ソクテが畑に行ってから
降り出した雨は
だんだんと本降りになり
ザアザアと音を立てて
地面に落ちていた
 
 
スグク(紫陽花)には
恵みがすぎる大雨だわね
ソクテは畑に行ったきりなの?
 
 
ウンスは昼までの診療を終え
母屋の奥の間に戻って
ヘジャに声をかけた
 
 
はい 奥様
あの人のことだから
小屋で何かしら作業でも
しているのかもしれません
 
 
そうね
雨に濡れなきゃいいけど
 
 
ウンスは開け放たれた扉から
聞こえる雨の音に耳を傾け
王宮へ上がった息子のタンを
思った
 
今日は雨のせいか
急患は熱のこもった子供や
頭痛の女人が多かった
 
ウンスは開院初日のような
混乱を避けるため
診療所からのお知らせを
来訪者に知らせる手段として
屋敷の門の前に
看板を設置することにし
早速
昼までは診療のみを受け付け
相談事は予約制とする旨を
字が綺麗なミヒャンに
書いてもらい張り出した
 
そのおかげもあってか
この天候のせいか
わざわざこんな日に
美容相談や不妊相談に訪れる者も
予約に来る者もおらず
菊花診療所は定時に診察を
終えることができた
 
昼から 見習いのモモは
医女養成所の試験に合格するため
診療所の休憩室で
ミヒャンに字を一から教えてもらい
医学書を読むための素地づくりで
勉強熱心に取り組んでいた
ミヒャンはミヒャンで
モモに文字の読み方を教えながら
医学に触れ
勉強をしているようだった
病の知識がないと受付が務まらないと
痛感したここ数日
チェ侍医の教えを守り
記録簿をつけながら
受付業務がうまくいくように
ミヒャンもまた頑張っていた
 
イサは屋敷の中にある自分の部屋で
休憩中で
午後は開院前から
贔屓にしてくれている患者の宅に
薬を届けがてら
往診に向かう予定だった
ヘジャは忙しいイサに
滋養をつけてもらおうと
貝の入ったクッパを作り
部屋に運んだ
 
ウンスは
子供部屋の様子を覗き
お腹を空かせ泣いていた
三つ子たちにお乳を与えると
子守をオクリョンとクリムに任せ
奥の間に移動して
少し遅めのクッパの昼餉
 
ポムはミョンの付き添いで王宮へ
ヨンファはキム家の用事で
今日は顔を見せていなかった
夫も息子も不在で
いつもは賑やかな奥の間に
ウンスとヘジャの二人きり
部屋の中が妙にガランと感じた
 
 
雨が止む気配もないわね
 
 
そうでございますね
そろそろソクテも戻りましょう
卵を持って帰ると
行っておりましたので
夕餉にケランマリをお作りに
なりますか?
 
 
そうねぇ
そうしようかしら
タンが喜びそうね
 
 
間引いたム(大根)や菜っ葉も
あるでしょうから
ナムルもいいかもしれません
 
 
それも いいわね〜
それにしても
カムジャの収穫は楽しみだけど
コチュ(唐辛子)も
手に入れたいもんだわ
カクテキ(大根キムチ)が
無性に食べたくなる
クッパに合うのよ
 
 
コチュ?カクテキ?
に ございますか?
それはどのような?
 
 
天界のソウルフードかなぁ
真っ赤なキムチが懐かしいわ
辛いんだけど奥深い味で
美味しいのよ
 
 
ヘジャには真っ赤な食べ物は
想像できなかったが
ウンスの
うっとりする顔つきを見て
きっと美味しいのだろうと
納得をした
 
 
そうそう
クリムもすっかり屋敷に
馴染んだみたいね
 
 
はい おかげさまで
子守はオクリョンとクリムに
安心して任せられます
 
 
そうね
でもクリムを子守に取られちゃって
ユウやハヌルがぼやいてない?
三つ子のおしめの洗濯だけでも
相当な量だもの
それにあの二人
化粧品づくりにも駆り出されて
 
 
そうでございますねぇ
ですが
奥様がご心配なさることでは
ありません
奥のことはヘジャにお任せを
 
 
そうなの?
色々差配してくれて
ありがとう
頼りにしているわ ヘジャ
 
 
ヘジャはどんと胸を張った
 
 
ところで
ハヌルに縁談があるようですよ
奥様
 
 
まあ そうなの?
 
 
はい ですが
本人は嫁に行くことを
渋っているようでして・・・
 
 
どうして?
あの器量だから
まさかどこかの側室とかじゃ
ないでしょうね?
 
 
いえいえ
幼馴染だとか・・・
互いの両親も知り合いで
トントン拍子に進むかと
思ったのですが・・・
どうも このお屋敷を
去るのが嫌なようで
 
 
え?結婚したら
通いの女中は続けられないの?
 
 
そうでございますねぇ
母のように子育てしながら
お屋敷奉公を続ける者も
おりますが・・・
家に入ると相手の舅姑の考えも
ありますからねぇ
そう考えると母は
幸せ者でございましたね
 
 
ヘジャは亡き母親を偲んだ
 
 
あ ソクテが帰ってきたようです
 
 
え?全然わからないけど?
 
 
表でガサゴソ
音が聞こえますので
様子を見てまいりますね
 
 
雨の音しか聞こえないのに
愛する夫の気配には
ヘジャも聡いのだと
ウンスは微笑んで頷いた
 
 
ええ わかったわ
 
 
お茶の用意をしてまいります
 
 
そろそろタンが戻る頃だろうか
と ウンスはまたぼんやり
屋敷の外を眺めた
庭のスグク(紫陽花)が雨に濡れ
生き生きと咲いている
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
雨音が楽しく思えたのは
いつの頃までだったろう?
雨降りを憂鬱に感じるのは
大人になったってことかしら?
 
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*傘
 
 
低気圧のせいか?
夕方より体調が悪く
お話がいつもより
短めになりました(・・;)
 
もう少し書き足そうと思って
おりましたが
内容的に
ちょうどキリが良さげなので
書けたところまでで
すみませぬ m(_ _ )m
 
 
リアル日本列島
大雨被害大丈夫でしょうか?
皆様
どうぞお気をつけくださいませ
余震の心配もございます
地震があった地域の皆様も重ねて
どうぞお気をつけくださいませ
 
皆様安寧に・・・
またおつきあいくださいねダウン

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