楽しかったね タン
 
 
あぁ〜〜い
 
 
タンはご機嫌で手を挙げた
 
 
うふふ
ちょっと見ない間に
とってもブランコが上手に
なったのねぇ
 
 
ウンスはタンと一緒に
小さな輿に乗り込み
典医寺に戻る途中だった
 
大きなお腹を抱えていては
なかなか
様子を見に行くこともできない
今日は比較的体力があったので
久しぶりにお船のお遊び会に
顔を出し
上手にブランコを漕ぐ
息子の姿に驚いた
 
その場には
トルチャンチを過ぎた公主様はもちろん
重臣たちの孫や子供が顔を揃えている
最近では
このお遊び会はちょっとした
社交場の様相となって来ていて
入れ替わり重臣も顔を出し
王室最高位の大妃様の
ご機嫌取りに
やってくるようになっていた
 
だが当の大妃様は以前と変わらず
控えめで
政には興味も示さず
ただ公主様とのひと時を
楽しまれているようで
中でもタンにはひときわ目をかけて
くれていた
 
ウンスが遊び場に顔を出したことを
よろこんだ大妃様は
その後
居所の徳慶府でのお茶にも親子を誘い
チェ尚宮や
ウンスと一緒に公主様の様子を見に来た
王妃様と優雅なひと時を過ごした
 
普段はそこで出る菓子を紙に包み
おんまぁに土産に持って帰るタンも
今日はウンスが一緒でますます食欲旺盛
その食べっぷりに
チェ尚宮は頬を緩ませていた
 
 
ばぁば うまうま 
よ〜〜
 
 
タンの小さな指が菓子を
チェ尚宮の口元まで
運んでくる
チェ尚宮は普段
あまり菓子は食べなかったが
タンからは
うれしそうにもらっていた
 
 
おんまぁ どうじょ
 
 
タンの可愛い声が頭の中で蘇り
ウンスは輿の中でも顔が緩んだ
とその時
 
まだ典医寺でもないのに
小さな輿が急に止まった
 
 
お遊びの帰りか?
 
 
それは 
夫チェヨンの声
 
 
ヨン!
 
 
あっぱぁ!
 
 
二人揃えて声を出し
チェヨンはくすりと笑った
 
 
ええ
王妃様の回診のあと
ちょっとタンの所に
顔を出すだけのつもりが
大妃様にお茶までご馳走になったの
すっかり長居しちゃったわ
 
 
そうか
では典医寺まで
一緒に行くか
 
 
え?いいの?
 
 
ああ
 
 
ウンスはうれしそうに
輿から降りてチェヨンに
手を預けた
チェヨンは輿を下がらせると
ウンスの手を取りタンを肩に担いだ
 
警護の武閣氏ヘミとヒョリをはじめとし
其処此処にいる王宮の者たちは
素敵な旦那様と美しい奥様
そしてとびきり可愛いご子息と
まるで絵に描いたような親子三人の光景を
うっとり眺めている
 
 
なんか見られてる?
視線を感じるわ
 
 
イムジャを眺めるなど捨て置けぬ輩だ
どこのどいつだ?
 
 
そうかな?
武閣氏のお姉さんが
ヨンを見てるんじゃないの?
その方が妬けちゃうんだけど
 
 
たん りんき よ〜〜
 
 
タンの声にきゃあとあたりに
歓声が上がった
 
 
うふふ
やだ みんなタンを見てるのね
あなたじゃなくてよかった
タン モテモテね
 
 
もて・・・もて?
 
 
なんでもない
 
 
ウンスはタンがまた余計な言葉を
覚えないようにと軽くかわし
思い出したようにチェヨンに告げた
 
 
あとでイサが典医寺に来るのよ
そうそう
アン・ジェ将軍の長男さんも養成所に
いるって聞いたわ
ヨン 知ってた?
 
 
あ?そう言えば
そのようなことを言っていたな
 
 
教えてくれたらよかったのに
 
 
話してなかったか?
ああ ちょうど侍医の縁談や
イムジャの多胎妊娠がわかった頃か?
詳しくは聞いてないが
タンがもしも武士でも医者でもなく
商人になると言ったらどうすると
聞かれたのだ
 
 
そうなんだ
アン・ジェさんは
後を継がせたいと思ったのかな
ヨンはなんて答えたの?
 
