お母さんの手作りピザは豪快で
生地に乗るピーマンの苦味も愛情。
ゆったり流れる夏休みの記憶のなか、
食べても食べても満ちるのは今も幸福ばかり。
憧憬も込みでナポリタンの味は郷愁で
今もキャプテンハーロックの勇姿に結びつく。
窓の外に蝉が鳴く自由な子供部屋に
折れない意志持つ戦士の己れ夢想したっけ。
もう一度あの日に帰って
虎舎の前で舐めたいソフトクリーム。
赤い風船を揺らして頬張りたいチョコレート。
又ピエロから手渡されたいホットドック。
何度でもあの映画館でET観ながら
お決まりのポップコーンとペプシコーラ。
悪友たちと土曜日の午後の自転車での大冒険、
その後に待つ揚げたてのフライドポテト。
あるいは生まれてきたその意味は
目の前に嬉しかったフルーツパフェの記憶に、
そうして今を生きているその意味は
子供の頃に食べたドーナツの穴にある。
吹き荒ぶ寒風に凍える五十路過ぎの立ちん坊。
憐れ今の僕に差し入れてよチーズバーガーを。
昭和の少女ゆきのの屈託ない笑顔で
震える仕事に従事する今この心も蕩けたい。