寝所にこもって少しばかりすると
扉の前でへジャの声が聞こえた
 
 
若様が泣いております
 
 
あ?泣かせるなと言うたであろう?
 
 
ウンスを愛でるのに忙しいチェヨンが
ぶっきらぼうに答えた
 
 
ヨン
それは無理よ
赤ん坊は泣くのが仕事
それに
タンはまだ小さくて
すぐにお腹が空くの
お乳をあげなくちゃ
 
 
だから
乳母を雇えと言うたのに


唇を尖らせたチェヨンに
ウンスは言い返す
 
 
だって・・・
自分のお乳で
育てたかったんだもの
それに
この屋敷に乳母を入れるのは
 
 
膨らんだ頬が可愛くて
チェヨンはその頬に口づけ
ぎゅっと抱きしめた
まだまだ褒美は足りない
しかも始めたばかりなのに
邪魔が入るとは
 
 
すぐ戻るから
ちょっと待ってて
 
 
あ?ああ
わかった しょうがない
 
 
チェヨンは腕を解いて
仰向けに寝転んだ
泣いている息子を捨て置けとは
さすがに言えない
ウンスは上着を羽織ると
大急ぎで息子の元へ向かう
 
 
ごめんね タン
お待たせ
お腹空いたわね
よしよし・・・いい子
泣かないのよ〜
 
 
へジャの腕の中で
ギャンギャン泣いていたタンは
ウンスが抱っこした途端
ピタリと泣き止み
ふぇふぇ言いながら
唇でお乳を探して
ごくごく飲み始めた
 へジャはすでに
隣の部屋にはいない
 
 
へジャのやつ
泣かれるのが嫌で
逃げたな
はぁ・・・
 
 
チェヨンにとっても
子供ができたのは
もちろん
ものすごく嬉しいことだった
ここまで赤ん坊に
ウンスを独り占めされるとは
思っていなかったのだ
 
ウンスは
お乳を含ませたままの姿で
寝所に戻り
チェヨンに微笑んだ
 
 
ヨン 拗ねてる?
我が子に拗ねてどうするの?
赤ちゃん返りって言うけれど
普通は上の子よ
まさか我が旦那様が・・・うふふ
甘えん坊さんなんだから
ねぇ タン
アッパは子供みたいね〜
 
 
ウンスはおかしそうに笑った
その笑顔は眩しくて
母親の自信をのぞかせる
 
 
俺はガキだよな
ウンス離れできぬ
 
 
チェヨンの声に反省がにじむ
すると
タンが乳を飲みながら
ちろりと横目で見て
ふっと鼻で笑ったように見えた


お前   わざとだな
俺のウンスを取り返しに来たな
 

やあね 
父子で張り合って面白い
もう少し待ってて
お乳を飲んだら眠ると思うから
 
 
ウンスは寝転がるチェヨンの
髪を撫でながら言った
すると
逆にチェヨンにしみじみと
尋ねられた
 
 
イムジャ 
疲れぬか?
一日中 息子の世話して
その上 村の病人も
診ておるのであろう?
おまけに俺は役目のためとはいえ
留守がちで役に立たぬ
いっそ
都で医仙として暮らしていた方が
イムジャは楽なのではないか?
 
 
何を言い出すかと思えば
馬鹿ね
私はあなたとの暮らしを選んだの
都には戻らないわ
それに
子育ては誰でも大変よ
だけどヨンが手伝ってくれてるのも
知ってるわ
 
 
タンは両親の話を
聞いているような顔つきで
乳を離すと
けぷっとげっぷをしてウンスに
もたれかかる
 
 
あ・・・寝た
うふふ
この寝顔 ヨンにそっくり
この顔見てるとね
大抵のことは
大丈夫って思えるの
村の暮らしにもすっかり慣れたし
ここは住みやすいわよ
タンを育てるにもいい環境
都で名家の跡取りでいるより
この子も私ものびのびできるし
 
 
そうか?
 
 
うん
だから心配しないで
それから拗ねるのもほどほどに
 
 
あ ああ
 
 
チェヨンは起き上がると
頭をかいた
どうにもウンスのこととなると
ムキにならずにいられない
 
 
ガキンチョのヨンも
好きだけどね
 
 
タンを挟んで二人は微笑みあった
それからウンスは
チェヨンの手を握り
楽しそうに
留守中のタンの様子や
村の噂話を話して聞かせた
 
波の音とウンスの優しい声が
子守唄のように聞こえ
チェヨンの疲れた体を
いつの間にか眠りにいざなう
 
 
うふふ
おんなじ顔が二つ
並んで寝てるわ・・・
都で活躍してきたんでしょう?
ゆっくり休んでね
 
 
ウンスは愛しそうにチェヨンの
寝顔を見つめた
きっと明日の朝
「しまった 寝てしまった」と
残念そうに言うであろう夫を
思い浮かべると笑みがこぼれる
 
まだ寝返りもできない
息子のタンは
目を開けて首を動かし
母親のいい匂いと
父親の汗の匂いを嗅ぐと
安心したようにまた目を閉じた
 
静かな夜が更けていく
聞こえるのは波の音だけ・・・
ウンスもいつしか眠りについた
 
 
そして翌日
王宮の使いであの方が見えた
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
大切なのは
どこで生きるかじゃなくて
どう生きるか
あなたのそばにいることが
一番私らしくて 居心地がいいの
 
 
 
 
 
またおつきあいくださいませ
タンが赤ちゃん・・・
懐かしい・・・笑笑

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