「医は科学に基づく『アート』」〜ウィリアム・オスラー博士のお話〜 | 西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院

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『生きる糧となる医の名言』(荒井保男 著、中央公論新社)を読んでいたら、尊敬するカナダの内科医、ウィリアム・オスラー(1849-1919)の話(名言)が載っていました。

「医(臨床医学)は科学に基礎を置いたアートである」

"And I said of Medicine,that is an art, which considers the constitution of the patient, and has principles of action and reasons in each case."

(「メディシンについていえば——これはアートである。これは患者の体質を考慮し、取り扱ういろいろの処置の原理が研究されていて、その一つ一つのケースについて理論的な理由付けができているアートなのである」)

オスラーは、現代の臨床医学——「病気を診ずして病人を診よ」(by 高木兼寛:明治時代の海軍軍医。疫学(医療統計学)・栄養学の知識を駆使して日本海軍から脚気病を駆逐した)——を築いた医学教育家です。

第一級の研究者でもありました。

●血小板の発見
●心内膜炎の研究(オスラー結節)
●白血球食菌作用の発見
●赤血球過多症(オスラー病)の研究

小児麻痺や舞踏病の研究も行っています。

本当にすごいひとです。
無宗論者のわたしが言うのも何ですが、わたしにとってオスラーは神のような存在です。
(医療/福祉関係で尊敬できるひとたちはたくさんいます。ヒポクラテス、アンブロワーズ・パレ、アンリ・デュナン、カール・ロジャース、賀川豊彦・・・)

オスラーを紹介している荒井保男の解説文も素晴らしい。

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 医はサイエンスに基礎づけられたものでなければならないが、そうかといって、単なるサイエンスでもなければ単なる技術でもない。長い間の学問と体験によって得られた知識と技術を、病める人の体と心の中に持ち込んで、個性を十分に考慮しながら適応し対処するもので、そのようなものがアートなのである。その際、病める人の悩みを感じとることのできる感性の豊かさが求められるし、病める人に癒しを与えることのできる教養の豊かさとヒューマニティが求められるであろう。
 オスラーは、次のようにも言っている。「医学ほど教養の大切な職業はない。そしてあらゆる人間の環境の中で働いている一般実地医学ほど教養を必要とするものはない」と。彼は、医師は科学は当然のことであるが、それと同様、人文系の学問の重要性を強く認識していた。良き師との出会いにも恵まれたが、オスラーは数々の古典や中世の哲学者や文学者、さらには思想家や科学者の思想にも書物を通して感化を受けたのであった。彼の講演を聴いたある人は「オスラーは科学と人文学の二つを一つにして持っているという意味からは、ほとんど完全な人間といってよい人である」と言ったという。オスラーはおそらく、そのような医師を理想としたのではあるまいか。
(『生きる糧となる医の名言』(荒井保男 著、中央公論新社)p174)

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そのオスラーは、

「医学に携わる者は、毎晩寝る前の30分間、教養書を読みなさい」

とアドバイスしています。
耳に痛いアドバイスですが、本を読まないといけません。

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人文教育の習得はわずかな時間と費用があればできる。日々の生活が決められた仕事でどんなに詰まっていようとも、皆さん方の一つあるいは十の能力を最大限に活かすためには、医学の実地教育だけで満足してはならない。学者に相応しい教育とは言わないまでも、少なくとも紳士たるに相応しい教育を受けるよう努力していただきたい。就寝前の三十分間本を読み、朝目覚めたときベッドサイドのテーブルの上に本が広げたままであってほしいと思う。一年のうちに読書量がどれほどになるかを知って驚かれることであろう。皆さんの親しい友となれるような本を十冊選んでそれを次に挙げておいた。ほかにも沢山あるが、学生時代にじっくり学んでおけば、これらの書物は私の申し上げる精神の教育に役立つと思う。


1. 旧・新約聖書
2. シェイクスピア
3. モンテーニュ
4. プルターク「英雄伝」
5. マルクス・アウレリウス
6. エピクトテス
7. 医師の信仰
8. ドン・キホーテ
9. エマーソン
10. オリバー・ウェンデル・ホームズ「朝の食卓」シリーズ
(『平静の心 オスラー博士講演集』)

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オスラーが愛した詩の一節(注)からも、オスラーの深い教養、温かく謙虚な人柄が伝わってきます。

"I am a part of all that I have met."
私は、これまで会ってきたすべてのひとたちの一部である。

【注】イギリスの桂冠詩人、テニスンの『ユリシーズ』(Ulysses BY ALFRED, LORD TENNYSON)の一節です。
個人的に、『ユリシーズ』の最後の3行はかっこいいです。(カッコ内は拙訳です)

One equal temper of heroic hearts,
Made weak by time and fate, but strong in will
To strive, to seek, to find, and not to yield.

(英雄と同じ心を持っている。
時間と運命で弱くなっても、意志は強いままだ。
戦うため、探すため、見つけるため、そして屈しないための意志。)

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