オリニナル(こどもの日)が
過ぎ去ったばかりだというのに
天界にはオボイナル(両親の日)
というのがあるらしい
その話を母親のウンスから
聞いた長男のタンは
あることを思いついた
 
それは 本当に久しぶりに
チェヨンが王宮を休んだ日のこと
その日は 以前から
ウンスも診療所を休みにしていて
家族揃って
のんびりと朝餉が終わった頃
 
子供達は待ちかねたように
ずらっと勢揃いして
娘たちは父親チェヨンに
息子たちは母親ウンスの頭に
手作りの花かんむりを
誇らしげに載せた

 

早朝から庭で子供らが

へジャやオクリョンと

ワイワイ

何かをやっていたことに

両親は気がついていたが

まさか

自分たちへのソンムルの

花かんむりを

作っていたとは思いもせず

ウンスは

嬉しそうに歓声をあげた

 

 

まあ 素敵!

ああ それで・・・

 

 

庭から奥の間に戻ってきた

子供達の手の先がやけに

泥だらけだと思った謎が解け

ウンスはうふふと微笑んだ

 

黄色や白色の小花を編んで

作り上げた花かんむりは

春のいい香りがして

子供達の優しい気持ちが

伝わってくる

 

 

にぃにのあいであなのよ

いいでしょう?

 

 

スニョンがネタバラシをすると

タンは少し照れくさそうに

笑った

 

 

あのね

この黄の花

サンがとった

 

 

自慢げなのは次男のサン

 

 

いいわね〜

綺麗なお花がいっぱいで

いい香りがするわ

 

 

子供達にありがとうを伝える

穏やかな微笑みのウンスの隣で

やや困った顔をしているのは

夫のチェヨン

その姿に

ウンスは思わず吹き出した

 

 

ほんと

高麗広しといえども

花が一番似合うナムジャは

ヨンに決まりね

 

 

ちょうど小さな黄菊が

チェヨンの形のいい耳の

横にあって

ウンスは懐かしそうに

それを眺めた

 

 

ああ いや

そ・・・うか?

 

 

アッパ!

ステキ!

きょうはずうっと

それ つけていてね

 

 

これをずっと?か?

 

 

ユニョンの言葉に

なんと返そうか

答えに窮していると

ウンスがそっと助け舟

 

 

うふふ

それはいいアイデアね

でもね 

お水につけておかないと

花かんむりがしおれてしまうわよ

これは大事に寝床に飾って

置こうと思うの

どおかしら?

 

 

しおれるのぉ??

 

 

驚いたのは次男坊のサンだ

せっかくの花かんむりが

無残な形になったらどうしよう

 

 

お花にはお水が必要なの

だからしばらく綺麗に

咲いていられるように

お水をあげなくちゃ

 

 

そおだね

そうしよう!

 

 

ユニョンやサンの納得に

安堵したのは

他ならぬ父親のチェヨンだ

子供達の

親思いの気持ちを思うと

屋敷の中で過ごすぶんには

一日中 花かんむりを

被ってやりたいような

気もするが・・・

今日はこれからお出かけが

控えていたのだ

 

 

じゃあ

へジャに

大皿を用意してもらって

そこに浮かべて

寝台の横の卓に飾るわね

 

 

あぁ〜い

 

 

子供達の威勢のいい返事

その声を聞きながら

こんな時 カメラがあれば

どんなにいいだろうと

ウンスは密かに思っていた

もちろん

この一瞬を記憶の中にとどめて

後から思い出すことはできる

だが 

もし画像や映像に残せたら

後で見直した時に

自分や夫や子供達の

幸せそうな顔に出会えるのに

 

 

記録より記憶って言うけど

記録も大事よね

あぁ こんな時

現代じゃないのが

ほんと残念だわ

 

 

如何した?

 

 

ううん 独り言

子供達もどんどん

大きくなっていくから

今の姿を残したいなぁと

思ってね

 

 

ああ ならば絵師に

絵を頼むか?

 

 

なるほど!

