典医寺の演奏は
立ち姿も爽やかな
チェ侍医の
テグム(笛)から始まり
少し調子外れのアムの
チャング(長鼓)が聞こえ
ミヒとケイの美しい
カヤグムの音色が重なって
聞く者たちの心を打った
タンは楽しそうに
お尻をふりふり調子を合わせ

サラとミファンの手から
繰り出される
白糸の滝のような布地が
華麗な舞を
さらに美しいものにした

拍手喝采のうちに
終わった演奏にウンスが
感激していると
チェ尚宮が客間の前を通る
老婦人に声をかけた


これはカンス様


チェ尚宮は頭を下げた


久しぶりですねぇ
チェ家の後継が生まれた時
以来ですかねぇ
お招きありがとう
こちらにいらっしゃるのは
王妃様にあらせられますか?
お会い出来て光栄にございます


かくしゃくとした
老婦人はゆっくりと話し
深々と礼をした


ねえ  あの大叔母様の言う
後継って?
それってヨンのこと?


ウンスはチェヨンの
袖口を引いて尋ねた
はて?と
首をかしげるチェヨン


覚えがない


当たり前じゃ
お前はまだ乳飲み子
あの方は
ヨンの曽祖父の末の弟様
つまり私の祖父の末の弟様の
ご息女に当たる方じゃ
チェ家の親戚筋に
当たる方はもうこの方だけ
西京の名家に嫁がれて
ご主人は確か
博士(パクサ)のはず


チェ尚宮は小声で
チェヨンに言った
カンスはチェ尚宮に微笑むと


そなたも肩の荷が
下りたことでしょう?
諦めていた
家督を継ぐ者が生まれ
そしてこのような祝いを
催すことが出来て


はい   いかにも
もしも
タンが生まれなければ
この甥でチェ家の
直系の血筋が絶えることに
なりました
それほどタンが生まれたことは
有難く幸せなことと
思うております


チェ尚宮はタンに
言い聞かせるように話し
タンはきょとんと
チェ尚宮を見ている

タンは開国以来の功臣
チェ家の血を引く唯一の男子
天界の価値観を持つウンスにも
その意味はわかった


それにしても少うしばかり
腑抜けた顔をしておりますよ
めでたい日ですから良しと
しましょうか?
チェ家の御子息の
トルチャンチ
まことにおめでとうございます


ウンスやチェ尚宮が
客間に引き止めたにも
関わらず
頑なに辞退し
連れてきた屋敷の供の者と
中庭に移動した

中庭ではソクテが
肉を焼き始め
なんとも言われぬ
芳ばしい匂いが辺りに漂う

タルピとミキによって
作られた王宮仕立ての料理が
次々運ばれ
ヘジャ達チェ家の女中が作った
参鶏湯やワカメ汁
それに焼き魚も振舞われた

オクリョンはテマンとともに
トルチャビの用紙を
集めてまわり
皆が楽しそうによく食べ
よく飲み歓談している

受付の任を終えたヨンファは
夫キム・ドクチェと一緒に
あちらこちらに挨拶回り
郡守の奥方として
貫禄も出てきて
客間から見ていたチェ尚宮を
感心させた
ポムはチュンソクがいなくて
寂しがるかと思えば
インギュの妻ヨルムと話したり
内官アン・ドチの奥方
気さくな性格のリジンと
夫談義に花を咲かせたり
生まれたばかりの息子ミョンの
話をしたり
旦那様から目を離すなと
言いつけられた女中ソルリが
時々様子を見に来たが
ポムはポムでぱーちいを
楽しんでいる様だった

広い中庭では
あちらこちらで
おしゃべりの輪が広がり
高官の妻のリンやチェリが
チマチョゴリ姿の
雪組の武閣氏と美容の話をしたり
新人武閣氏がウダルチと
話が弾んだりしていた

チェ尚宮も少しの間
王妃様のそばを離れ
旧友と昔を思い出し懐かしむ
一時が持てた

用意した料理も酒も
どんどん平らげられていく

普段は食の細い王妃様さえ
焼き立ての牛肉を
醤につけて美味しそうに
召し上がって
付き添いのタルギも
負けじと食べている

チェ尚宮は
徳興君の罠に嵌って以来
王宮の外へ
出かけることを躊躇うように
なっていた王妃様を
連れ出すことが出来て
本当に良かったと思った


チェヨンとウンスは
王妃様が生まれ故郷の話を
使者と始めたのを機に
そこはチェ尚宮達に任せて
タンを連れて挨拶まわりに
中庭を歩いた

ウンスは
いく先々で立ち止まり
話が弾むものだから
なかなか前に進めずに
チェヨンは立往生


イムジャ
そろそろ例のやつを
やらぬか?


たまりかねたチェヨンは
さりげなくトルチャビを
ウンスに勧めた

見ればタンも
チェヨンの腕の中で
今にも眠ってしまいそうだ


そうね
やりましょう


金屏風の前に戻ると
巫女ハッケミが清めた
将来を占う品々が
螺鈿細工の卓の上に置かれた


*******


『今日よりも明日もっと』
将来が占いで決まれば楽なのに
当たるも八卦当たらぬも八卦




☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


おはようございます

昨日は気がつくと五話連投

おつきあい頂いた皆様

本当にありがとうございます


トルチャンチぱーちいは

一日ではお届けしきれず

今日に持ち越しとなりました

今しばらくおつきあいくださいませ