康安殿から坤成殿へと
続く回廊を
夜警のために
チュンソクと
トクマンが歩いていた
坤成殿から出て来たと
思われる
武閣氏がふたり会釈をして
二人の前を通り過ぎた


綺麗な人ですね


一人を見て
トクマンがチュンソクに
言った


まあ そうだな
それにしても
あの子犬みたいな武閣氏
あれで警護がつとまるのか?


チュンソクはもう一人の
武閣氏に目を留めた
背の高い武閣氏に
じゃれつくように
小走りに追いかけている


ああ だってあの子は
きっとまだ見習いですよ
そうそう パク様のご息女
じゃないかな?
入隊したって噂を聞いたから


そうなのか?
あの パク様の?


はい 
それにしても
あの人
綺麗な人だったなあ
名前なんて言うんだろう?
トルベに聞かなきゃ


お前達はまったく!
女より武術だろ


呆れたように言う
チュンソクの耳に
通り過ぎる女の子の声が
届いた
王宮では
ついぞ聞いたことがない
かわいらしい声だった


ヨンファさん 
待ってくださいよ~
ポムを置いて行かないで~


━─━─━─━─━─


王宮の庭園で
星空を眺めていた
きらきら輝いていて
ソウルの夜空とは
比べ物にならない
美しさがそこにあった

すっかり感傷的に
なったからだろうか?
転びそうになって
抱きとめられて
その腕が暖かかくて
つい口をついて出た本心

「離さないで」

ウンスは自分が
口走ったことに
自分で驚き
慌ててチェヨンの腕の中から
離れようとした

流れ星が
心を乱したのだろうか?


ごめん
なんでもないわ
戯れ言よ
ちょっとからかっただけ
だから離して


うそぶくように
チェヨンに投げかけた言葉

しかし
チェヨンは黙ったまま
ウンスを抱きしめたまま
動かなかった
腕が緩む気配もない


チェ・ヨンさん?


黙って


たまりかねて
何か言いかけたウンスを
チェヨンが制した


流星がいくつも流れては
消える


静寂の中
ウンスはチェヨンの胸に
耳を当てた
少し早い鼓動が時を刻む


チェヨンが呟いた


俺も同じです


え?


俺も同じです


何が同じなの?


ウンスは小さく首を傾げた
チェヨンはもう一度言った


俺も同じだ


だから何が?
あっ


聞き返そうとした時に
口を塞がれた
柔らかなチェヨンの唇が
ウンスの唇に重なる

一瞬 何が起きたのか
わからなかったウンスは
我に返り 驚いて
チェヨンの胸を叩いた

チェヨンの腕は
ますますウンスを
きつく抱きしめ
一向に離す気配がなかった

重ねた唇が熱をおびる
吐息の合間から
チェヨンの舌がからまる

こんなに愛しい口づけを
したことが
あったろうか?

ウンスは嫌がるのも忘れて
チェヨンの胸元を
ぎゅっと掴んだ

そうしないとその場に
崩れ落ちてしまいそう
そんな気がした

やっと唇を離したチェヨンに
向かって


ふざけないでよ
私のこと
好きでもないくせに


ウンスは
非難する口調でチェヨンに
言った


戯れ言でした
ごめんなさいって
言いなさいよ


あやまらぬ


低い声を押し出すように
チェヨンが一言


な なんで
こんなことするのよ
忘れられなくなるじゃない
あなたのこと
もっと好きになるじゃない


ウンスの目から涙が
ぽろぽろ流れ落ちた


その涙を
チェヨンは
自分の唇で拭うと


離したくないのは
俺も同じ
イムジャが愛しくて
ならぬのです
抑えようとしても
抑え切れぬ


苦しそうに告げた


私のこと 
好き?なの?


チェヨンが
ウンスをじっと見る


いつも怒った顔ばっかり
無愛想で
なのに 
私 私・・・


しゃくりあげるように
泣き始めたウンスを
チェヨンはもう一度
胸に抱いた
ウンスの髪をなでる手が
優しかった


*******


『今日よりも明日もっと』
溢れる想いに
蓋はできない




☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


あれ???
五話完結の予定が・・・
たぶん あともう一話かな?

チュンソクとポムの
初対面も描いてみました






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