その手があったか!

 

 

いや 待て

そのようなことを

うっかり話そうものなら

王様がお出ましになられるぞ

 

 

絵を描くことが唯一

昔からの趣味の王様の

絵筆は趣味の域を超えている

 

 

そおね

絵師を頼むときは

うっかりソダンで公主様の

耳に入らないように

子供達にも言っておく?

それともいっそ

王様に描いてもらおうかしら?

 

 

そのような大胆な発想は

イムジャにしかできぬ

 

 

チェヨンは苦笑して

愛しい妻の髪を撫でた

 

 

それからチェヨンたちは

大行列で出かけることにした

 

両親の休みに合わせて

ソダンも休み

子供達もどことなく

浮き足立っている

 

 

それにしても

五人の子供を連れて

移動するのは大変ねえ

 

 

以前ならば全員

輿に乗り込めば

それで事足りたのだが

今や家族が増えて

そう言うわけにもいかないのだ

 

輿の御者はへジャ夫婦

輿にはウンスと娘たち

そして赤ん坊のゴンが乗り

その横にはチェヨンが騎乗した

愛馬チュホンが寄り添い

そしてタンの愛馬リョンには

タンが一人で騎乗している

 

その凛々しい乗馬姿を

誇らしげな顔で

見つめているのは

近所に住む

叔母のチェ最高尚宮こと

チェ・ギョンウォンだ

ギョンウォンも此度は一緒に

出かけることになっており

馬に乗ったその膝元には

サンを抱えていた

 

ウンスはそんな

一家総出の光景を

随分と

大家族になったものだと

感慨深く輿の窓から

見渡していた

 

ウンスの今日の出で立ちは

以前からお気に入りの

ひらひらした黒い衣を身にまとい

胸元には子供達から誕生日の

ソンムルにもらった首飾りをかけ

夫が昔見立てた翡翠の髪飾りと

今朝子供達にもらった

花かんむりで

おめかしをしていた

 

花かんむりは一つを

閨の卓に飾り

もう一つはウンスの頭を

飾ることにしたようだ

 

綺麗なオンマを眺めるのは

タンも他の子供達も嬉しくて

窓から身を乗り出すオンマを

ぼうっと見つめていたのだが

ただ一人 三男坊のゴンは

そんなことなど

御構い無しに

よだれだらけの顔を

母親の衣にこすりつけた

 

慌てた

スニョンとユニョンに

それを咎められ 

泣いてしまったゴンは

今度は 涙まみれで

オンマにしがみつき

着飾ったウンスの装いは

涙とよだれと鼻水で

あっという間に

デロデロに・・・

 

 

あぁああ ゴンったら

もう!

せっかく きれいなのに

 

 

ユニョンが渋い顔をすると

 

 

いいわよ

ケンチャナ

ゴンはまだ赤ん坊だもの

汚すのが仕事よね?

 

 

オンマにあやされ

ようやく笑ったゴンは

あうあうぁ〜と

「そうだそうだ」とでも

言いたげに

姉たちに言い返した

 

へジャ夫婦は

馬の手綱を握りながら

輿の中の様子に微笑んでいた

 

主人夫婦とともに

チェ尚宮まで伴って

家族で出かけるのは

実に久しぶりのこと

遠出はゴンにとっても

初めてのことで

賑やかな

お出かけになりそうだ

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

絆を感じる家族の行事

一つ一つ積み重ね

時を重ねて

思い出深く

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

今日は母の日

みなさま

いかがお過ごしでしょう?

 

haruの母はすでに他界し

今年は七回忌を迎えましたが

店先に並ぶ

カーネーションを見ると

最期に病室で渡した

カーネーション柄の

綺麗なカードを思い出します

 

母の人生は幸せだったろうか

そんなことを思う母の日でした

 

ヨンとウンスは

可愛い子供達に囲まれ

いい「両親の日」に

なったようです

さて お出かけはどこかな?

 

またおつきあいくださいませ

安寧にお過ごしくださいね

 

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