これまでのお話
母屋の開かずの間だった納戸の片付けはひたすら続く。
今回は少し開かずの間からは話がそれる。
現在の開かずの間はそもそも最初は両親の寝室だった。
父が亡くなり絶望的になった母は、この部屋に段々と荷物を溜めだした。
そしてこの部屋に荷物が溢れたために寝る場所がなくなり、最近まで使っていた寝室に移動したらしい。
なのでここから出てくるものはとても古いし、雑然としている。
例のボランティアの資料が入っていたカラーボックスの近くに、
昔のお菓子の缶が何個か積み上げられていた。
中を見ると、そこにはご先祖様たちの写真が入っていた。
履歴書の写真と同じくらいの物や、その倍くらいの写真もある。
ご先祖様たちがひとりで、もしくは何人かで写った白黒写真で、それぞれ紙の枠に収められている。
それがそれぞれ10~15枚くらい入っていた。
おいおい、こういうの大切に扱わないと・・・ と私はまた母に心の中でツッコミを入れた。
その写真の束を見た時、私はある人の写真を探してみようと思った。
私は父方の祖母には会っていない。
祖母は早くに亡くなったので、母も私達姉弟も祖母のことを知らないのだ。
ただ祖母が亡くなったのは戦後間もない頃で、母の話では「写真はない。」とのことだった。
祖父が惚れて惚れこんで、是非にと望まれて嫁いできたという祖母。
父や父の姉、妹もいつも祖母の話を愛おしそうにしていた。
祖父がそんなに好きだった人だから、
家族からそんなに愛された人だから、
きっと吉永小百合さんみたいな人に違いない、と以前から私は勝手に想像していた。
まだ見たこともないような絶世の美女に違いない
期待は膨らむ。
なのでこの機会にぜひ、祖母の写真を探してみようと思った。
ひとつひとつ写真の裏の名前をみていくが、祖母らしい人はなかなか見つからない。
誰かの結婚式の写真や、何かの行事の集合写真もあった。
大きさもまちまちだった。
何個かある缶の中を丁寧に見ていった。
すると3番目に開けた箱で、どうやら祖母らしい人を見つけた
ワォッ と喜びでときめいた
で、祖母はどんな人だったかというと・・・
それは父によく似た、
ちょっと伯母も足したような、
キレイと言われればまあそんな感じの・・・、
フツーの人だった
吉永小百合さんではなかった
系統が違った
でも、私にも似ているかも
そうか、私の祖母だもの。
吉永小百合さんのわけないじゃん
と、実際の写真を見て妙に納得した。
幼い頃から、どれだけ素敵な人だったかを伝説の様に聞いていたので、妄想が凄くなっていたけど、
今回、初めておばあちゃんに会えて良かった。
写真の祖母は親しみやすく優しそうだった。
そしてご先祖様の写真を回収し整理できて良かった。
ご先祖様たちの写真はきちんと整理して、仏壇の下の棚に収めた。
ご先祖様たちも、今はすっかり落ち着いていると思う。