手術が終わった夜
チェヨンとウンスが
気をわけあって
暖めあっていた頃
ウネは
猛烈な痛みと戦っていた

麻酔が切れたら痛み出す
覚悟はしていたが
これほどとは思わなかった

チェ侍医が時折
様子を見に訪れて
痛み止めの鍼をしたり
生薬を腹に当てたり
気の落ち着く香を焚いて
くれたりしたが

気休め程度で
ただ  ただ耐えるしか
なかった

我慢強いはずなのに
いつの間にか
脂汗が滲む

ううっ  んー
思わず呻き声が漏れる

苦しい
痛い

後陣痛がこんなにきついのは
初めてだった
手術によるものなのか?
なんなのかウネにはわからない

ただ  ぎゅっと
布団の端を握りしめ
歯をくいしばって耐えた
それでも
耐えられない時は
竹籠に眠る双子を見た


頑張るからね
あんたたちを抱いて
お乳をあげるんだから


ウネの強い思いが
痛みを和らげてくれる
気がした

アンジェはお産の後
いつも
すぐに元気になるウネしか
見たことがなく
苦しむ姿に慣れてなかった

いつになく
おろおろとして
大丈夫か?と手をさする

役に立たない自分が
情けない


大丈夫だから
心配ないよ


ウネは苦しみながらも
アンジェにそう言う


食いたいものを
言ってみろ
数日たてば
なんでも食っていいと
医仙殿も言っていたろ
なんでも用意してやる


ウネは笑った


苦しすぎて
今は思いつかないよ
それより
手を握っていて
不安にならないように


ああ   わかった


アンジェはウネの手を
握りしめる
いつもは暖かい働き者の
妻の手が
これほど冷たく感じたのは
初めてのこと

息を吹きかけ
さすり暖めた


あったかい


ウネは痛みでもうろうと
しながらも
生薬が効いたのか
いつしか
眠りに落ちていった

アンジェはそんなウネの
髪を梳き
頬をなでた


今までだって
散々苦労して来たのに
天は無慈悲なことをするな
俺がそばにいるから
せめてゆっくり眠れよ  ウネ


励ましにもならない
独り言をつぶやき
アンジェはウネを
愛しそうに見つめた


朝になり
ウンスがチェヨンと
幸せな一夜を過ごし
離れ難く思いながら
典医寺にウネの様子を見に
来ていた


ウネは   目を覚まし
アンジェを見つめていた
椅子に座ったまま
うとうとしているアンジェ

一晩中
髪をなでられていた感触が
まだ  ウネの頭に残っている
武骨だけれど   本当は
優しい夫の寝顔


アンジェ
やっぱり  あんたが好きよ


ウネが呟いた


眠っていたはずの
アンジェが


やっぱりは   余計だ


顔を伏せたままいい返す


まだ痛みは引かないが
久しぶりに
心が穏やかな朝だと
ウネは微笑んだ


おはよう
ウネさん
少しは眠れた?


女の幸せが
溢れ出ている
艶やかなウンスの声がした


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『今日よりも明日もっと』
どんな苦労も厭わずに
ただ  黙って笑ってる
そんなお前に惚れたんだ




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