冷夏の一夜の二匹の獣。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 物事には順序があるのに
 段取りすっ飛ばして性急に願った、
 こわばり解きほぐしてくれる筈の秘められた
 あの娘の濡れた洞窟を。

 重要なのは性交ではなく 
 日々を共にして育まれてゆく情愛。
 頭では勿論わかっていた筈が衝動に汚れた
 制御不能の僕のリビドー。

 隠し切れずに目を泳がせて恥じらった
 あの娘の臭いが僕を野生に解き放った。
 もう乱暴に傷つける抱き方しか出来なかった。
 揺らすたび無邪気なあの娘が損なわれ続けた。

 我に返れば二匹の暗い獣が憐れ無様に
 汗と粘液に浅ましく喘ぐ姿を鏡に見た。
 見ては駄目だと隠そうとするあの娘の沼に 
 育み切れなかった情愛の成れの果ても見た。