明け方
目を覚ましたウンスは
じっと自分を見つめている
チェヨンの視線に気づき
どぎまぎとして
目を伏せた

チェヨンが腎虚になってから
ひと月ぶりの夫婦の契り
それは想像以上に甘美な夜

月夜に照らされたチェヨンの
美しい顔を思い出し
それから自分の中に溢れる
チェヨンの生命力に
昨夜の出来事が
夢ではなかったのだと
ほっとした


おはよう
もしかして?寝てないの?


いや
眠ったぞ
先ほど目覚め
イムジャを
眺めておったところだ


チェヨンはウンスの額に
口づけて笑い
それからおずおず尋ねた


久方ぶりであった
が・・・
イムジャ
如何であった?


なに   急に?
どうって聞かれても
それは・・・


心配そうな顔のチェヨンが
愛し過ぎて
思わず唇を合わせた


馬鹿ねぇ
私が昨日どうなったか
一番知ってるのは
ヨンじゃない


赤くなって答えたウンスに
チェヨンは心なし
安堵したように見えた


しからば
もう一度


勢いづいてふたたび
覆い被さろうとする
チェヨンから
身をよじるように
ウンスは逃げ出した


それとこれはべつよ
今は無理


なにゆえ?
このひと月
よく眠りよく食べ
体を鍛えて来たゆえ
力がみなぎっておるのだ


それは・・・
うれしいけど
でもやっぱり駄目駄目


ウンスはチェヨンの
誘惑に負けそうになりながら
それでも首を振った


朝は忙しいの
それに
体を拭きたいし
朝ごはんを作りにも
いかなくちゃ


飯などヘジャに任せれば
よいではないか?


むうとふくれた顔は
いつもよく見る
ガキンチョ夫チェヨンの顔
うふふと笑ってウンスは
言った


だって私
朝ごはんくらいしか
作れないじゃない
ヨンの体のためにも
栄養のあるものを食べて欲しいし
タンのためにもオンマの味を
作ってあげたいのよ
だから


ウンスは甘く囁く


もう一度をご所望なら?
早く帰って来てね
夜なら・・・オッケーよ


顔の横で輪を作り
少し照れながら笑った
妻ウンスが可愛らしく
チェヨンはぎゅうと抱きしめ
困ったように言った


あほう
そのような可愛い顔を見れば
余計に離せぬではないか


ウンスはチェヨンの背に
腕を回して
チェヨンの背中を
あやすように
しばらくとんとんしていたが
ゆるゆると寝台から這い出ると
身支度を済ませ
様子伺いに来たヘジャと
ともに厨房へ行ってしまった


閨にはチェヨンとタン
タンは小さな寝息を立て
隣の寝台でまだ眠っている
チェヨンはその様子に
ふっと微笑むと
もうひと眠りとばかりに
目を閉じた


何やら賑やかなウンスの声が
かすかに聞こえて来て
辺りには朝餉の匂いが漂う

タンお気に入りの
ウンス特製
赤いタングン(人参)たっぷりな
ケランマリ(卵焼き)の
匂いだろうか?

布団の中にはウンスの残り香
チェヨンは穏やかな
朝を迎えた


*******


『今日よりも明日もっと』
愛する人と迎えた朝
じんわり暖かいのは
お日様のような
あなたがいるから



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


ぎんなんの実がなる季節に
なりました
鮮やかな銀杏並木に
心踊ります

縦長日本列島では
そろそろ紅葉も終わり
雪景色のところもありますが
「ウォルゲスの憂鬱」の続き
と    いうことで冬ではなく
「紡ぐ秋」のまま
新章をお届けいたします

銀杏はイチョウと読むと木を
ぎんなんと読むと実を表します

은행  ウネン(ぎんなん)実りて
高麗のチェ家にも
小さな幸せがたくさん
実りますように


また
おつきあいくださいませ