◆第011位 『アイのない恋人たち』

 評価:075点/脚本:遊川和彦/テレ朝/日曜22時/出演:福士蒼汰・岡崎紗絵・本郷奏多・成海璃子・佐々木希/全9話

 

 「アイ」のない、三人のアラサー男性を描いた、恋愛ドラマ。

 「アイ」とは、「愛」がない男と、「I」、即ち、「I(自分)」がない男、「EYE(見る目)」がない男の三人のことである。

 三人のアラサー男性は、恋愛の価値観が異なるが、各々、恋愛相手と出会い、悩む姿を描いている。

 なお、本作は、四人の女性が、メインキャストで、男女七人の群像劇と言える。

 本作の主人公、久米真和を演じるのは、福士蒼汰。

 売れない、脚本家で、事実上、フリーター。

 独身で、恋人がいないが、非常にモテており、マッチングアプリで、マッチングした、女性と気軽に会っている。

 しかし、3回会うと、会うのを止める事を繰り返している、「愛がない男」。

 真和の高校時代の同級生、親友の渕上多聞を演じるのは、本郷奏多。

 大手食品会社において、企画開発部に勤務している。

 33年間、女性と付き合ったことは、一度もない。「自分(I)がない男」。

 女性経験がない、即ち、「童貞」であることを気にしているが、恋愛は、面倒と思っている。

 真和と多聞の高校時代の同級生、郷雄馬を演じるのは、前田公輝。

 交番勤務の警察官である。

 女性に誠実で、情熱をぶつけるが、常にフラれている。

 真和には、「女性を見る目(EYE)がない」と言われている。

 小さい頃、両親を交通事故で亡くしたために、祖母に育てられた。

 三人は、高校の卒業式の日、十五年後に再会しようと約束し、実際に一年前に再会し、親友になった。

 本作のヒロインの一人、今村絵里加を演じるのは、岡崎紗絵。

 OLを辞め、自分のブックスカフェを経営している。

 男性経験が無い、即ち、「処女」。両親及び、兄と4人暮らし。

 兄が引き籠っており、親と兄の面倒をみる事になると焦っている。

 真和と出会い、恋愛に悩む。

 大手食品会社に勤務する、富田栞を演じるのは、成海璃子。

 絵里加の店の常連客。

 多聞と同じ、会社の後輩で、仕事熱心であるが、男性優位の職場で、女性が、正当に評価されないことに不満を抱いている。

 自分を正当に評価してくれる、多聞のことを気になっている。

 世田谷区役所の戸籍課勤務の女性、近藤奈美を演じるのは、深川麻衣。

 毎日、区民の婚姻届を受け取っており、幸せなカップルを見ている。

 絵里加の店の常連客。

 裕福な医者の家に育った、お嬢様のため、金銭感覚がズレている。

 自分の話ばかりして、相手を退屈させてしまい、自分に自信が持てない。雄馬と出会い、結婚しようとするが、一度は、別れるという、ドタバタ劇をする。

 真和、多聞、雄馬の高校の同級生、稲葉愛を演じるのは、佐々木希。

 高校時代、生徒会長及び、音楽部部長を務める、学校中の憧れのマドンナで、真和と付き合っていた。

 音楽大学に進学して、ピアニストを目指していたが、その際、突如、真和に別れを切り出した。

 その後、肘を怪我したため、ピアニストの夢を断念した。

 バツイチで、息子がいるが、親権がなく、息子に会えない。

 本作は、七人の男女の異なる、恋愛観を描いている。

 アラサーの「童貞」と「処女」が登場して、気にしているが、現在では、珍しくはないと思われる。

 現在は、恋愛、結婚の必要性を感じない、アラサーが、増えているが、本作は、その点を上手に描いており、「絶対」、恋愛、結婚をしないと決めているわけではなく、「何となく」であることが、理解し易い、ドラマであった。