なんだか幸せな夢を見た
大きなゆりかごに
揺られているような
そんな気持ちのいい夢
 
ウンスはふっと目を覚まし
辺りを見回した
えっと?ここは?
ああ 王宮の邸に
泊まったんだったと思い出す
隣にいるはずのチェヨンが
いない
あ!昨夜はいつの間にか
眠ってしまった
期待させておいて
かわいそうなことをしたかも
ウンスは起きがけの
回らない頭を回しながら
ぼんやり思った
 
 
ヨン?
 
 
起きたか?
 
 
うん どうしたの?
 
 
ああ 人の気配がしたゆえ
外の様子をな
 
 
え?ここで?
ヘジャじゃないの?
 
 
ヘジャが来るには
まだ早かろう?
 
 
そうね・・・
まさか 間者?
 
 
いや 
殺気は感じなかったゆえ
 
 
そっか
誰だろう?
 
 
ウンスは首をひねったが
チェヨンには大方の見当が
ついていた
 
 
良く眠れたか?
 
 
チェヨンは話題を変えた
 
 
うん ぐっすり
でも・・・ごめん
 
 
ウンスは小声で言った
 
 
自覚はあるのか?
 
 
チェヨンはふふっと笑う
 
 
だってツボも刺激したし
そのぅ
タンも良く寝てたし・・・
がっかりした?
 
 
ああ がっかりした
おかげで体力も有り余っておる
今日は鍛錬で
怪我人が多く出そうだぞ
 
 
もう ヨンたら
それとこれとは別でしょう?
 
 
では
イムジャが今
鎮めてくれてもよいぞ
タンもまだ寝ているようだし
 
 
えっ
だって気配が・・・
 
 
もう誰もおらぬ


チェヨンは熱く見つめた
 
 
じゃ・・・じゃあ
ちょっとだけなら
 
 
布団の中で
だんだん声が
ひそひそになるウンス
 
 
ちょっとで
済むかどうか?
 
 
チェヨンは
勢いよく布団の中に
潜り込んだ
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
眠れない夜を過ごしたイサは
早朝 やはりチェ侍医に
事の次第を伝えようと決め
典医寺に向うため
屋敷を出た

ところが歩き始めて
すぐのところで
昨日の男に呼び止められた
 
 
どうしてここに?
 
 
昨夜より
若様を見張らせておりました
 
 
男は言った
 
 
だから若様などではない
人違いだと言うたはず
 
 
まだ十五の少年イサは
懐かしさもあったのか
倭国の言葉で返答してしまった
 
 
この爺の目は節穴では
ございませぬ
それにその
慣れ親しんだ倭国の言葉
若様の声を忘れるはずが
ございません
お小さい時から
おそばにおったのです
若様は高貴なお方
このような処にいては
なりませぬ
 
 
高貴?
どこが高貴なのだ
行く当てのない野良犬と
同じ・・・
とにかくもう関わるな
ここで生きて行くと
決めたのだ
 
 
若様!
我々の敵国で生きて行くと
言われるのか?
 
 
我々の敵国?
ここはオモニの国
敵国などではない
 
 
確かに奥方様は
コリョのお方でした
ですが
御屋形様を慕うておりました
コリョは
捨てたのでございます
 
 
捨てただと?
父上が襲撃した
コリョの村から
無理矢理連れてこられた
のではないか
母上は
コリョを懐かしんで
時には涙されていた
オレにコリョの言葉を
教えてくれたのが
何よりの証拠
母上はコリョを
大切にされていたのだ
 
 
確かにお屋形様は
奥方様をご正室には
出来ませんでした
ですが
寂しい奥方様のお気持ちを
察してらした
お屋形様が
大切に思うていたのは
奥方様だけ
他に側室を娶らなかったのも
奥方様を思う気持ちから
若様とて
ご家族で仲睦まじく
過ごした時もあったでは
ありませぬか?


そのようなこと
とうに忘れた


イサは呟いた


なりませぬ
若様が生きる道は倭国
この老いぼれを思うなら
このまま倭国へ帰るのです
 
 
できぬ
 
 
若様をお連れするためなら
爺にも覚悟がございます
 
 
爺 何をする気だ
オレの仲間に
手出しは許さぬ
 
 
仲間?
チェヨンが仲間だと?
ますます
憎きチェヨンが許せませぬ
 
 
出仕する為に
王宮へ向かう他の人影に
気づいた男は
「また参ります」と告げ
足早に去った
 
何をする気か?
心がざわついた
倭寇軍を指揮していた時も
爺やは
参謀のようなものだった

イサは手遅れにならぬうちに
一刻も早く
チェヨンに伝えなければ
と   そう思って集賢殿へ
急いだ・・・が

門の前に立ち止まり
次の言葉を探した
 
何と言えばよいのだ・・・

チェヨンに
昨夜の間者は倭国の者かと
尋ねるというのか?
倭冦の密偵が都に潜んでいると
伝えると言うのか?

育ててくれた爺を
捕らえてくれと言うのか?
捕らえられたら爺やは
殺される
いや
捕らえられた爺やに
自分が倭冦の総大将だと
万が一
暴露されたらどうなる?

自分はどうなってもよい
だが
この国で自分を守ってくれた
すべての人に
災いが降り掛かる
 
イサは悩みに悩み
結局
チェヨンに伝えることが
出来なかった
 
 
━─━─━─━─━─
 
 
うっとりするような
甘い朝を過ごして
まだ痺れている体を
持て余していると
ヘジャが邸に
到着した気配がした
 
 
ヨン・・・ヘジャだわ
ほら 足音が・・・
 
 
そうだな
 
 
チェヨンもまた
ウンスの余韻から
冷め切れず
その首筋に顔を埋め
ちゅっと吸っていた
 
 
ちょっと
もう駄目・・・
ヨンたら
 
 
その響きは甘く優しく
脳を刺激する
 
 
ああ わかっておる
 
 
ねえ 離して
 
 
ああ
 
 
まだタンが寝ているのを
いいことに
なかなかウンスを離そうと
しないチェヨン
 
 
起きておるか?
 
 
その時
ぴんと張りのある
声が表から聞こえて
二人は慌てて跳ね起きた
 
 
叔母上だ
 
 
うんうん 叔母様よ
タンに会いに来たのかしら
 
 
そうかも知れぬ
ああ まったく
おちおち寝てもいられぬ
これだから王宮の邸は
 
 
ぶうと拗ねたチェヨンの
頬に    はいはいと
口づけて
ウンスは寝台を這い出ると
身支度を整えた

タンもそろそろ起きる頃
昨夜のうちに降った雪が
わずかに木々を覆っていた
 
 
*******
 
 
『今日よりも明日もっと』
あなたが大丈夫って言えば
きっと大丈夫な気がする
あなたは先を照らす光だから

 
 
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
 
 
「ぎんなん実りて」
朝の描写が夜にずれ込みました
ミアネヨ〜   m(_ _ )m

幾分    長考しております
何処へ向かっていくのか?

牛歩の如く
ゆるゆる
おつき合いくださいませ
 
 

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村