チェ先生!
チェ先生!医仙様が
 
 
サラの声が部屋に響く
産所の外では
チェ尚宮と入れ違いに
産気づいたウンスを心配して
屋敷に来たポムがおろおろしていた
 
 
侍医 如何したのだ?
ウンスや
しっかりしろ
 
 
部屋に飛び込んだチェヨンに
素早く脈を診たチェ侍医が答える
 
 
気を使い果たしたので
ございましょう
呼吸が弱まっております
 
 
それでは
死んでしまうではないか
 
 
チェヨンは焦りの色を浮かべ
ふと昔 自分が気を失った時
ウンスが口から気を注いでくれたと
テマンから聞いたことを思い出した
 
 
イムジャ
決して死なせぬ
 
 
チェヨンはウンスを抱きしめ
唇を合わせると
何度か息を吹き込む
 
 
イムジャ しっかりしろ!
俺の声が聞こえるか?
 
 
タンは産所の前で
チェヨンのただならぬ気配を
感じていた
ばぁばチェ尚宮は
チェヨンから
二人目が生まれたことを聞き
母子の無事を確認すると
タンをへジャに預け
大急ぎで
王宮へ戻っていった後だった
 
 
おんまぁ
じゃじゃ〜〜おんまぁが〜〜
あっぱぁ たん よ〜〜
あっぱぁ けんちゃな?
 
 
若様 行ってはなりません
ここでへジャと一緒に
待っていましょう
 
 
や〜〜よ〜〜〜
たんもいく
たんもいく
 
 
タンはへジャに体を押さえ込まれ
身動きが取れずにいたが
ジタバタジタバタと逃げ出そうと
している
 
 
おんまぁ
たん よ〜〜
おんまぁ けんちゃな?
 
 
タン・・・?
私どうしたの?
 
 
チェヨンの口づけと
タンの泣き叫ぶ声で
ウンスは我に返った
 
 
よかった
気がつきましたか?
 
 
チェ侍医が静かに尋ねる
 
 
ええ でもどうしたの?
まさか 赤ん坊に何か?
 
 
いえ 医仙様
そうではありません
お嬢様たちはとてもお元気です
ただ・・・
 
 
ただ?
 
 
サラ医官 お産後の処置は
終わったのだな?
 
 
チェ侍医はもう一度確認をした
 
 
はい チェ先生 
 
 
ならば
ここへ来て脈を診てみよ
 
 
はい・・・
 
 
サラは目を閉じて
ウンスの脈に神経を集中した
 
 
これはっ?一体?
どういうことでしょう
今まで前例がありません
 
 
一体なんなのだ?
どうしたというのだ
 
 
二人の会話の要領がつかめず
チェヨンは苛々とした口調で尋ねた
サラはウンスとチェヨンに向き直り
きっぱりと告げた
 
 
医仙様のお腹に
まだお子がいるとしか思えません
この脈は
そうとしか考えられません
 
 
はぁ?三人姉妹ということか?
イムジャ 
おい イムジャ?
 
 
その時
最初に生まれた赤ん坊が
ぎゃぁと泣き
チェ侍医はウンスを気にかけながら
急いで新生児のいる部屋に戻った
 
幸い先に生まれた二人は
元気な様子
保育器が足りないことに
気づいたチェ侍医は
一人目の赤ん坊の保育器を
三人目に使うことに決めた
 
 
イムジャ
イムジャ
もう一人
まだ腹におるのだ
 
 
ウンスは朦朧とする頭から
一気に覚醒した
 
 
え?
うそ!
この時代はエコーもないし
検査も精密じゃないけど
私 医者なのに
どうして?嘘でしょう?
 
 
ウンスが言う言葉の端々に
最近では使わない
天界の言葉が混ざる
それほど
狼狽していると言うことだろうと
チェヨンは思った
 
 
落ち着け イムジャ
だが
考えてみれば
喜ばしいことではないか
いっぺんに家族が三人も増えるとは
 
 
ウンスはチェヨンの言葉に
落ち着きを取り戻した
 
 
そうかも
 
 
ですが
陣痛が弱く 脈も弱々しい
このままではお腹のお子にも
医仙様にも・・・
 
 
サラは悲痛な顔をして
ウンスに言った
 
 
サラ・・・
医者がそんな顔を見せちゃ
ダメじゃない
患者が・・・
不安になる・・・でしょう?
 