 
息子は息子
なるようになると・・・それに
俺自身 父上の後を継いでおらぬ
ゆえに俺の答えはあてにはならん
とな・・・
 
 
そっか・・・
 
 
夫チェヨンは揚々たる将来を捨て
香のない影の身として国のため
生きることを選んだ人だったと
ウンスはしみじみ夫を見つめた
 
 
なんだ?
 
 
ううん 我が夫は本当に
いい男だな〜と思って
 
 
今頃わかったか?


にやりと笑うチェヨンに
ウンスは言い返す
 
 
知ってるわ
出会った時からずっと・・・
 
 
俺も我が妻以上にいい女に
出会ったことはないぞ
 

そお?じゃあ
今夜は参鶏湯にする?
 
 
もじっと見つめ合う様子の二人に
タンが口を開く
 
 
じゅるい〜〜
らぶ〜らぶ〜
たん も〜
 
 
典医寺まで後少し
チェヨンとウンスの笑い声が
あたりに響いた
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
空が夕日に染まる頃
約束どおりイサは友人を連れ立って
典医寺の診療室を訪れた
 
少し見ない間に
悪餓鬼ぶっていた少年が
大人に成長したように思え
ウンスは目を見張った
 
 
イサ すっかり一人前の男の人ね
見違えちゃったわ
 
 
そうですか?
じゃあ 嫁さんに来てくれる?
医仙様
 
 
軽口を叩くあたりは相変わらずだと
ウンスは笑った
 
 
め〜〜よ〜〜
りんき よ〜〜
 
 
タンがぷうと頬を膨らませて
ウンスとイサの間に立ちはだかる
 
 
冗談だよ チビすけ
そんなことしたら 
チビすけの父上に斬り殺されるしな
 
 
イサ いい加減にせぬか
そのような戯言
すみませぬ 医仙様
 
 
いいのいいの
すっかり大人になった気がしたけど
そう言うとこ変わってなくて
逆にほっとしたかも
 
 
ウンスは答えた
 
 
でも私の夫はチェヨンだけだから
ごめんね イサ
 
 
イサはふふっと笑って
養父を見た
 
 
で こちらがウネさんの息子さんね
ああ 以前アン・ジェさんの出陣を
見送りに来ていたかしら?
そうそうウネさんが双子ちゃんを
産んだ時にも会っているわよね
 
 
名をアン・ユと言うその青年は
アン・ジェによく似た
きりりと切れ長の目元に浅黒い肌
体格がいいわけではないが
今まで鍛えて来たのがわかる
むちっとした体つきをしており
口元はウネによく似ていた
 
 
今日は天界の医術の話を伺えると
喜び勇んでついて参りました
 
 
ええ いつでも大歓迎よ
でも天界の医療は一朝一夕には
習得できない
聞きかじりでわかった気になるのが
一番危険なの わかるでしょう?
典医寺ではね
若手の医官たちが率先して
勉強会を開いたりして
腕を磨いているわ
アン・ユ君もイサも
養成所をでたら ぜひここへ来て
天界の医療も深く学んで欲しいと思う
 
 
ありがとうございます 医仙様
ぜひ そうありたいと思います
 
 
技術も想いもこうして人から人へ
次の世代へと受け継がれていくのだと
律儀に答えるウネの息子の返事を
ウンスは頼もしく思って頷いた
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
澄んだ瞳の君たちに繋ぐ未来が
胸を張れるものであるように
大人たちも踏ん張らなくちゃ
 
 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
リアル天界はお彼岸
秋分の日も過ぎ去り
そろそろ
本格的に秋の装いですね
 
そしてharuは
韓流ではありませんが
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を
観て来ました
時空を超える奇跡
いい映画でした・・・
 
 
 
ポムがぱーちいの準備をびっくり
早く進めたいと
言っておりまする〜

またおつきあいくださいね 
ポチッとカムサハムニダ〜

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