ウンスは数日振りの
王宮への出仕

桜の宴の後
少しばかり体調を崩した
悪阻もだんだんと酷くなり
げんなりしていたからであろう

チェヨンから絶対安静を
言い渡されて
屋敷で数日のんびりと過ごした
ソンオクから
話を聞きたかったのに

あのばあさんの長話
今でなくともよいであろう

と チェヨンに言われ
一度だけウネが
悪阻のことを聞きつけて
饅頭を持って来てくれたが
ヘジャが 

旦那様から
誰にも会わせるなと
言いつかっております


と 頑として本当に誰も
取り次がなかった

だから久々の出仕
王妃様や 典医寺の
皆とも会える
話ができると気持ちが弾んだ

輿が王宮に到着し
ウンスはチェヨンの膝の上から
降りると外へ出て
数日ぶりの王宮の空気を
すーっと吸い込んだ

まわりを見渡すと
王宮の桜の木々も 
桜吹雪から葉桜へと
すっかり
変わりつつあった・・・


なんだか うれしそうだな


チェヨンが少し不満げに言う


だって 久々のお仕事よ
数日 退屈だったもの


ウンスが答える


俺はもう少し
屋敷で休んでいて欲しいが


大丈夫よ
妊娠は病気じゃないの
かごの鳥みたく
大事にされすぎると
ぶくぶく太って後から大変
なんだから・・・


ウンスが笑った


かごの鳥か・・・
そうしたいと望んだことも
あったが・・・


チェヨンが呟いた


無理無理
わかっているでしょう?


ああ 十分に・・・


チェヨンはため息まじりに
答えると
出迎えに来たポムとヨンファに
くれぐれも無理をさせぬよう
念を押してから
ウンスの手を取ると


よいか 決して・・・


はいはい 無理はしません
みぃのこと 考えて行動します


そう言って笑った


なんとも心配そうなチェヨンを
尻目に今にも駆け出しそうな
勢いで ウンスは武閣氏とともに
典医寺に向かって歩き出した
チェヨンがこれに続こうとすると


ついて来なくても
大丈夫だから
大護軍のお役目があるでしょう
そっちが優先


と 体よくあしらわれた


少しむうっとしたチェヨンだが
朝からの軍議を思い出し
テマンとともにチュンソク達
ウダルチが待つ兵舎へと
足早に向かった


*******


数日ぶりの典医寺
さあ 働くぞ~ と気合いを
入れていたら


チェ侍医から 


医仙様は まだ
お役目から外れております
王妃様の回診以外ならぬと


えー だめなの?
働く気満々だったのに
またうちの人の差し金ね


いえいえ 王妃様からの
お達しですゆえ


いやいや 陰で絶対あの人が
動いているわ
本当に どこまでも
過保護なんだから・・・


ウンスは少し膨れてみせた
それから思い直したように


あのね・・・あのぅ・・・


おそるおそる
ウンスがチェ侍医に尋ねる


なんでしょう?


あの人 チェ先生に何か変なこと
聞かなかった?夫婦のことで


ああ と納得したように


いろいろ お伺いでしたよ
何をさせてはならぬのか とか
夫婦のいと・・・


あ~ もういい
恥ずかしいから それ以上いい
まったく 呆れちゃうわ
こともあろうに同じ職場に人に
そんなこと聞くなんて・・・


赤い顔を冷ますようにウンスが
手のひらで頬をあおぐ


それだけ医仙様が
大切だと言うことですよ
お腹のお子に障ることはないかと
心配されていましたよ


チェ侍医はウンスに微笑んだ
それから胸の内で


でも医仙様 大護軍が私に
本当に 伝えたかったことは
そんなことじゃないんですよ
でもそれは今はいえません
大護軍との男同士の
約束ですから・・・


そう ひとりごちていた



*******



『今日よりも明日もっと』
あなたがいるから
私は 空高くはばたけるのよ
戻る場所があるから・・・


にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村