冬の立ちん坊仕事に紡がれるジャンクフードの思い出。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 お母さんの手作りピザは豪快で
 生地に乗るピーマンの苦味も愛情。
 ゆったり流れる夏休みの記憶のなか、
 食べても食べても満ちるのは今も幸福ばかり。
 
 憧憬も込みでナポリタンの味は郷愁で
 今もキャプテンハーロックの勇姿に結びつく。
 窓の外に蝉が鳴く自由な子供部屋に
 折れない意志持つ戦士の己れ夢想したっけ。

 もう一度あの日に帰って
 虎舎の前で舐めたいソフトクリーム。
 赤い風船を揺らして頬張りたいチョコレート。
 又ピエロから手渡されたいホットドック。

 何度でもあの映画館でET観ながら
 お決まりのポップコーンとペプシコーラ。
 悪友たちと土曜日の午後の自転車での大冒険、
 その後に待つ揚げたてのフライドポテト。

 あるいは生まれてきたその意味は
 目の前に嬉しかったフルーツパフェの記憶に、
 そうして今を生きているその意味は
 子供の頃に食べたドーナツの穴にある。

 吹き荒ぶ寒風に凍える五十路過ぎの立ちん坊。
 憐れ今の僕に差し入れてよチーズバーガーを。
 昭和の少女ゆきのの屈託ない笑顔で
 震える仕事に従事する今この心も蕩けたい。