あん

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樹木希林さんが出演する映画の中では、私の中で特に深く印象に残る作品だった。

主演は長瀬さん、小さなブースで学生相手に和菓子を売っては日銭を稼ぐ、しがない男性。住まいもボロアパート一人暮らし、未婚で当然彼女もいない。

そんな希望の持てない惰性の毎日を送る中、ある1人の老女が無償でもいいから働かせて欲しいと懇願してくる。

その老女(樹木希林さん)はドラ焼きの中に挟むあんこの作り方を伝授しにきたのだった。これまでは缶に入った安い既製品しか使用してなかったが、あんを煮たてる初期の段階から、取り組む姿勢まで、精神からの全てを伝授すると、老女は安らかに死に絶えて行くのだった。

その後、長瀬さんは一流のドラ焼き屋として脚光を浴び、人生に輝きを取り戻す。

まるで派手さの無い素朴な話だった。
絶望的な人生を送る男性に光を当てる、それだけ終わると死んで行く、なんと貧しく高貴な人生だろうか。

樹木希林さん、改めて思う偉大な女優でした。
ご冥福をお祈りします。


読書週間

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秋の読書週間がはじまる。
ここに池上彰さんが良いことを書いているので引用した。少し長文になるがお付き合い頂きたい。

私は世界各国に取材に行きますが、その国が発展するかどうかは、どれだけ書店があるか、その書店にどんな本があるかを見て判断します。

2000年の夏にベトナムを取材したとき、猛暑の中、日陰で店番をしている青年がたくさんいて、どうせ居眠りでもしてるのだろうと思って見たら、みんな本を読んでいたのです。この国は発展すると思ったところ、案の定、タイを抜いてインドシナ半島最大の輸出国に成長しました。

そのあと、ラオスにも行きましたが、ここでは誰も本を読まない。そもそも書店が見当たりません。結果ラオスはいまだにASEAN最低レベルの経済に甘んじています。

アラブ世界はどうかといえば、モスクに行けばコーランを読んでいる姿に出会いますがらそれ以外の本を読んでるところを見たことがありません。

しかし、イランは違いました。イランには書店がたくさんあって、地図専門店のようなものまでありました。アラブ世界に比べて格段に知性の香りがするのです。

JICAの関係で、アラブ世界とイランの両方で技術的に支援をしたことがある民間人に聞いたことがあります。

アラブ世界の場合、丸投げされるというのです。全部お願いしますのでよろしく、と。しかし、イランはまず我々でやってみます。それで、うまくいかなかったら教えてください、と言うそうです。

その人もイランは発展すると断言してました。
中東が混乱する中で、イランの安定感が目立ってきた背景には、そんな事情もあるのです。



寝ても覚めても

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レビューで高評価のため期待して観に行ったがそこまでのものではなかった。それでも映画としてはバランスがよく最後まで引き込まれた。

ヒロインは少しキャラが弱い。が、そこがいい。ここは強すぎてもダメ、弱すぎてもダメ、少し弱いこの位がハマり役か。

失踪した元彼がTOPスターに変貌して現れる。これには理性を失うのも仕方ない。ましてや若い女の子でしょう。程度を考えれば普通なのか。

誰が一番自分を大切にしてくれるのか。糸が切れた凧のような男と普通のサラリーマン、二択の回答は待った無しだった。

仏教的な物言をするなら、夢幻泡影、色即是空、行雲流水こんなところか。全ては観念である。何事も囚われ過ぎはよろしくない。

一度立ち止まり冷静になった上で自己客観視する力。言葉にするのは簡単なことである。





SUNNY 強い気持ち・強い愛

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見応えあった。おススメできる。
大根仁監督作品では福山雅治のSCOOPがよかったのでこのノリなら間違いないという確信があった。これでもか、という位とことんまで魅せる、映画はやはりこうでなきゃね。大友啓史、白石和彌監督もとことん魅せるタイプでどの作品も満足度は高い。逆に低いのは原田眞人、三池崇史、堤幸彦、特に原田は酷い。三池崇史は当たり外れが激しく、堤幸彦は大概イマイチ、こんな印象だ。是枝監督はヨーロッパ型の深い作品から観る側に問いを投げかけるタイプで 最近はますます円熟味を増している。

話しは逸れたが、SUNNYは公開が9月1日だったのはPG12からの配慮だろうか、夏休み中に学生さんが観るには刺激が強いかも。対象はあくまでこの世代40代のようだ。

作中に流れる音楽もホッコリするのが多い。若い時に特に意識することなく付き合った友人がこのような形で再会するなど映画だけの美談かもしれないが、世の中そんな話もあっていい。熱く可愛い感動的な映画でした。