これまでのお話　実家処分を決意するまで　① ②

２年前の初夏、母の留守中に実家の大木が倒れて道を塞いだことがきっかけで、突然母は私達に、「もうひとり暮らしはできない。」と言った。

母は今すぐにでも、実家を出てどこかに引っ越したい雰囲気なのだ。

ただ、母の子供である私達兄弟にもそれぞれの生活がある。

急に母を引き取ることはできない。

というか、たとえなんやかんや準備をしたって、それぞれの家族が限られたスペースで暮らしている空間に、急に老人が同居するのは殆ど不可能だと思う。

かといって、あのボロボロの実家でこれからも母がひとり暮らしをするのも無理だ。

「ひとり暮らしはできない」宣言をした母を、私達夫婦はとりあえず家で１週間過ごさせ、落ち着いたところで一旦実家に帰ってもらうことにした。

母は気が進まないようだったが、どこか落ち着く先が見つかるまで、なんとか実家でのひとり暮らしをもうしばらく続けてもらえるよう説得した。

今までも週に一度は実家に通っていたが、私はもう少し通う回数を増やした。

実家までは車で１時間弱かかる。

もしも、母を老人ホームに入れるにはどうしたらいいんだろう

その時、初めてそんなことを考えた。

私は今まで、母がひとり暮らし無理宣言をするまでは、なんとなく母はずっとあの実家で暮らし続けてくれるように思っていたのだ。

それが不可能になる日はいつかは来るに違いないのに、私はそれに気がつかないようにしていたのかもしれない。

ネットで調べてみて、年配者が公共の福祉サービスを受けるのには、どうやら　要介護・要支援認定を受け、何かしらのサービスを受ける対象かどうか認定されることが必要だと知った。

というわけで、私はとりあえず母の住む市の市役所に行くことにした。

市役所の受付で訊いたところ、すぐに窓口に案内してくれ詳しい説明を受けた。

認定してくれる人は対象者の自宅を訪問してくれて、生活状況を見てくれるとのこと。

そこで、母のレベルがどこなのか教えて認定してくれるんだとか。

今まで、市役所での申請作業って、とっても面倒くさいと思っていた。

若くてよく訳が分からい頃、怯えながら市役所に行って手続きをしていたので、その印象がいつまでもぬぐえなかったのかもしれない。

しかしあれから時は随分流れた。

今回は、市の窓口はスムーズで本当にありがたかった。

市役所で市の包括センターに連絡を取り、認定審査の予約をとって、母は要介護・要介護支援認定を受けることになった。

手順やシステムは良く分からなかったが、認定を受けることができて良かった。

申請はとても簡単だった。

なので色々迷っている人がいるのなら、とりあえず市役所で訊くだけきいてみたら良いと思う。

認定にはどれくらいかかっただろうか　

審査後しばらくすると封書で結果が来たような気がする。

（あいまいですみません）

とにかく、これをやらないと何も始まらない。

認定の際、母はいつもよりがんばって「自分は何でもできるアピール」をしていたが、私としては、そういうのは本当に止めて欲しかった。

私は母とは逆に、今の困った状況を説明して、「こっちはとても切羽詰まってます」アピールをした。

そして母は要支援２と認定された。

とりあえず要介護・要支援認定を申請してみよう 実家処分を決意するまで3