言葉の裏を考えて、感情を読む | カナダ留学記ーHarmony Log

カナダ留学記ーHarmony Log

バンクーバー・ブリティッシュコロンビア大学の商学部に進学したビジネス生徒のブログ。学生生活で感じたこと、経験したことが中心。

毎週土曜日の夜(日本時間の日曜日の午後)は必ず更新する予定だが、それ以外にも思いついた時に書きたいことを書くかもしれない。

"I guess you don't want money, then."
「金が要らないってことだな。」

意外と突き刺さる言葉である。ビジネス学部専攻の私に投げかけるにしては、違う意味で皮肉だが。


私は今、日本食レストランで働いている。家族経営の小さなお店で、店内には1番から8番までの二人席のみだ。毎日ランチとディナーの時間を、キッチンスタッフが一人、お寿司を握る大将が一人、そしてウェイトレスの私の三人で回している。

先週の土曜日は、過去最高と言っていいほどお店が混み合った。それこそお客様の入店をお断りしなければならないほど混んでいた。何組ものお客様をお断りしたか覚えていないほどである。大盛況だった。

楽しみに来てくださったお客様をお断りするのは非常に精神的にきついものがある。こちらとしては、人手と席が許すならぜひお食事を楽しんでいただきたいからだ。

そんな中、若いカップルがやってきた。第一印象は、ファストフードが似合いそうな感じ。

案の定席がなく、お断りせざるを終えなかった。その時、男性側に言われたのが冒頭の言葉である。

咄嗟にイラッとはしたし、「金を落とすためだけに来る客なんてこちらこそお断りだ!」というのが正直なところ本音ではあったが、そこはいつも通りの丁寧さで対応である。そもそも私は自分の感情のコントロールについてはかなり得意である。

嫌味を投げかけただけで声を荒げることもなくお帰りいただけたのは、お客様がきちんと私の言葉を理解してくださったことの表れではあるが、私の気分はすこぶる悪かった。

しかし悶々としながらほかのお客様の給仕をしているうちに、ふとあることに気が付いたのだ。

「先ほどのお客様は、思わず嫌味を言っちゃうくらい、つまり自分の感情をコントロールできないくらい、私たちのレストランで食事するのを楽しみにしてくださっていたのか。」

そんな風に思ったのだ。

そう考えただけで嫌味な男性がとたんに可愛く思えてきた。楽しみにしていたご飯が食べられなくて拗ねて八つ当たりしちゃうなんて!正直言って店員に八つ当たりするような人と付き合いたいかといわれると私のタイプの異性からは136億光年離れているが(笑)、きっとお相手の女性はそんな子供っぽいところも含めて好きになったのだろう。

おっと、話はそれたが。

今回学んだのは、「言葉の裏を考えること」。そしてその裏にある「感情を読むこと」。

特に感情がにじみでるほどの強い言葉は、どうして理性的になれなかったのかを冷静に分析すると、意外と納得のいく理由があることが分かるかもしれない。相手が自分を攻撃していると思って反撃する前に、いったん止まって同じ土俵に立たないことが大事だ。

めったにそんな攻撃的な人に会わないので今回はびっくりしたが、これもいい経験だと思って受け止めておこうと思った。