 
すみません 医仙様
私はまだまだ修行不足です
これからも医仙様のおそばで
修行をさせてください
 
 
ウンスは微かに笑った
 
 
イムジャ 水を飲むか
 
 
チェヨンが二人の会話に割って入る
 
 
うん のま・・・せて
喉 乾いた
 
 
チェヨンはウンスの口元に
茶碗を運んで優しく髪を撫でた
 
 
ヨン
そばにいてね
不安で仕方ないの
離さないで
 
 
ああ
離すものか
侍医 
陣痛を促す方策はあるのか?
 
 
チェヨンは扉の向こうの
衝立で仕切られた
隣の部屋で
娘たちを診てくれている
チェ侍医に尋ねた
 
 
鍼を
生薬もあるにはありますが
この状況では効くまでに
時がかかりすぎますから


チェ侍医の答えに
チェヨンは迷わず言った
 
 
サラ医官
イムジャに鍼を・・・
 
 
はい 上護軍様
 
 
サラはチェ侍医に確認しながら
経絡を探し当てていく
 
 
では
よろしいですか?医仙様
 
 
ええ・・・
 
 
どうか無事でいて
顔を見せてちょうだい
ウンスは祈る気持ちで
お腹に語りかけ
鍼治療を受けた
 
 
若様 なりません
若様!!!
 
 
へジャに抱きかかえられていたタンが
へジャを振り切り産所の扉を開け
飛び込むように
中へ入ってきた
 
 
申し訳ありません
旦那様
 
 
おんまぁ
たん よ〜〜
おんまぁ
 
 
タン


や〜〜
やめてぇ
おんまぁ   いたいよ
 
 
鍼が突き刺さったウンスを見て
泣き顔になったタンが
必死にサラに訴えた
タンの姿にウンスも泣き顔に変わる
チェヨンは二人の様子を見て
タンに尋ねた
 
 
タン 
一緒に見守るか?
母上の姿を
 
 
あい・・・
 
 
泣かずに
ちゃんと母上を見守ると
約束できるか?
 
 
あい
 

タンは涙を拭いた

 
よし
へジャ タンをここに残すゆえ
心配いらぬ
 
 
チェヨンはタンを抱き上げると
ウンスの顔の近くに運んだ
 
 
イムジャ タンだぞ
一緒に見守っているからな
 
 
うん
頑張るからね
タン 頑張るからね
 
 
すでに体力は使い果たし
ほぼ気力だけで
目を覚ましているウンスに
三度目の陣痛
 
歪んでいく母親の顔
声にならない悲痛な叫びに
タンは目をばちばち瞬かせ
それでも泣かずに耐えた
 
 
医仙様
いきんでください
時があまりありません
これ以上はお子様に障ります
 
 
ううーーーーーん
 
 
もう一度
 
 
ううう〜〜っ
 
 
もう少し
 
 
苦しい・・・もうダメ
諦めかけたウンスにタンが言った
 
 
おんまぁ おんまぁ
おんまぁ 
あっぱぁ いるよ
たん いるよ
はなとる いるよ
おんまぁ
おんまぁ
 

タンがウンスのお腹に手を置いた
暖かな気が流れてくるのがわかる
小さなタンの手の上に
チェヨンの大きな手が重なる
その時
不思議なことに
もう一つ 手を感じた
 
 
だれ?
 
 
綺麗な女の人が
チェヨンとタンとお腹の子を
優しく包むような眼差しで
微笑んでいる
その隣には
かくしゃくとしたソンオクの姿
 
 
ヨンのお母様だわ
ソンオク 連れてきてくれたの?
 
 
ソンオクもお母様も
ただ微笑むだけで返事はなかった
 
 
イムジャ
良いか
次の波が来たら
腹を押す
侍医の許可は得た
だが
それでも生まれて来ぬ時は
腹を割くことになるぞ
 
 
うん・・・
お願い
 
 
さあ 医仙様
あと一息です
いいですか?
サラ 頼むぞ
 
 
チェ侍医の声が聞こえた
 
 
医仙様
いきんで
 
 
うーーーーん
ハアハア・・・
ううーーーーんっ
はぁ〜〜〜
 
 
もう一度
 
 
ううーーーーーっ
ぐっ  ぐぐっ
 
 
おんまぁ
う〜〜〜〜ん
う〜〜〜〜ん
 
 
タンがウンスの声に合わせて
声を張り上げている
チェヨンはウンスのいきみに合わせ
腹の子を押し出した
 
 
出てこい
気づいてやれず
すまなかった
だが 
そなたが生まれてくるのを
待っているぞ
出てこい
頼む 出て来てくれ
 
 
ううっ〜〜〜〜〜ん
はぁ〜〜〜
 

よし!

