ソンオク!
かえったぞ!


まあ 坊ちゃま
如何なされました
そのように泥だらけで


木の上に陣屋を建てたのだ
はたらけば汚れるのは
当たり前
そのようなこともわからぬか


幼きチェヨンは
胸を反り返らせると
高らかにかわいい声を
張り上げた


厳しい顔のソンオクが


坊ちゃま なりませぬ
そのような遊び 
危のうございます
今日は書堂で学ぶ日
なにゆえ そのようなことに!
これ 坊ちゃまの供の者
仔細を述べよ


ソンオクの金切り声に
おずおずと すみませんと
名乗り出た下男


その時 奥から
若きチェ尚宮の声がした


まあ よいではないか
ヨンもこのように楽し気で
あるし
なにより 子どもは元気が
一番じゃ 
のうヨンや・・・


尚宮様は坊ちゃまに
お甘いのでございます
お怪我でもされたらと思うと
ソンオクは
生きた心地がいたしません


ソンオクは大げさよのう
ヨンや 何をして遊んだのか
この叔母に聞かせておくれ


チェ尚宮はチェヨンに
微笑んだ


おばうえ!
いつ来たのです
来るのがわかっていたら
もっと早うに戻りましたのに


チェヨンはうれしそうに
チェ尚宮のところに
駆け寄った


急にお宿下がりのお許しが
でてな
私も ヨンに会いたかった
ですぞ


チェ尚宮は慈しむように
幼きチェヨンの頭をなで
微笑んだ


学問も忘れるくらい
熱心に遊ぶとは
どこぞの子らと遊んで
来たのです?


アンジェという生意気な
奴なんです 叔母上


生意気な奴 などと言う
市井の言い方 
チェ家の当主になるお方が
お使いになる言葉では
ございませぬ


ソンオクが目を吊り上がらせて
小言を言う


だが 奴が先にいうたのだ
「おまえ 新入りか?
名は何と申す?
本ばかりよんで 楽しいか
どうせ木登りなど出来はしまい
遊びも知らぬでいかがする」

ねえ おばうえ
生意気な奴でしょう?


まん丸のつぶらな瞳を
きらきらさせて
口を尖らせながら
幼きチェヨンが
叔母チェ尚宮を
見上げて 訴えた

ふっくらとしていた
幼子の頬は引き締まり
元気な子どもの
顔つきに変わっていた


ふふっ さようか
それでヨンはいかがしたのだ?


だから 木登りくらい出来る
どんな高い木でも大丈夫だと
言ってやりました


そうであった 
ヨンはいつも
あの高い桜の木に
登っていたであろう


はい おばうえ
そしたら あやつ
お偉いとこの坊ちゃんが
木登り出来ると思わなかった
って・・・
それから いっしょに
陣屋を作らぬかって
さそわれて・・・


さようであったか
それは楽しかったであろう


はい とても!


にこにこと笑うチェヨンの
頭を またなでると 
チェ尚宮はソンオクに向き直り


して ソンオク・・・


はい 尚宮様


その子は
どこの家のものなのだ?


はい 代々武臣の家柄の・・・


ああ あの方のご子息か
武門の誉れ高きお家柄
本の虫だったヨンには
いい刺激になりそうじゃ


なれど お言葉ですが
チェ家は代々 文臣のお家柄
わざわざ 武人と親交を
深めなくても・・・


されど ソンオク
私も武閣氏 
武人に変わりはないぞ


はあ・・・



*******



そんなに小さい頃から
アンジェ将軍と
友達だったなんて
知らなかったわ


ウンスは少し
びっくりとした顔で
ソンオクに言った


はい 
何かと いつも
張り合っておりました


いいライバルだったのね


ら  ら?


競争相手よ・・・


それはまさに
その通りでございます
互いに決して引きませぬ


ふふふっ
だからか・・・





先日 ウダルチの兵舎で
お酒の飲み比べをしたのよ
まったく しょうがない人達
その時も互いに譲らず
樽をね 三つも 
飲み比べたんですって
旦那様 珍しく大虎だったん
だから・・・
介抱するの 大変だったのよ


さようで ございましたか
はて それにしても
坊ちゃまが酔いつぶれるなど
聞いたことがございませぬ


あら だって現に・・・
王様や王妃様の前で
私に口づ・・・


思い出すと 顔が熱くなる
あれはやはり 酔った振り
だったのかしら?
だとしたら なんて大胆な人


ソンオクは納得したように


きっと 酔った振りをして
奥様に甘えたかったので
ございましょう
人に甘えると言うことを
どこかに置き忘れたような
お方でありましたゆえ
いま 取り戻しているのやも
知れませぬ・・・


そう言って 遠くを見つめた


そうかも知れないわね・・・
でもね 私
あの人が甘えてくれるの
大好きなのよ
いとしさや恋しさが
余計に募るでしょう?


ウンスがあまりにけろりと
のろけるので
ソンオクはあんぐりと
口を開けたまま
ヘジャの言葉を
思い出していた・・・


おふたりの仲睦まじさは
高麗一 いえ 
この世の中で
一番と言えましょう
誰にも止めることなど
できやしませぬ


と・・・

 
*******
 

『今日よりも明日もっと』
わんぱくな 幼きあなたに
想いを寄せる・・・



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