柳の枝が風に揺れている
しなやかに たおやかに
揺れている

その下で
幼子が泣いている
あれは 妾か
妾は なにが悲しいのだろう



*******



ウンスは今までの心配事が
ばかばかしくなるくらい
幸せな朝を迎えていた

隣で朝餉を食べている
チェヨンの 
その口元も
のどの動きも 
箸を使う手の動きも
どれを見ていても
飽くことはなく
じっと見つめていた


どうかしたか?


不思議そうにチェヨンが
ウンスを見る


私の旦那様はいい男だな~と
改めて思って・・・


と言って うふふと笑うと
チェヨンがむせ返った


朝から何を言うておる


もう てれちゃって・・・
そう言うところも私好きよ


チェヨンはふたたび咳き込んだ
話題を変えようと


そう言えば昨日 叔母上には
何の用事があったのだ


心なしか
むすっとした様子で尋ねた 
そうしないと
今にも口元が緩み切って
しまいそうに思えたから


ウンスは ああ と
思い出したような顔をして言った



婚礼を挙げるお寺のことよ
王妃様のお気持ちは
ありがたいけど
やっぱりチェ家のお寺が
いいんじゃないかと思ってね
叔母様に意見を
伺いにいったのよ

ほら 私 ご両親のお墓にも
まだご挨拶してないから・・・
叔母様もその方がいいって



そうか イムジャがよいなら
俺はそれでよい



チェヨンは 
さっきのウンスの
軽口の仕返しに
ひとつ ふたつ 
ウンスを赤らめさせる
動作とともにそう言った



*******



朝の回診に
坤成殿を訪れたウンスは
めずらしく 王と王妃の
諍う声が聞こえ
声をかけてもよいものかどうか
さきほどから躊躇していた

チェ尚宮が難しい顔で
ウンスを出迎える



おふたりはどうされたんです?


いや そのぅ大したことでは
ないのだが


とチェ尚宮の口調も歯切れが悪い


そなたたちの婚儀のことで
すこうし おふたりの 
お考えが違うようでな



え? 
私達の婚儀が理由で
もめているの?


ウンスは戸惑う



中に入っても構いませんか?



さて 王妃様に伺ってみるか


チェ尚宮はやれやれといった
顔をして坤成殿に戻っていった

ほどなくしてウンスは
坤成殿へと招き入れられた

王と王妃が対峙している
いつも仲がいいおふたりなのに
元より戻りし頃のようだ



医仙 参ったか



少し頬が紅潮している
王妃が言った


王は何か言いたげに
口を開きかけたが
口に出すことはなく
あとは頼むと言う目で
ウンスを見て出て行った

ウンスは王妃に向き直り



珍しいですね
おふたりが喧嘩なんて


と わざとおどけて聞いた



医仙と大護軍の婚儀のことでな
王様が妾に少し自重せよと
言うのじゃ
妾はそなたたちに迷惑をかけて
おるか?



自重ですか・・・



当然重臣たちが反対してること
王様の耳に
届かない訳ないもの
王妃様が関わりすぎることで
ヨンだけじゃなくて
王妃様が政の駒になることを
王様は心配しているのかしら

それにしてもヨンと
結婚することが いちいち
こんなに大変だなんて・・・


ウンスは胸の内でそっと思った



王妃はウンスに言う



医仙 妾はそなたたちに
皆に祝福されて幸せに
なって欲しいだけなのじゃ



ええ わかっています
王妃様・・・
でも王様の言いたいことも
わかります
結局は 王妃様のお立場を
ご心配されているのだと
思うんですけど・・・



それは妾にも
わかっておるのじゃ
医仙 妾はそなたたちが
幸せな婚儀をあげられるように
ただ力添えをしたいだけなのじゃ
妾は元にいるおり婚礼をあげたが
あまり良き思い出がないゆえな



そう言うと王妃は俯いた



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