チェヨン上護軍!
随分とお早いお着きで
この戰
某にお任せいただいても
元軍など蹴散らしましたのに
 
 
久しぶりの再会に
人懐こい笑顔を見せながら
少し貫禄のついたイ・ソンゲが
城壁の手前でチェヨンを出迎えた
 
 
息災であったか?
 
 
はっ!
上護軍もお変わりなく・・・
時に
医仙様が身籠もられているとか
 
 
よく知っているな
 
 
それはもう都の噂といえども
医仙様の噂は
この辺境の地まで届きますよ
 
 
ニヤッと笑っていうソンゲに
チェヨンはどこかざわついた
 
 
そういえばお前
ウンスが初恋とか言っていたな
だがウンスは俺の妻
前以上に誰にも付け入る隙はないぞ
 
 
そうですか・・・それは残念
ウンス様か   いい名だ
 
 
からかうような声色が混ざる
 
 
イ・ソンゲ様って
なんだかパク・インギュ様に
似てますね
 
 
テマンが呟いた一言が
チェヨンは
妙にしっくり納得できた
 
 
冗談は良い
して状況はどうなのだ?
 
 
チェヨンは厳しい顔をして
イ・ソンゲに尋ねた
 
 
はっ
敵は一万の軍勢
だらだらと行進を続けている模様で
この地まで残り十里のところまで
進んできましたが
破竹の勢いの高麗軍とじゃ
比べものにならないですよ
それにしても
本当に速い進軍でしたね
 
 
イ・ソンゲは心底驚いた顔で
チェヨンに言った
 
 
まあな
皆 よくついて来てくれた
脱落者もおらず
参加するものが村々で増え続け
今や二万の大軍
奴らを打ちのめす絶好の機会を得た
この機を決して逃さぬ
そして
城壁もこの手で守りきる
 
 
はっ 国境には
すでに我が軍を配備しておりますが
五千の軍では
少し心もとなく思っておりました
よかった 
城壁が被害を受ける前に
お着きになられて
 
 
ああ・・・
お前もご苦労であった
郡守も皆  各々の
土地を護っていると
朔州郡守の
キム・ドクチェ殿からも
報告が届いているぞ
 
 
未だに普請が続く
国境の城壁を護るため
義勇軍は城壁の盾になるように
四方に別れ郡守たちと協力し
城壁を取り囲む体制をとることになる
 
 
城壁は国の砦
この戰で
壊されるわけにはいかぬのだ
 
 
はっ
 
 
城壁作りに駆り出されている
親方衆も職人も大工も人足も
誰一人逃げ出さずに
黙々と自分の持ち場で仕事を
続けている様子を見て
チェヨンは何があろうと
民に手出しはさせぬと
心に誓った
 
民を守ることは
国を守ること
国を守ることは
愛する人を守ること
だから武士は戦うのだ
 
イムジャ 待ってろ
彼奴を倒し
イムジャが
安心して暮らせる国を
必ず俺が守るゆえ
 
 
イ・ソンゲは
燃えたぎるようなチェヨンの瞳を
久しぶりに垣間見て
不謹慎だと思いながら
わくわくとした気持ちを感じた
 
 
はっ
どこまでもお供いたします
上護軍
 
 
イ・ソンゲは跪く
 
 
ああ
高麗の民のために
必ずや 勝ち戦に!!
 
 
城壁の後ろにいる
多くの高麗の民
そして
都にいる愛する人を思い
チェヨンは皆に檄を飛ばす
 
ウォーーー
 
兵士たちの雄叫びが
地鳴りのように響く
そのおどろおどろしい声は
前方の元軍にも届いていた
 
 
徳興君様
チェヨン将軍率いる義勇軍が
十里先で待ち構えております
敵の数は我が軍の二倍
 
 
二倍か・・・
また随分と兵を集めたものだな
それにしても
新しき高麗王に逆らうとは
謀反人どもめ
戦に加わったものは全員
処罰してやらねば
 
 
高麗を元から護りたいという
民の思いで
軍の数が膨れ上がったなど
徳興君には思いもつかない
ことであった
 
 
陣幕を張った陣営に
チェヨン アン・ジェ トクマン
イ・ソンゲ パク・インギュ
そして各隊を率いる長が集まった
 
徳興君は隊列の中程を進む
輿に乗っているとの
密偵の情報を受け
チェヨンは言った
 
 
輿で来たか・・・
王の威厳を示すためであろうが
元軍のものたちは
そんな彼奴のために命をかけて
戦うであろうか?
 
 
奴のためというより
元軍の兵士は
奇皇后の命令には従うのでは?
 
 
トクマンが答える
 
 
奇皇后・・・
誇り高き騎馬民族を
奇皇后が意のままに動かせるとは
到底思えません
もやは元における
奇皇后の勢いは失速しているはず
 
 
ソンゲは呟いた
 
 
ならば話は早い
徳興君を差し出させれば
それでよい
元と今 戦をするのは
好機ではない
ゆえに
こちらの兵の数に物言わせ
揺さぶりをかけ
蹴散らすとするか
狙うはワン・へ 唯一人
雑魚は捨て置け
 
 
チェヨンは
腹が決まったように
皆の顔を見渡して言った
 
 
民を思い
国を護るのが武士の役目
だが戦うときは
自分の大切な人を思い出せ
決して無駄死にはするなと
肝に銘じよ
生きて都の地を踏むぞ
よいな
 
 
はっ 上護軍
 
 
アン・ジェ率いる鷹揚軍は 
隊の左側に回れ
トクマンたちウダルチは
残りの義勇軍を率いて
ソンゲとともに右側を固めろ
よいか 
これより右の城壁は
完成まで今しばらく時がかかる
敵を押し戻せ
城壁を死守するのだ
 
 
はっ!
 
 
テマン インギュは
俺とともに
 

太陽が愛馬チュホンに乗った
チェヨンの影を
いっそう長く見せる初冬
布陣を敷いた義勇軍が
徳興君率いる元軍と
対峙した
 
 
緑鴨江が悠々と流れる
北の果て
低い山々が連なり
凍てつく寒さのこの地で
因縁に終止符を打つために
チェヨンは戦う
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
真心は大切な人に預けてあるから
鬼や魔物になったとしても
心を失うことはない
 
 
 
週末は決戦?
どきどき・・・
 
またおつきあいくださいませ

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