終わらせようと思い、沈黙で、

菜奈美の意見を待ったが、菜奈美は意見はないようなので、

「髪の毛の手入れ大変ですか?」

菜奈美は素直に答えた、

「大変です」

それで孝志は一般的なイメージで質問をした、

「大変だけど、伸ばしているのは、黒髪は女の命、的なやつ?」

すると菜奈美は少し首を傾げて、そう言う理由じゃない、と言うリアクションをして、

「両親に薦められました」

孝志は両親と聞き、

「いつから伸ばし始めたの?」

菜奈美は思い出す様に言った、

「小学生、六年生くらいです」

孝志はとりあえず、

「そうなんだー」

と答えたが、親と菜奈美の結びつきを想像してしまった、

小六は親の言いなりな年齢だと思う、もう十八ギリセーフかな、

でもそろそろ親離れをしないといけない頃と孝志は心配をした。


つづく。