夕餉に間に合うように
愛馬チュホンを飛ばして
帰って来たチェヨンを
ウンスとタンは並んで出迎えた
 
 
おかえり ヨン
 
 
あっぱぁ ぺごぱ よ〜
 
 
すまぬ
これでも急いだのだぞ
腹が減ったか?タン
 
 
あぁ〜〜い
たん ぺごぱ よ〜〜
 
 
そうか 
 
 
チェヨンは優しく微笑むと
息子の頭を撫でた
 
 
タン いい子にしておったか?
今日は何をして過ごしたのだ?
 
 
たん 
みょんとおけいこ 
あと えっとぉ
トル(石)ならべ
 
 
補足するようにウンスが答える
 
 
年末に叔母様からいただいた
碁盤に石を並べて遊んでいたわ
それに二人して
えいや〜って剣術の稽古
師匠はポムよ 
 
 
それは良いな
二人とも
いい鍛錬になったであろう
それに夜もよく眠れる
 
 
やぁね そんなつもりで
鍛錬したんじゃないわよ
 
 
ウンスは頬を染めた
 
 
ミョンは人見知りが激しい子
なんだけど・・・
さすがチュンソクさんの息子よね
剣を持つとまるで人が変わるのよ
構えなんか 決まってるの
 
 
ミョンを褒めたウンスに
タンは口を尖らせ聞いた
 
 
おんまぁ たんは?
たん りんき よ〜
 
 
あら 悋気なの?うふふ
もちろんタンの構えも
剣さばきも
かっこいいわよ〜
 
 
ウンスはタンの鼻を
ちょんと軽く弾いて微笑む
 
 
さあ 夕餉にしましょう
参鶏湯よ
へジャお願いね
 
 
しゃむげぇたん〜〜!
うきゃ
 
 
タンの喜びように
後ろに控えるへジャが
うれしそうに笑って言った
 
 
はい へジャにお任せを
 
 
ヨンもほら
着替えて来てね
 
 
ああ
 
 
ウンスに促され
着替えをすませると
三つ子が寝ている隙にと
奥の間では
親子三人が揃って参鶏湯の夕餉
そして
ウンスは喋り続けた
 
昼間の三つ子の様子や
お乳の飲みっぷり
新しく入った女中クリムの奮闘ぶりに
ポムやヨンファとの会話など
いつも以上に
 
参鶏湯は夫婦の合図
初めは 
今宵の約束に照れて緊張し
おしゃべりが止まらないのか
と思ったチェヨンだった
どうもウンスの様子が変だ
 
 
イムジャ どうかしたのか?
 
 
え?
なんで?
 
 
いや あまりによく
喋り続けると思うて
 
 
おしゃべりは嫌い?
 
 
いや そう言うわけでは
 
 
おしゃべり好きな私より
可愛い若い子の方が
好みなんじゃないの?
 
 
どこか棘のある言い方だった
 
 
何を言い出すのだ?
 
 
別に・・・
 
 
今度は急にだんまりを決め込む
そんな夕餉が終わり
チェヨンはタンと湯浴みする
ことになった
 
 
三つ子は沐浴を済ませたの
タンはあなたと入るって言うから
お願いね
私は今のうちに
お乳を飲ませておくわ
 
 
ああ 
 
 
チェヨンはタンの手を引き
閨のそばの湯殿に向かった
何も尋ねぬウンスだが
あの様子は どう考えても
昼間のおかしな噂を
耳にしたに違いないと
チェヨンは思った
 
だがずっと屋敷にいるウンスが
どうして噂を知ったのか?
常に側に控えている忠義者のへジャが
そのような類の話を
ウンスの耳に入れるとは
考えられなかった
 
 
タンを寝かしつけてから
話をするか・・・
 
 
チェヨンはひとりごちた
その時タンがチェヨンに
話を始めた
 
 
うんと 
あのね あっぱぁ
 
 
あ?なんだ?
 
 
おもちゃ きたの
たんのも あるよ〜
 
 
おもちゃ?また叔母上か?
 
 
苦笑したチェヨンはふと
タンに尋ねた
 
 
ばぁばが来たのか?
 
