私たちがチェ尚宮様に
叱られます


ヒョリが困った顔で
抗議したが
チェヨンは大丈夫だと
譲らなかった

いざ出発と言う段になり
表では
一緒に行く行かないで
チェヨンと武閣氏が
押し問答をしていた


町中にはスリバンも
目を光らせておるし
俺一人では
物足りぬと言うのか?


ま   まさか
滅相もない


ヘミが小さな声で答えた


ならば良い
お前たちは王宮に戻り
明朝また屋敷に
迎えを頼む


はあ   しかし
私たちにも医仙様と若様を
お守りすると言う役目が
ありますので


この人が大丈夫って
言ったら大丈夫よ
心配してくれてありがとう
でもここはいいわ
高麗の守り神が
一緒なんだもの
明日の朝   待ってるから


ウンスはチェヨンと
二人の間に入り
にっこり笑って言った
ヘミとヒョリが
仕方ないと渋々頷いた


そうだわ
せっかくだもの
市に寄って
息抜きしてから
王宮に帰りなさいな


ウンスが提案すると


そのようなこと
お役目でもないのに


またヒョリが渋った


さすが   叔母様
実直な武閣氏を選ぶわね
うふふ


じゃあ
こうしましょう
化粧品に使う抹茶と
それから紅を
買って来て頂戴
お使いならお役目よね


ウンスは少し多めに
お金を持たせると
「残りはお饅頭でも食べると
いいわ」とウィンクをして
二人を送り出した


やっと行ったか


チェヨンが
ほっとしたように呟いた
腕の中のタンはきょとんとした
顔でチェヨンを見ている


あんなに無理やり
追い返さなくてもいいのに


だが   休みの日まで
武閣氏をぞろぞろ連れて
歩けるか


ヘジャが下を向いて笑う
きっと誰にも邪魔されず
旦那様は奥様を独り占め
したいのだろうと
ご家族だけで何処かへ
お出かけになるのは
初めてではないだろうか?


いってらっしゃいませ


ヘジャは庭の手入れに
職人が来ることになっており
屋敷で留守番


じゃあ
後をよろしくね


ウンスはヘジャに言って
門の前で待つ輿に
いそいそと
タンを抱いて乗り込んだ
チェヨンが御者に
何やら耳打ちすると
へえ
と  頷く声が聞こえた


輿で何処へ行くの?
近くのお散歩じゃ
なかったの?


ウンスは
うれしそうに尋ねた


まだ朝  早いゆえ
少しだけ遠出をせぬか?


うん
タンを連れて行っても
大丈夫なところよね


ああ    もちろんだ
それに
帰りにマンボの所へ寄って
タンのお披露目でもするか?


あら
それはいいわね


ウンスは目を輝かせ
言った


もうしばらく
マンボ姐さんにも
会ってないもの
王宮にいると気軽にみんなと
会えないもの
不便よね~


確かに
そうだな


チェヨンは日頃
王宮から出かけられない
ウンスをねぎらうように
頷いた

タンは輿に乗るやいなや
ウンスの腕の中に収まり
乳を探すように
胸に顔をこすりつけている


ああ    あう    あう


あれ?もうお乳?
あ~   甘えん坊だな


ウンスが朗らかに笑いかけると
タンも楽しそうに笑う
ウンスは愛しい息子の頬に
口づけをした
チェヨンがじっと見る


ヨンも?甘えん坊?


蕩けるような笑顔で
見つめられ
ごほん!と咳き込む
愛しいチェヨンの
唇にウンスが優しく
チュっと口づけると
タンが声を出した


あう   あう   あ~~


うふふ
今度はタンが
ヤキモチかしら?


輿は山道を進んで行く
道の脇には
早春を告げる
鮮やかな黄色いケナリの花
(レンギョウ)が咲き乱れ
チェヨンたちを
優しく出迎えたのだった


*******


『今日よりも明日もっと』
ケナリの花言葉は希望
あなたの未来が
希望で輝きますように





にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村