 
ウンスは大きく息を吐き
小さな命がこの世に生まれ出た
チェヨンの「よし」
という声が聞こえた

だが生まれた赤ん坊は
皮膚の色に血の気がなかった
へその緒を切っても泣かない
チェヨンは小さな我が子を
抱きしめて突っ立ったまま
ウンスを見つめた
 
 
大丈夫?よね
ヨン・・・
なんとか言って
お願いよ
 
 
ウンスの目から涙がこぼれる
 
 
おんまぁ
なかないで
 

ウンスの涙に反応するみたいに 
タンの指先から暖かい光があふれ
部屋の中がその光で満たされた
すると
「げふっ」と
小さな小さな声が
チェヨンの耳に届いた
 
 
息を吹き返したぞ
イムジャ
 
 
ウンスは何度も頷いた
タンはチェヨンのそばに駆け寄り
まだ血まみれの赤ん坊を覗き込む

小さな赤ん坊が手のひらを
パッと広げてタンに見せた
兄上に挨拶をするみたいに・・・
 
 
あっぱぁ
はな?とる?せっ?
 
 
タンは不思議そうに聞いた
 
 
ああ そうだ
三つ子だぞ
この子は男の子だ
タンの弟だぞ
 
 
うきゃ〜〜
きゃはは
 
 
この日タンは
初めてうれしそうに
大きな声で笑った
生まれたての男の子は
すぐさまチェ侍医に預けられ
保育器の中に入れられた
他の二人よりも衰弱しており
体も小さかった
だがチェ侍医はチェヨンに言った
 
 
あとはお任せを
上護軍と若様は医仙様のお側に
 
 
ああ 
 
 
今度こそ本当に
意識が遠のいたウンスを
チェヨンは抱きしめた
タンもウンスの手を取り
すりすり頬を寄せている
 
 
よく頑張ったな
イムジャ   ありがとう


チェヨンの頬に涙が伝う
 
 
うん・・・
よかった・・・
生まれて来てくれて
あ お母様がね
 
 
ウンスはチェヨンに言いかけ
辺りを見渡したが
いつのまにか
お母様とソンオクは消えていた
あれは幻覚だったのだろうか?
と首をかしげると
タンがウンスの耳元で
こそこそ囁いた
 
 
あのね おんまぁ
ばぁばも しょんおくも
まもってくれてるって
 
 
ウンスはタンの心地よい声を聞き
ゆっくり目を閉じた
チェヨンが汗を拭ってくれている
部屋の向こうでは赤ん坊の泣き声
チェ侍医とサラの気配がし
そしてポムの歓喜の大声と
へジャの泣き声を押し殺したような声が
聞こえた
 
 
体はひどく疲れ切っていたが
ウンスはとても幸せだった
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
はな とぅる せっ
生まれて来てくれて
ありがとう
 
 
 
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
三つ子の自然妊娠
そして自然分娩の確率は
実際は天文学的数字ではないかと
思われます

時空を超えた二人の愛は
天文学的数字さえも
きっと可能にするだろうと(///∇//)
多胎妊娠を決めた時から
三つ子で行こうと考えておりました

 
お話はあくまでフィクション
無理があるのも承知の上で
チェ家に生まれた新しい命
三姉弟を
どうぞよろしくお願いいたします
 
 


 
今日は大晦日ですね
さようなら2017年
こんにちは新しい年
 
今年も皆様に支えられて
お話を書き続けることができました
本当にありがとうございました

 
そして今年の締めくくりに
大きなソンムルを
チェ家から
もらえたような気がして
ホッとしております
 
 
 
どうぞ皆様
良いお年をお迎えくださいませ
そして
2018年も 
どうぞよろしくお願いいたします
新年のご挨拶に代えて   haru
 
 
 
気がつけば今日の日付で
3話目のお届け・・・(ノ´▽`)ノ
おつきあいいただき
ありがとうございました

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