 
タンは首を傾げて
答えた
 
 
う〜〜ん と
ばぁばのおちゅかい 
よ〜
 
 
チェヨンとタンが
湯浴みに行った後
後片付けをしていたへジャは
ため息をついているウンスに
たまりかねたように言った
 
 
奥様 いっそ旦那様に
仔細を伺っては
いかがでしょう?
そんなはずないですもの
旦那様は奥様に一途
都のものなら
誰だって知っております
 
 
ええ わかっているわ
あの人に限って・・・
ただ・・・もしかしてって
そんな風に
一瞬でも思った自分に
腹が立っているのよ
 
 
昼過ぎに叔母チェ尚宮に頼まれていた
三つ子のガラガラを届けに来た
小間物屋コヤンの女主人は
チェヨンの噂を聞きつけ心配し
へジャの耳に
入れておいた方が良かろうと思って
新しくできた飯屋の三姉妹の話を
厨房でへジャに密かに聞かせた
もちろん
ウンスの耳に入らぬように
密かに話したはずが・・・
運悪く 参鶏湯の様子を見に来た
ウンスに聞かれてしまったのだった
 
戦地でチェヨンが情けをかけた娘が
チェヨンを追って 都にいる
それが若くて美しいと聞いて
心がざわついた
 
そんなはずあるわけないけれど
もしかして・・・
チェヨンも男だもの・・・
そんな思いがよぎった
あれこれ逡巡しているうちに
どんよりとした思いが湧いた
 
 
イムジャ
噂を聞いたのだな
 
 
いつの間に湯浴みから戻ったのか
目の前にチェヨンがいて
ウンスに尋ねた
 
 
え?
あれ?タンは?
湯浴み?終わったの?
 
 
ああ タンならば
寝かしつけて来た
それよりイムジャ・・・
 
 
いいのよ
噂だもの
気にしてないわ
 
 
その言い方が
気にしておるではないか
俺が悪かった
 
 
え?
どうして謝るの?
まさか
本当に浮気したの?
 
 
はぁぁ??
浮気などするか
俺にとって女はイムジャだけ
謝ったのは 戦から戻り
あの者たちのこと
話をするのを忘れたことだ
話すべきだったのに
屋敷に戻りイムジャの顔を見たら
他の女人のことなど
すっかりどうでもよくなって
すっかり忘れてしまっていたのだ
 
 
どうでもって・・・
じゃあ 何があったか
ちゃんと聞かせてくれる?
 
 
ああ 無論だ
やましいことは何もない
イムジャならばきっと
捨て置かぬだろうと
柄にもなく人助けのつもりであった
それに女たちと話をした時
アン・ジェも一緒であったぞ
なんなら
ウネにも聞いてみろ
 
 
ううん
その必要はないわ
ヨンが嘘をついてないことも
きっと事情があったってことも
わかるから
でも
頭ではわかっているのに
一瞬でも
噂に焼きもちを妬いた自分が
情けないだけよ
 
 
しょんぼりと
ウンスは肩をすくめた
 
 
イムジャ
悋気か?
 
 
チェヨンはふっと頬を緩め
それから
ウンスを急に抱き上げると
お乳を飲み
奥の間の隣に置いた寝台で
静かに寝ている三つ子を見渡して
へジャに言った
 
 
へジャ すまぬがしばし
この子らを頼む
 
 
は はい
へジャにお任せを
 
 
へジャはどぎまぎした表情を
悟られぬように
主人夫婦に頷いたが
ウンスはジタバタと
チェヨンの腕の中で暴れている
 
 
ちょっと ヨン
下ろして 
ダメよ
話が先よ
 
 
嫌だ
これ以上待てるか!
詳しい話は後だ
 
 
下ろしてってば
 
 
ならぬ
 
 
ヨン?
 
 
もう離さぬ
我慢もせぬ
 
 
チェヨンはそう言うと
ウンスを連れて
あっという間に
閨へと消えた・・・
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
強がるところも
素直じゃないところも
悋気するところも
愛しすぎて 恋しすぎて
 
 
 
 
またおつきあいくださいませ照れ
ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ
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